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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【教団新報4950・51】宣教師たちの声に聞く
新型コロナウイルス感染拡大の渦中で

2021年5月29日

困難の中に豊かに働かれる神

アメリカ 《ウェスレー合同メソジスト教会》

米国カリフォルニア州では昨年3月、新型コロナウイルスの集団感染を避けるための厳しい規制が出され、全ての教会が建物内での礼拝を禁止されました。

それでも何とか礼拝を続けるため、私たちの教会ではインターネットを用いたライブ動画配信と共に、シニアの方々にはDVDの発送や、簡単な操作で礼拝にアクセスできる端末機の貸し出し、またそのサポートを行う「タブレットミニストリー」を開始しました。結果、思いもかけず、外部との接触を絶たれた施設の方々や、同じ米国内の日本語礼拝を守れない教会の方々とも、共に礼拝を守れるようになりました。その方々の喜びの声を聞く時に、私たちの「礼拝への飢え渇き」を主が顧みてくださり「霊と真実に満ちた礼拝」へと導いてくださっていることを覚えます。

家賃が全米一高額なここシリコンバレーでは、狭い家に数家族が住んでいる状況があります。このコロナ禍にあって親の失業、学校の閉鎖により家庭でのトラブルやストレスも増え、大きな苦悩を負う生活困窮者が増えました。また、野宿者の方々は支援活動の停滞や公共施設の閉鎖により命の危機にさらされるなど、社会的弱者に歪みが押し寄せていることを痛感しています。

その中、私たちの教会は新しい食料提供プログラムを立ち上げました。この活動には沢山の物資と献金が寄せられるようになり、それを少人数で毎週200名を超える方々に配布することが出来ています。医療従事者や公的サービスを担うエッセンシャルワーカーと同じく、教会に集う私たちもまた、地域の方々の苦難に寄り添い、霊的なニーズに応えて働くエッセンシャルワーカーであることを覚えて活動を続けています。

困難の中に豊かに働かれる神は、聖霊の力をもって、それぞれの家庭や施設で守る礼拝に恵みを備えられ、リスクや限界を覚える私たちに新しい知恵と力を与えてくださり、私たちを社会へと押し出して下さっています。

変化する世の中にあっても主は変わらず私たちを礼拝で養い、この社会で用いようとしておられることを信じ、希望を持って共に宣教の働きを続けていきたいと願っています。(山本 一報)

教会ホールに集められた支援物資

教会ホールに集められた支援物資
※写真 教団新報より

ホームレスの方々への食料配布

ホームレスの方々への食料配布プログラム
※写真 教団新報より

 


コロナ禍のピラポ教会

パラグアイ 《ピラポ日系教会》

コロナウイルスの流行が2年目に入りました。昨年3月に外出や集会の禁止令が発せられた時には感染者は一日数人でしたが、今では毎日2000人を超えています。病床がなく廊下の椅子に寝かされている病人の写真や、高価な薬のために家を売った人の話が聞こえてきます。

その中で、昨年6月の集会禁止解除後は毎週礼拝を守り、毎月の聖餐にも与かってきました。

礼拝出席は数人ですが、牧師が感染すれば礼拝できなくなりますから、この1年ほとんど外出せず、週に一度の買い物以外は教会の敷地内で暮らしています。そして、家や庭の仕事をしながら、神様はこの暮らしを通して何を教えようとしておられるのか思い巡らしています。

教会員の一人は86歳でこの1年間ずっと家にいます。週に一度の礼拝出席だけが唯一の外出で、唯一の生き甲斐とも言えるでしょう。ただ礼拝にすがって生きるとはなんと素晴らしいことでしょう。

受難週は旅行者増加のため規制が厳しくなって心配しましたが、今年は2年ぶりに復活祭の礼拝を守ることができました。

昨年10月の国際線再開後、この復活祭明けの帰国便を予約しました。ところが、数回の時刻変更を経て一部が欠航になり、帰国できなくなりました。予約後、日本も、経由地のブラジルも入国時のコロナ陰性証明書を求めるようになりました。搭乗前72時間以内の検査が必要なので、アスンシオンの検査機関に問い合わせ、ピラポ出発時刻を計算し、あれこれ考えて夜も眠れませんでした。それが、帰国を諦めたとたん、すべての思い煩いが消え、心が平安に満たされました。その時、心から感謝しました。

その後、これは、「礼拝を続けなさい」という神様からのメッセージだと気が付きました。今すべきことは帰国ではなく、ここにとどまってみ言葉を語ることなのだと思ったのです。

昨年の一時帰国後、こちらに戻るのが少し遅かったら入国できなかったでしょう。あの時入国できなかったら、1年近く戻れませんでした。全てが守られて無事着いたことを思い起こすと、神様が礼拝を守るためにここに遣わしてくださったことに改めて思い至りました。

