【4834号】宣教師からの声 番外編 ートルート・サラ・ビゲロー 豊田 滋 (梅光学院大学・学院資料室)

 ガートルート・サラ・ビゲローは、1860年5月17日、ニューヨーク州に生まれた。

 1883年、ミス・ビゲローは、ハミルトン・レディース・セミナリーを卒業後、地元の学校に勤務していた。その頃、帰国した宣教師が日本伝道について話した後、「だれかこの中で東洋にキリスト教を伝えるために献身する方はいないでしょうか」と呼びかけた。この呼びかけに応えたのが若き日のミス・ビゲローである。日本に赴任するために1886年9月、ニューヨーク州の試験を受け、中等学校教師の免許状を取得。1887(明治20)年、来日。26歳であった。1888年、長老教会教育宣教師として新榮女学校に着任した。新榮女学校は、築地居留地六番地にB六番女学校、その後、居留地42番に移転し新榮女学校、その後、櫻井女学校と合併して女子学院として開校する。ミス・ビゲローは着任の1年後、新榮女学校長に昇任。1890年に辞任し、北陸女学校に転任した。北陸女学校の草創期に金沢で2年間勤務、その後、山口市の光城女学校に着任した。

 光城女学院は、1891年、服部章蔵によって、山口市道場門前(当時は山口町)の善福寺に山口英和女学校として開校。1892年、山口市後河原に移転し、光城女学院と改称。ミス・ビゲローは、この時期に着任した。服部章蔵院長、外人教師1名、日本人教師3名、生徒20名ほどの学校であった。ミス・ビゲローは教諭として、英語、倫理、唱歌、体操を担当した。1893年7月~1894年に一時帰国。デトロイトで開かれた会議に出席した。

 1897年には、妹フローレンス・ビゲローも光城女学院に着任した。1899年、39才で第2代院長に昇進した。

 1899年4月に長府の町から山口まで蒸気船と馬車を乗り継いで12才の少女が入学。この少女こそ、ミス・ビゲローが薫陶し彼女の意志をついでキリスト教教育のために貢献した、後の女子学院院長〈1947年~1966年〉山本つち(旧姓弘中)であった。山本つちは、『パレアナ』(E.H.Porter著)の訳者としても知られる。彼女の回想によると、ミス・ビゲローは、和裁、洋裁、刺繍までも教え、ベビーオルガンを校庭に持ち出しての体操やダンベルを使用した体操も指導した。また、愛馬カイザー号を駆って乗馬も楽しんだ。快活な女性であったと思われる。1909年には、米国の長老派事務局発行の雑誌『The Assembly Herald』に「Japan’s Daughters and Missionary Teacher」を寄稿している。1904年に一時帰国。

 その後、光城女学院は、長崎の梅香崎女学校との合同校として、1914(大正3)年に梅光女学院として下関に開校。院長には梅香崎女学校の廣津藤吉、ミス・ビゲローは聖書、英語を担当した。花壇を整え校内を美化することに心を配った。

 1919年には教育功労賞を山口県から受け、1921年には勤続30年の祝賀が行われた。

 1930(昭和5)年、日本在留45年間、光城・梅光38年間の長きにわたる奉仕を終え、帰米の途についた。この時71才。帰米する折、梅光女学院に200冊の書物と、校庭後ろの山上に祈祷黙想の場所として煉瓦造りの頑丈なあづまやを建築し寄贈した。「祈りの家」である。1941年11月1日、カリフォルニア州ロサンゼルスにて死去。81才であった。

 ミス・ビゲローについて、忘れがたい逸話は「青い目の人形」である。1927年、アメリカから12,739体の「青い目の人形」が届いた。伝道のために日本に居たS.L.ギューリックの働きより、平和のために日本に贈られた人形である。ミス・ビゲローは、山口市の公会堂に小学生の代表を集めて人形を贈った。その中の1体は、夏物のドレスには胸に刺繍があり、冬のコートのポケットには、米国の少女の手紙が入っていた。現在、山口市の大殿小学校に、ローズ・メアリーという冬のコートにポケットがある「青い目の人形」が保管されている。平和の願いと祈りは、時代と国境を越えて生き続いている。

 梅光学院は、2014年に下関開学100周年を迎えた。ミス・ビゲローの愛弟子・山本つちの夫、山本五郎は、戦時下において理事長を務め、困難な時代を支えた。これもミス・ビゲローの影響と云われる。彼女の精神である「平和への願いと祈り」は、今も梅光学院に引き継がれている。
記録出典:梅光女学院遠望(梅光女学院同窓会編1987年)ほか

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