避難場所の大切さ
「入学手続きをする時に、初めて自分の行く学校がミッションスクールだって気付いたんです」。キリスト教との出会いは、中学への入学だった。入学式で「あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだ」という言葉がとても印象的だった。
元来まじめな性格で、学校から紹介された教会に熱心に通い、1年半をかけて親を説得、高校3年で受洗した。
社会科教師志望だったが、小塩節氏の講演に感動し、中央大学だけは独文科を受験した。結果、中央大学に進むこととなり歴史の教師になるのはあきらめた。そのかわりに司書の資格を取った。今にして思えば全て神様のご計画と言うしかない。教育と関わりは持ち続けたくて、司書教諭の資格も取った。
学校図書館への勤務を志したのは、自身の経験から来る図書館への思いがあった。外に出ることが得意ではない自分に対して「図書館の先生」が居場所を提供してくれた。自分もそのような存在になりたいと思った。
勤めてみて分かったのは、学校図書館は保健室やカウンセリングルームと並んで問題を抱えた子供や病んだ子供が来る場所だということだ。一種の避難場所だと感じている。「女の子は特に、学校と繋がりたいという欲求はすごくあります。でも、教室にはいられない。そういう子が図書館に来ます」。図書館のメリットはそのような生徒に本を通じて声をかけやすいこと。問題を抱えていそうな生徒に「何か捜している本があるの?」と声をかけることが会話の糸口となる。それが深い関わりに発展し、教会学校に生徒を誘うこともある。「教師の目の届かない所で生徒と関わることを大切にしています」。評価されない場所としての図書館の存在意義はそこにある。
学校図書館の仕事は「たくさんの生徒とたくさんの本がきちんと出会うためのお手伝い」だと語るが、一方で「一人一人の生徒を祈りに覚える」ことを大切にしているという。