今年3月11日は、司会者と牧師が東日本大震災を覚えて祈り、続いて出席者も同じ思いをもって礼拝をささげました。教団及び関東教区から支援金を受けたことに感謝し、同時に同じ被害に遭われた東日本の地と、そこにある教会との連帯の思いを深める礼拝でもありました。
わたし自身は佐野教会に赴任してまだ2年目で、震災を経験していなかったので、当時の支援金額や、その用途について役員の方に尋ねた結果、次のような報告を受けました。「外壁塗装工事、落下した2階天井の修理、礼拝堂及び休憩室の床の張替え、クロスの張替え」など。
こうして新しく出発したわたしたちの教会は、小さな群れですが、栃木地区の諸教会の祈りと具体的なお支えをもいただいて、希望をもって前に向かい進ませていただいております。このこともまた、感謝です。
昨年のクリスマスには、ひとりの洗礼者が与えられました。わたしの娘で、心の病を持っておりますが、佐野教会の婦人会の方々の暖かい見守りによって、聖餐に与り、教会生活を喜んで送っています。わたしたちの教会では礼拝後、毎週、愛餐の時をもっていますが、心のこもった手作りのおいしい料理をいただくことも、彼女にとってはこの上ない楽しみのようです。
伝道活動の基本方針として、2018年度は使徒言行録から「この町には、わたしの民が大勢いる」(18・10)という御言葉を与えられました。これはパウロがコリント教会の伝道に先立って、彼のうちに語りかけられた主の言葉です。これによってパウロは1年半、コリントにとどまって人々に神の言葉を説教しました。
わたし自身も教会員とともに、この御言葉に押し出され、秋にはひとりの著名なチェロ奏者をお迎えして、佐野教会では初めてのコンサートを持つことを志しております。
現在、佐野の市民合唱団に入って第九の演奏会にも出演したりしているのですが、コーラスの方々にもこの教会コンサートの呼びかけを今、始めています。佐野教会にはかつて「みくに幼稚園」という付属幼稚園があったのですが、子供の減少や運営の困難さに伴って、かなり以前に閉鎖となりました。しかし合唱団のメンバーの中には、「わたしも子供のころ、みくに幼稚園の園児でした」、「園庭に藤棚のあった幼稚園が懐かしい」、「キリスト教の雰囲気が好きだった父と一緒に遠くから通いました」という声をたくさん聞いています。その意味で、教会幼稚園・保育園の伝道する役割を今、改めて見直し、その働きの「すそ野」の広さに共に気付いてまいりましょう。
「この町には、わたしの民が大勢いる」との、この御言葉の確かさを今、真摯に感じさせられています。そして主の御心であるならば、「この町に大勢いるわたしの民」の「絆」が、再び教会の中に生まれることを今、幻に描いています。そして被災地の教会にも、この「絆」が再び、力強く、結ばれることを信じて祈らせていただいています。(関東教区・佐野教会牧師)