SNSによって情報を発信し、その影響力の大きい人物を「インフルエンサー」と呼んでいる。最近、新人採用において、SNSのフォロワーが一定数を越えているといった条件を満たしているインフルエンサーのための「インフルエンサー採用枠」を取り入れた企業が増えているとのニュースがあった。
さて、キリスト教史における「福音のインフルエンサー」と言えば、まずパウロではないだろうか。彼は、「この男は疫病のような人間」(使徒24・5)と恐れられるほど福音宣教の感染力…ではなく影響力を持っていたということである。
そのような働きは、16世紀の宗教改革者たちにおいてもそうであったし、明治期に来日した宣教師たちの信仰に立脚した教育、医療、福祉等々の各分野における先駆的な働きにおいてもそうであったと思う。
以前、ある牧師が、「我々牧師は、パウロのように外に出かけて行って福音を宣べ伝え、出会った一人ひとりの心の内に信仰の炎を燃やす“火点(つ)け役”であるべきなのに、教会内の様々な問題の対応に追われる“火消し役”になっていることが多いんだよなぁ…」と嘆いていた。
日本伝道の推進のために、信徒と教師一人ひとりが、それぞれの置かれた場で、また、遣わされた地で、福音のインフルエンサーとして活躍するものでありたい。(教団総会書記 雲然俊美)