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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4917・18号】天皇代替わり、教区の取り組み

2019年12月21日

♦北海教区♦ 国民主権に違反しない儀式を

 北海教区は、天皇代替わりにともなう諸儀式が、日本国憲法の国民主権、基本的人権の保障の原則に違反するものであってはならないとの観点から、問題意識をもって取り組んできた。裕仁天皇から明仁天皇に皇位継承が行われた時の諸儀式は日本国憲法にはふさわしくないと思われるものが多くあったため、その誤りを正していく自覚と行動が必要であると考えている。それと同時に、象徴天皇制とは何か、そもそも天皇制とは何かを考えることも大切だと考えている。

 2018年11月23日、「第49回靖国神社問題北海道キリスト教連絡会議」が札幌北光教会で開催された。参加者41名。この集会はキリスト教4団体が幹事団体として共催するもので、教団北海教区はその一つである。北海教区の平和部門委員長の佐藤幹雄牧師(岩見沢)が「天皇代替わりと『国民主権』」と題して講演した。大嘗祭は天皇が神となる儀式であること、国民を統合することが天皇の使命であるとする明仁天皇の解釈は国民主権と矛盾することを話した。

 2019年3月11日、「第36回北海道宗教者懇談会」が開催された。「天皇の代替わり儀礼と信教の自由」と題して、島薗進氏が講演。教団北海教区、日本キリスト教会北海道中会、真宗大谷派、浄土真宗本願寺派が共催する集会である。参加者は69名。

 2019年4月に行われた第79回北海教区定期総会では、議案「天皇代替わりに際し行われようとしている大嘗祭及び即位礼正殿の儀の中止を要求し、実施した場合は、断固たる抗議を継続する決議に関する件」を可決した。

 この議案は、大嘗祭と即位礼正殿の儀は天皇の神格化をあらわす神道儀式であり、国民を天皇に臣従させる服属儀礼であって、明らかに憲法の主権在民と政教分離原則に違反するので、中止を要求すると共に、実施すれば断固として抗議を継続するという内容である。

(浦部浩行報)

 

♦兵庫教区♦ 毎月1回、連続集会を実施

 兵庫教区(以下、教区)は、2003年度教区総会で「天皇制問題は宣教の課題である」と再確認し、靖国・天皇制問題情報センターを支援することを決議した。

 また、2016年8月8日に公表された「生前退位の意向を示した天皇メッセージ」を受け、2017年度教区総会で「大嘗祭に反対する件」を決議した。

 2019年度は常置委員会、教区天皇制問題特設委員会主催で連続集会を実施した。

 4月30日(退位の日)は、但馬地区・豊岡教会で、「天皇退位の日・ホントの意味で、『平成』とさよならしよう」をテーマに集会を行った。

 5月1日(即位の日)は、教区クリスチャン・センターで、横田耕一氏(憲法学者)を講師に招き「天皇代替わりと私たち−『天皇教』の存続」をテーマに講演会を行った。

 11月14日(大嘗祭)には、教区クリスチャン・センターで、「大嘗祭って何?」をテーマに学習会を行った。

 この連続集会は、4月から11月まで毎月1回、教区内のいずれかの地区で行った。

 地区の教師会や懇談会のプログラムの中で天皇制問題をテーマに取り上げてもらった集会もある。集会テーマも「教師会一斉試験『これが分からないと日憲ちゃんに叱られる〜!」(第3回)、「天皇制と私たち」(第4回)、「元号から考える天皇制集会」(第5回)、「聖書×憲法 おしゃべりカフェ」(第6回)と多様だった。各地区の集会に参加した人たちがそれぞれの思いを語り合うことができた。

 現人神と担ぎ上げられた人間を、私たちの象徴とすることは信仰の問題である。キリスト者こそ、いのちと尊厳に関する問題に沈黙してはいけない。神様からいのちを与えられていることを信じ、一つ一つのいのちが尊重される世界、真実と平和を求める。

 キリスト教信仰に立つからこそ教会・伝道所の皆様と共に活動を続けていきたい。(松本あずさ報)

 

♦東京教区♦ 「元号問題と天皇代替わり儀式」を主題に

 東京教区社会部は「教団社会活動基本方針」に基づきながら、教区社会部主催による講演会を開催している。

 今年は活動方針のうち「憲法を守り、民主主義を擁護する」、「信教の自由を守る」にあたる事柄として、大嘗祭が行われることもあるので、元号問題、そして大嘗祭を含めて「元号問題と天皇代替わり儀式」を主題とした。

 講演会は11月4日、富士見町教会を会場にして開催し、講師には「元号問題」に取り組んでいる憲法学者である稲正樹氏(前国際基督教大学教授、所沢みくに教会)を迎えて講演をしてもらったが、唯一なる神への信仰の根幹が揺るがされている事態にどのように対処するかが問われた。

 講演の要点は、元号については、①元号はイデオロギーとしては皇帝が時を支配する宗教的権威顕示、政治的には支配と服従関係確認の制度、②一世一元は明治政府の発明で、明治憲法と旧皇室典範(皇室の家法)により引き継がれ、元号と天皇制は一体不可分、③日本国憲法以後は法的根拠を失い慣習として使用されたが、元号法(1979年)により天皇代替わりで元号が変更されることになったことなど、元号問題が丁寧に取り扱われた。

 次に天皇代替わり儀式については、①日本国憲法では、天皇代替わり儀式を国家的な行事として行う根拠の失効、②三種の神器承継を国事行為として行うことは憲法の国民主権と両立しない、③即位後朝見の儀、即位礼正殿の儀が国事行為の儀式として行われることの違憲性、④大嘗祭は明白な宗教儀式であり、戦前は天皇が神となる儀式と理解されていたこと、政府は大嘗祭が宗教上の儀礼であり、皇室の私的行事であることを認めつつ、公的性格があるとして宮廷費から支出するなど明白な政教分離違反であることなど、憲法・法律上の根拠についての問題が指摘された。(大友英樹報)

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