アジアキリスト教教育基金(ACEF)20周年記念講演会が10月10日、聖ヶ丘教会を会場に開催された。
ACEFは「バングラデシュに寺子屋を贈ること」「アジアの諸問題に、積極的に取り組む青年を育成すること」を柱とする。その活動における特徴は、BDP(Basic Development Partners)との共働にある。
BDPはバングラデシュのキリスト教NGOで、就学困難な子どもたちへの寺子屋学校を運営、75小学校と2職業訓練校を擁する。BDPとACEFとは、キリスト教信仰で一つに結ばれ、基礎教育拡充の使命において共働する。
この関係をふまえて、BDP事務局長のアルバート・マラカール氏が「友情のくさりを繋ぐ」と題して講演した。
まず20年間で24万人の子どもたちに基礎教育を提供し得た実績が主への感謝と共に語られた。
その上で、今後の大きな課題として「教育の公正さを確保し、質を向上させる」必要について力説された。BDPが対象とする子どもたちは、家庭環境その他の理由で公立学校へ通うことができない。その状況下で従来は、「1ドルで、一人でも多くの子どもたちを学校に通わせたい」との願いがあり、教師にも低賃金を強いてきた。今後は数の増加よりも教育の質を高めていくことを大切にしていきたい。そのためには「一人の子どもに充分な教育を受けて貰うには何ドル必要か」への質的な転換を遂げていく必要がある。そこでACEFの一層の理解と協力の必要が強調された。
講演後に参加者からの質疑応答がなされた。「援助ではなく共働であることを確認したい」「友情は期限付きでは結ばれない。むしろ共働する中でより深められていく」「スタディー・ツアーを通して人生観が根本的に転換させられた」。一つひとつは、活動との出会いを与えられ、自身の問題として関わるメンバーならではの真剣な発言であった。
その他にも経済成長による貧富格差の拡大状況や、BDPの働きが女性の社会的地位向上に貢献していることなど、多くの理解を深め合うひとときであった。
なお、今後の活動等についての問合せは事務局(℡03-3208-1925)まで。
(松本周報)