▼知名度や氏子の数では出雲大社が圧巻だが、松江周辺には他にも歴史と物語に彩られた多くの神社や寺がある。縁結びについては出雲大社より歴史があると言われる八重垣、本殿が国宝の神魂、周囲の景色が美しいことでは日御碕と美保、温泉もある熊野、他にもきりがないくらい。寺に関しては小泉八雲の描く通り。▼何 よりも驚かされるのは、戸数せいぜい数百の集落に、とてつもない規模の寺社があること。山門には運慶作の金剛力士像を持ち、海辺から標高五〇〇mの山頂近くまで石段の参道が続くというような。▼出雲の国では、未だに寺社への信心が生きている。教会は、これに向かい合い、時に戦わなければならない。赤い糸かどうかは知 らないが、地域の姻戚・人間関係は複雑に入り組み、むしろこんがらがっている。その地域社会と、時に共存しなければならない。▼だから、教会の信仰もまた生きている。そうでなければ到底太刀打ちできない。神話の国の物差しで測った時に、未だ歴史が浅くて、子ども並に体が小さいだけだ。