【4716号】聖書協会世界連盟の2010年世界総会、韓国ソウルで開催 神の言葉、世界のための命

 

初のアジア地区開催

聖書協会世界連盟(the United Bible Societies=UBS)の2010年世界総会が、920日(月)から24日(金)まで韓国ソウルの江南地区にあるCOEX会議センターにおいて開催された。

聖書協会は1804年に設立された英国聖書協会(British and Foreign Bible
Society
)に始まり、爾来世界各国に設立され、戦後世界連盟を結成して、現在150の各国聖書協会を擁し、聖書の翻訳、出版、頒布にあたっている。 2004年に創立200年を記念して、発祥の地ウェールズで世界総会が開催されたが、今回はアジア太平洋地区で初めて開催される総会となり、約400名の代議員が出席した。

日本聖書協会からは、理事長大宮溥、総主事渡部信夫妻、アジア太平洋地区理事のベランド・エミが出席した。

総会の主題は「神の言葉、世界のための命」で、「わたしが来たのは、あなたがたが命を受けるため、しかも豊かに受けるためである」(ヨハネ福音書1010

Good News Bible)の聖句が掲げられた。

 

聖書から方向と力を与えられる

総会は毎朝礼拝を守り(世界連盟の4つの地域である、アジア太平洋、ヨーロッパ中東、アフリカ、アメリカが順次担当)、午前中に、今日と明日の世界と教会を展望し、今後の活動の示唆を得るために、3つの基調講演がなされた。「教会」「文化」「若者」に関しての講演を聴き、それぞれ2名の代議員からの応答のスピーチがあった。

1の「教会」を担当したのはペンシルベニア州立大学人文学教授フィリップ・ジェンキンズ氏で「変化するキリスト教世界における聖書」と題するものであった。世界のキリスト教は1900年に総人口の3分の1を占め、この割合は今世紀に入っても変わらない。しかし全体の人口の増大は著しく、1900年には16億であったのが、現在69億、2050年には92億に達する。特に南半球の人口増大は著しく、1900年と2010年の間に、ヨーロッパは25%増であったのに対して、アフリカは4930%、ラテン・アメリカは877%増であり、アフリカはクリスチャンが10%から46%になった。1900年のキリスト教人口は欧・北米が82%であったのが、今は38%、2050年には27%になる。南半球のキリスト教はカリスマティックでセクト・タイプであり、癒し、悪霊からの解放、霊的熱狂が顕著である。北では諸宗教間の対話・交流がみられるが、南では、特にイスラムとの関係において競合状態が激化している。これまではキリスト教会は「一、聖、公同、使徒的」と言われたが、今後の特徴は「地球的、非妥協的(アジアでは寛容)、ペンテコスタル、外向的」となる。このような時期に、教会にとって重要なのは、初代教会の出発点に帰ることであり、そのために「聖書」から方向と力を与えられることである。

2の「文化」に関しては、フィリピンのコミュニティ・トランスフォーメーション・センター所長のメルバ・パディラ・マガイ博士(女史)が担当し、「われわれが奉仕する世界–聖書協会の宣教努力に対するグローバリゼーションの衝撃」と題して講演した。これまで北半球のインテリは、グローバリゼーションの時代を「キリスト教世界後」「世俗化後」の時代などと把握してきたが、それは歴史の表面的な解釈で、ラテン・アメリカの人々が「歴史の下層」と呼んでいるところから世界を見ると、イスラム、ヒンズー、キリスト教などの原理主義に見られるように「世界の脱世俗化」(ピーター・ベルガー)、すなわち、古典的な宗教の再興が起こっている。人類は意識の深層において伝統的な宗教文化に根を下ろして生きているのである。

現代人はハード面では高度情報社会に生きているが、ソフト面(心の文化)では伝統的な宗教に育まれて生きているのである。このような状況において大切なことは、それぞれの宗教の深みに徹することである。

キリスト教の場合でも、近代の世界伝道によって、アジア、南米、アフリカなどがキリスト教化されたが、それは表面に止まり、民衆の心の深層は原始宗教的な状態に止まっている。預言者的な深化が課題である。その時、グローバルなキリスト教の教会的交わりが、多様性の中での一致、一致の中での多様性を持つ、相互受容と相互訓練の共同体として大切である。

3の「若者」に関しては、フランスのテゼ共同体の統括者ブラザー・アロイスとのインタビューが紹介され、ケニアのナイロビ・バプテスト教会のムネンギ・ムランディ牧師の「ユース・ミニストリーと福音の伝達」と題する報告があった。アフリカでは25歳以下の人口が全体の50%を占めるといわれるが、我々にとっても、青年自身を主体とした青年伝道の緊急性を改めて、感じさせられた。

 

全頒布数は年33千万冊

総会代議員は、省察分団と選択分団(聖書協会の課題18項目中から選択)に出席し、そこから世界理事会に対し今後の活動のための提案を採択した。「UBSのアイデンティティーとエトス」としては、これまで原則としてきた聖書の翻訳、出版、頒布に加えて、解説、宣布につとめる。聖書協会の連盟としての一致と地方的な多様性の均衡を保った運営。教派を超えた、とくに新興の教会をも包含する、共同訳聖書の作製。教会および関連団体との密接な提携。「使命のための資金再調達」では、厳しい聖書資金の調達のため、南の諸教会が資金受容だけでなく募金にも努力することと、北の諸教会が従来の形(主として基金の運用と献金)以外の資金入手をも努力すること。「文化と文化変容」では、経済的に困難な南に対する資金援助の継続と高度技術化の下で霊的貧困化する北の対応強化。イスラムの強大化に対応して、その文化的な文脈を考慮した聖書の表現を検討。移民と難民のための聖書。非識字層、視覚・聴覚の困難な人への聖書。IT文化に即応する聖書。「若者たちへのアプローチ」の努力などが提案された。

人事として、UBS総会は世界理事会(議長ノラ・ルチェロ・フィリピン聖書協会総主事)が各地域から選んだ4人の副総裁の中から、投票でロバート・カンヴィル博士(アジア地域、インド)を総裁に選んだ。またこれまで7年間にわたって総主事として貢献したミラー・ミロイ博士の後任として、英国のマイケル・ペロー氏が今年から就任することになった。

活動報告によればUBSは、前総会からの6年間に、旧新約聖書の頒布数は159789878冊(1年平均約2700万冊)、分冊まで含めた全頒布数は1978018030冊(年平均33千万冊)であった。地域別では、この5年間の頒布の増加率は、アメリカ地区が42%、アジア太平洋地区が34%、アフリカ地区が16%、ヨーロッパ中東地区が8%である。

現状と課題。UBSに加盟している各国聖書協会は150に及ぶが、財政的に自立して他の協会を支援しているのは40余である。従来は支援協会が全体をリードする傾向があったが、次第に全協会の合議形態と、英国に事務所を持つ世界事務局中心の運営体制が強化されてきている。これは支援を受ける協会のガヴァナンス参与が高くなるので、人的、物的リソースの確保と増加に努力している支援協会側からは、その有効な管理と運用が強く求められる。

この二つの運営体制をどう均衡させてゆくかが当面の課題である。日本聖書協会は諸教会の支援と特に聖書頒布によって、運営の自立と支援協会としての責任をはたしており、このような動きが被支援協会の間に拡大することが望まれる。

(大宮溥報/日本聖書協会理事長)

 

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