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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4904号】静かにささやく声

2019年6月15日

 この4月から5月にかけて、メディアでは天皇や改元をめぐる情報がどっと量産・放出された。新天皇即位後も、宮中での祭祀や秋の大嘗祭に連なる祭儀など、天皇の祭祀にかかわるニュースが流され続けている。

 憲法に定められた、象徴としての天皇が行うべき行為には、もちろん神道祭祀は含まれない。宗教性の明らかな儀式が「公的」に行われることは許されない。にもかかわらず、メディアは宗教儀式にかかわる天皇の動向を平然と報じ、批判的な視点はかすかでしかない。祭主としての天皇の姿がいつのまにか社会に定着していくのを助長している。

 十数年前から、超教派の「札幌キリスト教連合会」の「信教の自由を守る委員会」の責任を負っているが、このところ、天皇代替わりをてこに「国民主権」「政教分離」「信教の自由」といった憲法原理がなし崩しにされていく危機感を覚えている。

 日本のキリスト者、とりわけ日本基督教団の私たちは、歴史的体験を通して、この国の国家社会のありようと、キリストの教会のよって立つところとの乖離と軋轢に敏感にならざるを得ない。そういう歴史的感性こそ、痛切な過去の過ちを通して与えられた私たちの賜物ではないか。世に鳴り響く大きな声に耳目を奪われることなく、「静かにささやく声」にこそ耳を傾け従うよう心したい。
(教団総会副議長 久世そらち)

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