恵みや労苦を分かち合う
新任教師61名が良き学びと交わりの3日間
2009年度の新任教師オリエンテーションが、6月15日(月)~17日(水)、静岡県伊豆市の天城山荘にて開催された。「教団の教師として宣教を共に担う」を主題とし、新任教師61名、関係者24名の計85名が参加した。各地に遣わされておよそ3ヶ月を経た新任の教師たちが共に集い、顔と顔を合わせて、それぞれの働きの場での恵みや労苦を分かち合う良き学びと交わりの3日間をもった。
この度のオリエンテーションのプログラムは以下の通りである。
第1日目、松井睦教師委員長による開会礼拝の後、山北宣久教団総会議長による講演があり、夕食後、交わりの時間をもった。
第2日目午前は佐々木美知夫教団総会副議長による講演、および内藤留幸教団総幹事による講演がなされた。
午後には「教団の取り組み」として、教団事務局(勝山健一郎幹事)、部落解放センター(東谷誠センター運営委員長)、年金局(髙橋豊年金局長)、出版局(有澤年出版局長)のそれぞれの働きや取り組みの紹介がていねいになされた。
休憩をはさんで、「教会・キリスト教主義学校・キリスト教社会事業をめぐって」と題して深町正信氏(青山学院名誉院長)による講演がなされた。
夜は分団の時間をもち、各講演についての感想や、それぞれが遣わされている場における働きの紹介や課題、喜びや悩みといったことが活発に話し合われた。
3日目はこの数年大変好評である小島誠志氏(松山番町教会牧師)による牧会講話がなされた。その後、全体のまとめとして、参加した新任教師全員が一言ずつ感想等を述べ、最後に鈴木伸治教団総会書記による閉会礼拝をもってプログラムを終えた。
なお、2日目の朝の礼拝は新任教師の宍戸ハンナ氏が、3日目の朝の礼拝は同じく新任教師の加藤俊英氏が担当した。また奏楽は森里信生教師委員と新任教師の尹太悉氏が奉仕した。
教団の今を学ぶ
初日の山北議長の講演「公同教会としての教団形成に共に励むために」では、まず1859年のプロテスタント宣教師来日以後150年の日本伝道の歩みの概略とその特色について述べられた。そして教団の課題として、教団が合同教会として、「まことにして一つなる教会」を形成するために正しく福音を宣べ伝え正しく聖礼典を執行すること、伝道する使命に徹すること、宣教と伝道、あるいは社会的責任と信仰告白といった事柄の二極化を克服すること等について熱く語られた。
佐々木副議長による講演「教団の教師像」では、教憲8条および教規123~133条、さらに教団式文の教師に関わる項目に記されている教師の職務について述べた後、教師は教団と教区に所属し、各個教会や学校、諸施設等に仕えると共に、全体教会である教団に仕えることが話された。さらに、旧教派的背景の教師像や職務についても言及しつつ、全体教会にある教師像として、信仰告白に言い表された信仰の守り人であり、教憲・教規に従うことをもって全体教会と各個教会に仕える者であることが語られた。その他聖書から学ぶ教師像についても触れるなど、内容豊かな講演であった。
内藤総幹事による講演「教団の教会的機能および教務・教会・教区・教団の関わり」では、教会形成の土台としての正典、信条、秩序について述べた後、語られた神の言葉としての説教の重要性について触れられた。そして、教団存立の使命について、教憲第1条より「主の体たる公同教会の権能(鍵の権能、洗礼の権能、聖餐の権能)を行使」すること、宣教における教団・教区・教会の担う役割、さらに、教師の果たすべき務めとしての教務・事務に至るまで幅広く語られた。
深町氏による講演「教会・キリスト教主義学校・キリスト教社会事業をめぐって」では、自分の信仰の歩みを紹介した後、教団と日本キリスト教社会事業同盟(1949年)の関わり、基督教学校教育同盟会(1910年)からキリスト教学校教育同盟(1971年)に至る働き、さらに、CoC宣教協力協議会解散(2005年)後の宣教協力学校協議会発足に至る経緯等について話された。さらに、自分の体験等を語り、新任教師に対して、「『先生』と呼ばれるよりも『伝道者』と呼ばれることを誇りとしてほしい」と述べ、新任教師に対する励ましの言葉をもって講演を終えた。
小島氏による牧会講話は、牧師としての豊富な経験から、説教や牧会についての苦労や失敗談などが赤裸々に語られ、新任教師は時に大笑いをしながらも話に聞き入り、豊かな慰めと大きな励ましを覚える時となった。
出会いと交わり
このオリエンテーションは、同じ神学校出身の教師たちが再会を喜び合う時でもあるが、それ以上に、他の神学校出身者、およびいわゆるCコース受験の教師たちとの新しい出会いと交わりの恵みを味わう機会である。
その意味で、今回も1日目の夜の交わりの時間に、新任教師全員がお互いに握手をしながら短く自己紹介をし、さらに、各自が遣わされている地域に立って、全員で「日本伝道地図」を作り、日本の各地域において福音宣教の働きがなされていることを実感することができたことは大きな意義があった。
また、2日目午後には自由時間が設けられ、近くの温泉に出かけるグループ、滝を散策するグループ、卓球を楽しむグループに分かれて時間を過ごしたことも、お互いを知り合い、交流を深め合う良い機会となった。
その他、食事の際にはテーブルごとになごやかに語り合う光景が見られ、教団の教師として宣教を共に担うために立てられている恵みを覚え、その自覚を深めることができたことと思う。
緑に囲まれた会場においてもたれたこの学びと交わりが、今後のそれぞれの働きの場において豊かに生かされることを心から願いつつ、2009年の新任教師オリエンテーションを終えた。 (雲然俊美報)