最もふさわしい時に帰国できると信じつつ、礼拝を守り続けていきます。

新型コロナウイルスに対する教会の様々な対応について近況報告をしていただければ幸いです。また、この状況をどのように受け止め、向き合って行くか、意見や提言を自由に寄せてくださいますようお願いいたします。試練の中にある世界中の教会が励まされ、また、この状況を信仰的に受け止めて行く時の視座を与えられれば幸いです。

(江原有輝子報)

ピラポ教会 パラグアイ

※写真 教団新報より


礼拝を続けるという選択

フィリピン 《メトロボホール教会》

フィリピンでは、コロナ禍最初の半年は様々な規制が厳しくなり、あらゆるものが閉鎖、多くの教会も影響を受けた。が、私たちの教会は家の教会形式で大きな会堂がないのも幸いし、集会を続けるという選択をすることができた。それでも警察が注意に来たり、いつ逮捕されるかしれないという緊張を強いられた日々ではあった。礼拝を続けることにはしたけれど、人は来ないかもしれないと思っていた最初の聖日、緊迫した面持ちで集まって来たたくさんの教会員たちがいた。困難な中で礼拝を選んでやってきた一人一人を抱きしめ、地下教会のように切実な、特別な思いで礼拝をささげた。

礼拝を安全に続けるため、モニターを導入して部屋数を増やし、礼拝数も3回に増やし、さらに場所を広げるために改築もした。それでもなぜかまだ毎回いっぱいに。

すでに10ヶ所ほどあった家庭集会も、(家庭での集会は許可されていたにも拘らず)近所の人々から石を投げられたり脅されたりということもあったが、教会員はめげずに「主の御業にロックダウンはない」と伝道し続けた。現在は18の家庭と2ヶ所の工事現場で毎週家庭集会がもたれている。

支援活動もした。経済的に困窮し絶望しかけていた人々も生き延び、福音の光を見るようになった。

また、学校がなく日がな一日遊んでいる子供たちを見て、中高生たちが「今こそこの子たちのために何かしなければ」と心を動かされ、子供伝道が多くの場所で花開いた。学校はやがて再開したが登校はせず自宅学習のみ。教室での友達や先生とのふれあいがなくなってしまった分を、教会が補っている。

現在は多くの教会やお店も再開し、ほぼ平常通り。けれどもこの平常の「特別さ」を心に刻んでいる。(ベルトラン小川文子報)

教会での礼拝と家庭礼拝

教会での礼拝と家庭礼拝
※写真 教団新報より

教会での礼拝と家庭礼拝

※写真 教団新報より

 


点から線へ

ドイツ 《ケルン・ボン日本語キリスト教会》

主のお導きと共に多くの方々のお支えによって、ケルンに立てられている日本語教会にお仕えして6年目を迎えました。ドイツの地での「限りあるかけがえのない時」ということを、赴任当初より念頭において歩んでおります。しかしこの思いがコロナ禍の今、焦りとなり重荷となりました。

教会の存在を知っていただくために、人との繋がりを求めてこの世へ出て行き、福音の種蒔きをしています。知り合った方と一緒にお茶を飲むことも伝道の一つです。しかし、ドイツではロックダウンの延長が繰り返され既に半年になろうとし、コロナ感染防止のために他人との接触は一人のみ、という厳しい規制の只中にあります。なす術もなく、時だけが過ぎてゆくような焦燥感に駆られました。

しかし、この感情は昨年からのコロナ禍の中で、何とか乗り越えて成果を出さねば…、という私自身の傲慢さを、祈りの内に気づかされました。この時を、そして歴史を支配しておられるのは主であり、主が全てをおさめてくださることを忘れ、自らの力に頼り何かできると思ってしまったのです。生きて働かれる主の御業を忘れていました。

ですから、どのような時であれ、今、なすべきことは、与えられた一日一日を、これまで通り、主の御声をお聴きしながら淡々とお従いしていくこと、そうして「点」のような毎日を、やがて主が繋ぎ合わせてくださり、「線」となって未来が創られる、ということに心を向けられた時、平安と希望が与えられました。

現在、礼拝をはじめとして、聖書の学び、未信者の方々の集会等、全てスカイプにて行っており、毎回ではありませんが、幸いにも教会の全ての方が参加できています。そしてオンライン上で以前よりも密な交わりを実感でき感謝しております。現住陪餐会員が14名の小さな群れの特権でもあります。

これから先のことは主にお委ねし、日々の「点」を淡々と地道に積み重ねていくことが、今、できる精一杯のことだと思わされています。「ごく小さな事に忠実な者は、大きな事にも忠実である。ごく小さな事に不忠実な者は、大きな事にも不忠実である」(ルカによる福音書 16章10節)。この御言葉に支えられて歩んで参りたいです。

(佐々木良子報)

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