2019年春季教師検定試験が、2月26~28日、日本キリスト教会館、早稲田奉仕園を会場として行われた。補教師38名、正教師11名が受験した。昨年より少ない人数であったが、主がこの時代、これだけの伝道者を召してくださっておられることに畏れと感謝を覚えた。受験生一人一人が真剣に自らの召命と向き合い、筆記試験、面接試験に臨んだ。
教師検定試験は、何よりも主からの召命を問う試験である。同時に、伝道者として福音を語り伝えるための基本的な神学が身に着いているかどうかを問う試験である。試験の結果は厳しい結果であった。
春季教師検定試験は主に、神学校を卒業し、教師となるための検定試験である。筆記試験はいずれの科目も、基本的な神学が身に着いているかどうかを問う問題であった。しかし、基本的な神学が身に着いているかどうかは、自分の言葉として伝える相手に届く言葉となっているかどうかが問われる。
提出試験である「説教」に、その不十分さが表れていた。心に響く説教が少なかった。「説教」が豊かな福音の言葉となるためには、「釈義」においてテキストを掘り下げて行かなければならない。「釈義」の基本が身に着いていない受験生がいた。
「旧約聖書神学」「新約聖書神学」は、日々聖書の御言葉に親しみ、その御言葉に生きているかどうかが問われる。その上で旧約、新約聖書神学の基本的なことが身に着いているかどうかが問われたが、不十分な解答が多かった。
「教会史」は暗記ではなく、教会の歴史を通して、教会が公同の信仰に立つために、いかなる戦いをして来たのかを問うものである。公同教会の信仰に立つ今日の教会と深く繋がっている。その問題意識が乏しい解答が多かった。
「組織神学」はいつも指摘されていることだが、組織神学的思考の乏しさが顕著であった。説教を語る上で、組織神学的思考は不可欠である。
「教憲教規」は、公同教会の信仰の視点から、教師、信徒とは何かを問うものであったが、不十分な解答があった。
「面接試験」では、公同教会の理解に曖昧さが見られた。公同教会と合同教会とを混同する返答があった。「面接試験」「筆記試験」を通して、受験生のそれぞれの課題が明らかになった。その課題と向き合いながら、主の召命に誠実に応えて行ってほしいと願っている。
Cコース受験志願者認定面接が行われ、4名の志願者の面接を行った。主が様々な場所で、様々な年齢の方を伝道者へと召しておられることに畏れを感じた。この認定面接は、Cコースを受験するための心構えを伝えるための面接である。教団の教師となるための資格試験ではなく、伝道者へと召してくださった主の召命に応える試験であることを伝えた。
教師検定試験を通して明らかになった課題は、受験生だけでなく、教師検定委員会の課題であり、更に、教団の課題でもある。教団が教師をいかに立て、いかに検定し、いかに養成して行くのか。伝道者としていかに力ある御言葉を語り、主から託された伝道に応えて行くのか。
この課題は教師検定委員会だけの課題に留まらず、教団が神学校と共に、真剣に祈り、考えて行かなければならない重要な課題である。試験終了後、第11回委員会を開催し、この課題を新委員会に引き継いで行くことを確認した。
また、この課題を巡って、教師養成制度検討委員会と懇談をした。
(井ノ川勝報)
講評
2019年春季教師検定試験が2月26日から28日にかけて、西早稲田の日本キリスト教会館会議室および早稲田奉仕園にて、行われました。
春の試験は補教師の受験が主となりますが、減少傾向にあるとはいえ、受験者が与えられ、教会に仕える者が召されていることは喜びです。
一方で近年、聴衆に届く言葉を意識した説教になかなか出会えなくなってきています。聖書の説明はていねいなのですが、そこで終わってしまっている説教が多くあります。与えられたテキストと向き合い、そこで見出した喜びを、自分の言葉で、そして届く言葉で語るための務めを大切にしていただきたく思います。
それぞれの試験の結果につきましても、主の御旨と信じ、受け止めていただきたく願うものです。
第40総会期 教師検定委員長 服部 修
2019年春季・補教師検定試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)(A,B,CⅢ)
次の2題に答えてください。
1.日本基督教団は教師と信徒をどのように区別し、またその違いについて理解しているでしょうか。教憲教規より必要な条項およびその内容を明示しつつ、あなたの考えも含めて論述してください。
2.宗教法人として具備しなければならない書類、帳簿をすべてあげてください。またなぜそれらを備えなければならないのか、宗教法人法の目的に沿って説明してください。
旧約聖書神学(60分)(B,CⅢ)
次の3つの語句について2つを選んで説明してください。
1.仮庵の祭り
2.ヒゼキヤ王の改革
3.ダレイオス王
新約聖書神学(60分)(B,CⅢ)
次の3題のうち2題を選んで、聖書に基づいて、述べてください。
1.パウロにとって律法とは何だったのか
2.新約聖書のキリスト論における再臨について
3.新約聖書の「和解する(ディアラッセイン、カタラッセイン)」思想について