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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4934・35号】海外教会の取り組みにきく-韓国・台湾
新型コロナウイルス感染拡大の渦中で

2020年9月26日

自由の意味を問い、「いのち」のための試行錯誤を

韓国 《大韓イエス教長老会 セムナン教会》

去る8月14日、ソウル市から重大な行政命令が出されました。市内の全宗教施設に対する集合制限命令です(後に集合禁止命令へ変更)。首都圏にある複数の教会で新型コロナウイルスの集団感染が発生したのでした。

市から出されたのは要請ではなく法に基づく行政命令です。そのため、市内の全教会は2週間にわたり、対面式の諸集会が開けなくなりました。

私が協力牧師として仕えるセムナン教会からも、翌土曜朝には「対面式の日本語礼拝休止」の連絡が来ました。礼拝休止の通達はこれで4回目。

韓国教会では行政主導による諸集会の休止と再開が繰り返されているのです。

教会の防疫対策も行政指針に沿って進められています。社会的距離の確保をはじめ、教会施設内でのマスク着用、入場時の検温、本人確認(QR認証等)、名前・電話番号・入場時間の記入、手の消毒等です。教会での食事の提供もその時々の感染状況に応じて中断と再開が繰り返されています。

主日に5回行われる礼拝は各回とも教会員300人に出席を限定することが続き(2840席の礼拝堂)、他の人々はオンラインの生中継映像を視聴することで礼拝への参与としてきました。聖歌隊の規模も十分の一に縮小され、聖餐式は今年2月以来行われずにいます。

一方、行政からの指針や命令に従わない教会もあります。しかし、概してそのような教会で集団感染が発生するため、キリスト教会全体が社会から厳しい視線にさらされる要因ともなっています。

もっとも、大多数の教会では感染者が現われていません。それは行政による社会管理の仕方と教会の著しい組織化による成果と思われます。その長所と問題点とが今回の新型コロナへの対応を通して顕著となりました。

行政命令の遵守を求められる韓国教会は「自由」の意味を問い、苦悩しつつ、「いのち」を最優先とするための試行錯誤を続けているのです。

こうした困難の中、教会は子供の礼拝と教会学校に力を注いでいることが注目されます。子供のオンライン礼拝と教育用動画は見事です。その準備に費やされる奉仕者たちの労と熱意は、コロナによって冷まされることなどないようです。(8月18日/ナグネ報)


素早い自主規制とネット礼拝によって対応

台湾 《台湾基督長老教会 国際日語教会》

台湾では12月に武漢で新型肺炎発生の報道にすぐ様空港での水際対策が取られ、台湾国内は緊張に満ちました。2003年SARS流行の際、中国との関係でWHOに加盟できない台湾は国際的に孤立し、世界的救援が得られず、大きな被害、痛手を受けたからです。

SARS未経験の私は今回多くを周囲に教えられました。個々人での素早い文字通りの「自主規制」。皆様から「暫く礼拝、集会を休みます、礼拝はネットやテレビで行います」との連絡。台湾ではキリスト教のテレビ局で24時間礼拝や讃美、聖書講座が放映され、私たちの教会も以前から礼拝をネット中継・録画放映しています。

台湾では年に数回、大型台風時には政府発令の「台風休暇」があり、職場も学校も教会も休み(自主礼拝)となるので、日頃から緊急事態対応に慣れているかもしれません。

私たちの教会でも、2月には礼拝前の消毒や検温を始めました。しかし2月の日本の連休には観光客の来

会者も増え、苦渋の決断で互いの安全のため海外渡航者の出席を断り、翌週3月からネット礼拝のみにしました。

私たちの教会は半数が日本統治時代に日本語で教育を受けた90歳前後の台湾の方々ですが、台湾の高齢者は家族や若い外国人労働者と同居の方が多く、傍らでネット操作を助けてくれるため、高齢者も早くから日常的にスマホでライン等を使用、安心してネット礼拝に切り替えられました。

1月末には台湾政府はマスクを全て買い上げ、1枚一律5台湾元(約18円)で一人週に数枚ずつ薬局で買える政策を打ち出し大成功。国民も外国人居留者もマスク購入時に薬局で健保カードを読み取ってもらうので、買い占めなく平等に購入でき、ネット等で個人・高額販売した場合は処罰処分。台湾政府は海外でマスク不足時に何百万枚も寄付しています。

IQ天才が大臣に抜擢され、画期的な政策が日本でも話題ですが、特筆したいことはこの間の行政の姿勢です。内閣、厚生省トップたち自身がITや医療専門家、医師たちであり、1月20日以来半年休みなく毎日テレビやネットで感染状況、防疫活動を丁寧に説明。マイクを握る陳時中部長(大臣)は「感染症との戦いは、医療、感染対策以外に、国民を安心させ、恐怖を取り除くことが必要だ」と。国民はそのニュース視聴が日課となり、その穏やかで真摯なチームの姿に、国民は鼓舞され、政府を応援。

台湾の政治家は国と人民を愛していると、私たちの教会の日本人長老が言われ、頷きました。

国のリーダーたちと人民が信頼し合い、一致して動く様に、私も胸が熱くなっては、教会のあり方も改めて教えられました。

台湾では比較的早く落ち着き、6月からマスク着用、通常礼拝に戻りました。

聖餐式も台湾では2003年SARS以来、使い捨てのプラスチックの聖餐カップが主流でした。コロナ禍で新発売されたのは、コーヒー・フレッシュ状で、葡萄ジュース入り一口カップに蓋がついており、真空パックのホスティア(薄い種無しパン)がセットになっているもので、それが流行しています。

新型コロナ感染症は、世界中が同じ課題に人道的立場で取り組んでいくよう神からの大事な警告。早くこの事態が終息し、経済、教育等全ての面で復興しますように。(うすきみどり報)

聖餐式ジュース・パンセット

聖餐式ジュース・パンセット
 ※写真 教団新報より

マスクを着用し距離を取りながらの長老就任式

マスクを着用し距離を取りながらの長老就任式
※写真 教団新報より

新型コロナウイルス感染拡大の渦中で,教団新報
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