【4684号】人ひととき 中井 幸夫さん

 

禁酒運動と福音宣教と

 

受洗教会が歴史的に「美普教会(メソジスト・プロテスタント)」の日本におけるファースト・チャーチだったことから、メソジスト教会の歴史に強い関心を持ち、研究を続けてきた。その流れの中で、戦前盛んに行われていた禁酒運動に関心をもつようになった。

現在所属する安藤記念教会は、日本禁酒同盟の初代会長安藤太郎が創設した教会で、未成年者飲酒禁止法を制定した国会議員、根本正も創設期の中心メンバーだった。それら先人の伝統を受け継いで、日本禁酒同盟の活動に参加している。

日本禁酒同盟では、飲酒の害を訴え、飲酒運転撲滅、未成年者飲酒問題など、飲酒に関する様々な問題に取り組んでいる。現在、最も中心的な活動となっているのは、アルコール依存症に関することである。

アルコール依存者は、「自己責任」においてだけでそうなったわけではなく、アルコールに関する社会的因習やストレスや、いろいろな要因で依存症になってしまった被害者である。にもかかわらず、世間からは「アル中」などと呼ばれ、不当な扱いを受けている。いわば、マタイ福音書に記されている「最も小さい者」の典型なのだ。これらの「最も小さい者」を、見舞い、訪ねる者でありたいと願いつつ活動を続けている。

それにしても、現在、教会における禁酒運動がほとんど行われなくなってしまったのは残念でならない。昔は禁酒運動と福音宣教が表裏一体となり組織だって行われていた。禁酒により身も心もきよめ、全ての生活を神に献げ、その御心を全うするべく福音宣教に励んでいた。現在の状況は、その点が少し欠けているように思えてならない。

  他にも大切なことはいろいろあるが、昔の教会の良き伝統にもう少し目を向けて、改めて禁酒運動の有用性を認め、その意義を生かしつつ、一丸となって、福音宣教する教団になってほしいと願っている。

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