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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4923号】2020年春季教師検定試験 新型ウイルスの報道がなされる中で

2020年3月28日

神の御前に謙遜に祈り求めていく課題

 2020年2月25〜27日の日程で、教団会議室を会場に、2020年春季教師検定試験が開催された。新型コロナウイルスの蔓延の報道がなされる中、注意喚起を促し、委員会としても除菌対策など細心の注意を払い対応した。別の緊張感を強いられることとなったが、受験者に体調不良者が出ることもなく、無事に試験を行うことができたことは感謝である。

 受験者は、補教師40名(Cコース受験者含む)、正教師9名、加えて他教派からの教師転入審査のための受験者3名だった。

 教師検定試験は礼拝から始まった。補教師試験の提出試験の課題となった聖書箇所、出エジプト記3章より御言葉に聞いた。「わたしは何者でしょう」と神により頼むことのできない者になお神は語りかけてくださると説教では語られた。受験者は、教師としての召命を「わたしは何者でしょう」というモーセの声に聞いてきたことを思い起こしつつ、試験に臨むこととなった。

 提出試験の説教・釈義では、語りかける会衆が見えない説教が散見された。補教師の受験者が中心で、これから教会に遣わされることとなる者たちであるが、これまでの教会生活のなかに与えられた交わりを思い起こしつつ説教の準備はできるはずである。会衆不在の説教は聖書の筋書きの説明に終始するものも多く、説教者自身が届けたいメッセージが不明瞭なものも少なくなかった。また罪の指摘も表面的に留まる傾向が見られる。説教者自身の悔い改めと共に、十字架の恵みのうちに立ち上がらされる言葉を聞き取ることができるようこれからに期待したい。

 筆記試験の「教憲・教規、宗教法人法」では、教憲第9条の二種教職制について教団の成立時の歴史的経緯をふまえて論述することを求めた。しかし教団成立に対する知識の不足ゆえ十分に解答できない受験者が多くあった。日本基督教団が課題として担ってきた二種教職制について、条文の言葉としてだけでなく、なぜそのような形になっているかその背後にある出来事も含めて深く学ぶことを求めたい。

 教師検定試験では面接も試験として位置づけている。今回、受験者に面接で問うたのは、日本基督教団の教師となることについて、公同教会、信仰告白、教憲・教規、説教・聖礼典をふまえて召命を論じることであった。そこで明らかになったのは、公同教会に対する理解が不十分なことである。公同の「公(おおやけ)」という漢字の意味だけ捉えて、だれにでも開かれているのが教会であるということを述べた受験者が少なからずあった。公同教会に対する理解の不足は、自分に与えられた召命を語る言葉も個人的体験としてしか語り得ないところにも現れていた。自分の出来事として召命は語れるが、神の客観的出来事の中に自分がおかれていることに思いが至らないのも公同教会がわからないことに起因すると思われる。自分の遣わされる教会に仕えることが、日本基督教団という教会、そして公同教会に連なるものであることを意識しつつこれからの歩みをなしてほしい。教師試験は、御言葉を宣べ伝える尊い務めに仕えていくのに必要であることをふまえて行われている。試験の合否以上に、神の御前に謙遜に祈り求めていく課題がそれぞれに示されたことを覚えてほしいと願っている。

 なお試験終了後から28日午前の日程で、第6回教師検定委員会を開催。今回の試験の振り返り、また2020年秋季教師検定試験の提出試験の聖書箇所の選定など準備を始めた。(清藤 淳報)

講評

 2020年春季教師検定試験が2月25〜27日、東京を会場として行われました。新型コロナウイルスが蔓延する中で、細心の注意を払いながら、受験志願者も教師検定委員も臨みました。主に守られて、受験志願者52名全員が筆記・面接試験を受験されました。教師検定試験は、「伝道者としての召命」を問う試験です。あらゆる世代の人々に、あらゆる状況の人々の魂に向かって、生ける御言葉を語るために、必要不可欠な神学を身に着けているかどうかを確認する試験です。一人一人の受験志願者が誠実に試験に臨み、伝道者としての召命を問われました。献身者が少なくなっている今日にあって、主は日本基督教団に、新たに52名の伝道者を召して、立てて下さっておられることに、畏れと感謝が生じました。

第41総会期 教師検定委員長

井ノ川 勝


2020年春季・補教師検定試験問題

教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)(A,B,CⅢ)

 次の2題に答えてください。

1.以下の2点について簡潔に答えてください。

 ⑴教憲第9条によると、日本基督教団の教師は正教師と補教師の二種類があります。なぜ二通りに分けられているのか、教団成立時の歴史的経緯を踏まえた上で説明してください。また、これに関して現在の教会現場で考えるべきこととは何か述べてください。

 ⑵教会担任教師が行なう教務ならびに事務ついて、該当する教規を示しながら説明してください。

2.宗教法人法における「宗教団体」とは、どのようなものですか。また宗教法人となった宗教団体は、何を目的として宗教法人法による法律上の能力が与えられているのか記してください。

旧約聖書神学(60分)(B,CⅢ)

 次の3つの語句について、2つを選んで聖書箇所を挙げながら説明してください。

1.旧約聖書の黙示思想

2.旧約聖書における法

3.知恵文学

新約聖書神学(60分)(B,CⅢ)

 次の2題を、新約聖書の聖書箇所をいくつか挙げつつ、神学的に論じてください。

1.マタイによる福音書における律法について

2.新約聖書における復活について

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