【4849・50号】宣教師からの声 番外編 静岡英和女学院宣教師、マクラクラン先生の話 近藤 泰雄 (静岡英和女学院中学校・高等学校元校長)

はじめに
 2016年、本校は創立して129周年となります。長い歴史の中で、特に太平洋戦争の時はいろいろな意味で困難な時代でした。是非この戦争前、戦争中、戦後に大きな働きをしてくださったアニー・メイ・マクラクラン先生(Annie May Mclachlan)のことについて、皆さんに知っていただきたく原稿を書かせていただきました。

1 来日から強制送還まで
 マクラクラン先生は、1895(明治28)年、カナダ大平原のマニトバ州パイプストーンに生まれました。先生は教員生活をしながらも婦人ミッションに入り、トロントの神学校で学び、1924(大正13)年に来日しました。それから途中2年間(昭和4〜6年)山梨英和で働きましたが、その後ずっと静岡で生活しました。先生のキリスト教の信仰に基づくすべての人たちへの愛は、多くの人たちに信頼され、愛されました。

 昭和16年になると戦争の影響が大きくなり、静岡英和の名前も「静陵」と変えられることになりました。そして、外国人への監視も厳しくなり、宣教師の授業は次第に禁止され、理事会にも出席出来ず、寄宿舎の宣教師用の一室に事実上の軟禁状態になってしまいました。先生はついに在米日本人と在日外国人の捕虜交換船により、本国カナダに送還されることになりました。

2 戦争中の本国カナダでの生活
 日本は、カナダ、アメリカなどの連合軍と戦争をしたため、カナダ、アメリカでの日系人は、敵国人として迫害されました。カナダでは、ブリティッシュ・コロンビアにタシメキャンプというカナダで最大で有名な収容所が設置され、多くの日系人が強制収容されました。このキャンプでは、子供の教育については小学校1年から8年までのクラスを置いただけで、高校を設けませんでした。カナダ合同教会は高校を設けるべきだとカナダ政府に抗議した結果、教会自らがキャンプ内に教師を送って高校クラスを作ることとしました。

 マクラクラン先生は、このタシメキャンプにいる日系の青年たちのために毎日200キロの道をバンクーバーから通いました。日本の敗戦、収容所の廃止まで、青年たちを教え励ましました。戦後、カナダ政府は、この強制収容所のことを反省し、日系カナダ人に対して謝罪と賠償に応じましたが、その時、カナダ政府は彼女のことを「カナダの良心」と褒め称えています。

3 戦後の静岡英和での活躍
 マクラクラン先生は1947年、敗戦後の日本を再び訪れ宣教師としての働きをしました。当時の静岡英和は、静岡空襲によりほとんどの校舎が焼けてしまいました。学校責任者は校舎の再建について苦労を重ねていましたが、カナダの教会の多額な資金援助により、なんとか再建をすることが出来ました。

 マクラクラン先生は、静岡英和での教育宣教の仕事と一緒に、家庭を開いて「バイブルクラス」をしていました。男女を問わずこの「バイブルクラス」には、ほんとうに多くの静岡の優秀な若者が集まりました。この「バイブルクラス」より原崎清先生、長澤巌先生、杉山謙治先生などの多くの牧師が巣立っていきました。

4 榛原教会時代
 静岡英和での働きが続き、その後、マクラクラン先生は榛原教会に赴任し、農村伝道のために働きました。このマクラクラン先生と榛原教会の長澤巌牧師との出会いは、教会員にも大きな影響を与え、後に榛原教会より重度心身障害者施設「やまばと学園」を生み出す原動力となりました。そして、この社会福祉法人「やまばと学園」は、今日では老人ホームなど多くの社会福祉施設が建てられています。

 私がとても素晴らしい出来事と思うのは、この田舎の小さな榛原教会が「やまばと学園」設立を決意したとき、その役員のほとんどが今の職を辞し、この施設の運営に参画したことです。

5 母国での生活
 この絵は、静岡英和の礼拝堂横の祈祷室に掛けられています。日本での働きを終えたマクラクラン先生は、母国カナダに帰り、妹さんと老人ホームで暮らしていました。晩年のマクラクラン先生は、毎朝この絵を見て、そして聖書を読んで、祈り一日を始めていたそうです。

 1991年10月13日マクラクラン先生が亡くなったとき、その葬儀に、静岡英和を代表して当時英会話の先生であったカナダ人のトレバー・バンフォード(Trevor C.Bamford)先生が参列しました。

 葬儀後、日本への形見として、この絵と聖書を持ってきてくれました。この絵は静岡英和に、そして、聖書は榛原教会に届けられました。この絵の内容は、「十字架の聖ヨハネのキリスト」というタイトルがついています。私たちは、この絵を見ながら、マクラクラン先生が「私を見ないで、私をそうさせているものを見てください」と言われたことをこれからも心に留めていきたいと思います。
(Kyodan Newsletterより)

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