この懇談会は、神学校で人権教育に携わる方々が集まり、各学校の取り組み報告や、差別問題について学びを重ねてきたが、今回は、実際に部落に入り、現場を見ることを目的として、京都でのフィールドワークを実施した。11月16日、各神学校の教師と部落解放センターのメンバーなど11名が京都東九条の希望の家に集まった。
ここでまず井上勇一さん(洛南教会)により、開会礼拝が持たれた。井上さんは、教会の歩みと地元との関わりについて語った。
ここから、崇仁の柳原銀行記念資料館に移動し、事務局長の山内政夫さんより概論を聞き、山内さんの案内で地域を歩いて回りながら、説明を受けた。
この地域は、古文書などの歴史的文書も充実しており、江戸時代のムラの様子、近代の部落改善事業と水平社、戦後の解放運動、そして現在行っている町づくりの状況など数時間では語り尽くせないほど非常に多くのことがあり、参加者も多くの学びを得たと思うが、時間の制約の中で山内さんには割愛してもらわざるを得ないことも多く、正直もったいないと思いつつも、厳選してごく一部を紹介してもらうに留まった。
その後、希望の家に戻り、所長の前川修さんより、「部落差別問題」について、初歩的なことも含めて発題してもらった。
前川さんは、「部落とは何か」という問題について問い直した上で、「部落差別」とは何か、「部落解放」とは何を目指すのか、という基本的かつ高度な問題を提起した。それを受けて、前川さんを交えて、意見を交わした後、この会を終了した。
実際に現場を見ること、そこで出会い、意見を交わすことの重要性は改めて言うまでもない。私自身も今回この協議会に初めて参加して、初めて出会う方もあり、考えさせられることもあった。
神学校では、それぞれカリキュラムも違い、人権教育のあり方も異なるのかもしれないが、何度も参加して、もっと知ってもらいたいと思うし、それを持ち帰って、それぞれの神学校で役立ててもらえればと願ってやまない。
(川上穣報/部落解放センター活動委員)