【4876号】伝道のともしび 小さな群れが、ささやかな「接点」に 荒井 偉作

 名取市は仙台の南隣、太平洋に面する町です。かつては田畑が広がる農漁業の町でしたが、子育て世代を中心に人口が流入し、現在は大型の商業施設や新興住宅地が増えつつあります。名取教会は駅近くの住宅街に建つ、町の中心部で唯一のキリスト教会です。

 故・小田忠夫先生(東北学院)が自宅の敷地の一部を提供くださり、1983年に仙台長町教会の名取伝道所としてスタート、2009年には第2種教会に。昨年初めて教会員ベビーが誕生したばかりの若い教会です。

 また教会の長老会は牧師を含め全員が農家出身または農業経験者ゆえ牧歌的にして開拓精神旺盛な教会形成をしています。

 2011年3月11日、激しい揺れの後に津波がこの町の沿岸部にも幾度となく押し寄せました。沿岸部の住宅地は真っ黒な津波に飲み込まれ、海岸から最遠部では約5キロの地点まで海水が到達しました。

 名取教会も教会員と会友の4名もの貴い命を失いました。礼拝堂にはその一人が愛用していたピアノが遺されています。

 津波による家屋流失3件に加え自宅の全壊・半壊も3件。市内の放射能被害は未知ですが、福島県で就農していた教会員は長期間作物が売れませんでした。会堂と牧師館も被災したものの、教会員と関係者、そして地域の方々の被害全体の中では小さな一点でしかありません。

 現在の名取教会の礼拝出席者数は20名前後です。震災前と数字上は変わりませんが、顔ぶれは次々と入れ替わりました。震災以降、逝去者、転出者、転居者が20名近くになりました。それと同時に、受洗者、転入者、新来の求道者もほぼ同じ人数に上ったのです。また、震災後に再開した教会学校は子どもと大人で10名を超えるようになり、地域向けの礼拝と行事には近隣の多くの親子が集います。

 これまで教会に縁のなかった一人ひとりとの出会いや笑顔を通して、数字では測れない大きな恵みを実感しています。

 現在も国内・海外から来訪者は途絶えません。普段は接点のないグループが次々と名取を訪れますが、国籍や年代、活動内容は異なれど、被災地のために真摯に祈りつつ足を運んでくれる点では一致しています。

 ある時ふと、政治的に対立する国々からそれぞれ訪問者があることに気付きました。そしてよく見れば、国内の訪問団の間にも溝や確執はあります。違いはあれ、一人ひとりの温かい笑顔が印象的です。被災地の小さな群れが、ささやかな「接点」になっているのです。

 名取教会の長椅子は戦後に駐留軍の礼拝堂で使用されていました。かつて憎み争い合った民が、時代を越え同じ椅子に座り、贖いと和解、希望と慰めの御言葉に耳を傾けてきました。

 前述の各種訪問団が同時にこの礼拝堂に居合わせたことはありません。しかしこの長椅子の存在と同様、世界には和解の言葉を届け、また地域には被災ピアノの音色と共に希望と慰めを響かせたいと願っています。(東北教区・名取教会牧師)

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