【4834号】新春 メッセージ 神の栄光を見た 石橋秀雄

言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。ヨハネは、この方について証しをし、声を張り上げて言った。「『わたしの後から来られる方は、わたしより優れている。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのは、この方のことである。」わたしたちは皆、この方の満ちあふれる豊かさの中から、恵みの上に、更に恵みを受けた。律法はモーセを通して与えられたが、恵みと真理はイエス・キリストを通して現れたからである。いまだかつて、神を見た者はいない。父のふところにいる独り子である神、この方が神を示されたのである。
《ヨハネによる福音書1章14〜18節》

言は肉となって、わたしたちの間に宿られた
 言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た」(14節)との御言葉が、新しい年の最初の越谷教会の礼拝で響いた。

 「独り子なる神が、肉となって、わたしたちの間に宿られた」そして「わたしたちはその栄光を見た」と驚きと感謝をもって告白し高らかに主を賛美する礼拝を献げることができるところにわたしたちの幸いがある。

 神とは無関係に生きる羊飼いたちに「あなた方の間に独り子なる神が宿った」と最初の救い主誕生のメッセージが響く。

 当時の宗教社会の中で、神の前に汚れた者と蔑まれていた羊飼いたちが見た救い主は「粗末な布に包まれた乳飲み子」であった。誰も神の輝きをそこに見ることは出来ない。しかし、羊飼いたちは「貧しくなられた神」を見、「貧しい自分たちのただ中に宿る神」を見、そこに神の業を知り喜びに溢れている。彼らは、「神の栄光をそこに見た」のだ。

 主はトマスに「生々しい傷跡を示された」。トマスはその傷を見て「わたしの主よ。わたしの神よ」と、主イエスにひれ伏し拝む。「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた」。罪人と同じになってくださった独り子なる神が、その生々しい傷跡を示される。「彼の受けた傷によって、わたしたちはいやされた」(イザヤ書53章5節)。

 神が働いておられるとは思えない現実の中に、「神の栄光を見」、「我が主よ、我が神よ」と驚きをもってひれ伏し拝む力強い、生き生きとした礼拝者の群れを形成して行きたい。

 罪の赦しの福音を宣べ伝えることが教会に託された第一の使命だ。

 

死に向かう信仰者の輝きに「神の栄光を見た」
 1995年2月26日の越谷教会の週報を完成させて佐々木純子(すみこ)さんは天に召された。この週報を作る作業を喜び楽しみながら召された信仰者の中に「神の栄光を見た」。週報当番を担当する妻のために夫、義夫さんはワープロをプレゼントした。このことを大変喜びながら純子さんは週報の当番を続けていた。

 純子さんは血管外皮腫という大病にかかってしまった。血管の外の皮に腫瘍が出来、そのままにすると命が危ない。腫瘍を血管から削ぎ落とす手術は大変辛く6ヶ月入院を必要とした。削ぎ落としたと思ったら、また出来る。そして辛い手術を繰り返していたが、純子さんは神様に全てを委ねる決心をした。医師は「2年の命」と宣告した。自宅で訪問看護を受けながら生活するようになった。

 純子さんにとって礼拝が何よりの楽しみであった。「今日は教会に来て礼拝が献げられたから感謝です」と言った。礼拝堂の椅子に座らなくなった。「今日はソファーの部屋で礼拝が出来て感謝」と言った。教会に来ることができなくなった。「今日は、お風呂に入れて感謝、台所に立てて感謝」と言い、そして「息が出来るから感謝」と言った。そんな身体で週報当番の奉仕をしていた。

 その週の火曜日に週報の原稿を届けた。越谷教会の週報は三つ折の週報だ。水曜日に1ページ目を2時間かけてワープロを打ち、木曜日に同じようにして2ページ目を打った。木曜日の夜、妻と共に佐々木宅を訪問した。純子さんは大変明るかった。そして研ぎ澄まされた信仰者の姿を見た。「先生、記念写真を撮りましょう。週報はもうちょっとで完成します。後は明日の楽しみです」と言った。

 次の日、金曜日の午後、近所の信徒から「佐々木さんが大変です」と電話があり駆けつけた。丁度、息が止まった所であった。

 その信徒が「救急車を呼びましょうか」と聞いたら「救急車はいいから牧師を呼んで」と言ったそうだ。ただわたしは心臓マッサージと人口呼吸をして救急車を呼んだ。病院でその日の夕方、家族に見守られて召された。家族のためにはそれでよかったと思っている。

 最後の一週間は、純子さんの人生で最も輝いた時であったと受け止めている。

 

壁が立ちはだかるとしても
 この原稿を書いている時、純子さんの夫、義夫さんが召されたとの知らせを受けた。彼は妻にプレゼントしたワープロを死の時まで使い続け、そして、妻の聖書を用い続けていた。彼は妻の死をきっかけに、妻との深いつながりの中で生きてきた。

 生前の純子さんの痛みは夫との宗教の壁であった。夫は夕食後、ただちに部屋に閉じこもり2時間、正座して神仏を拝んでいた。どんなに遅く帰っても必ず2時間、神仏を拝んだ。

 義夫さんは旧約聖書が大嫌いで、妻の受洗に大反対をし、家庭内での宗教的対立は深刻なものであった。神仏のご加護で今日があると信じて生活をしていた。そして、大病を患い、この病気は回復しても常に再発に怯え、死に怯え、神仏を拝まざるを得ない生活をしていた。

 ところが、義夫さんは妻が「息が出来るから感謝」と言って召されたことに衝撃を覚えた。死を見つめて明るく、喜んで生きる妻、そして、病気の再発を恐れ、死を見つめて怯える自分、この死ということにおいて、妻と深く結びついていることを義夫さんは知った。

 妻の死後、妻の信仰を見つめて教会に来るようになり、洗礼を受け、忠実な教会の礼拝者となり奉仕者となった。

 妻にプレゼントしたワープロを用いて、教会の資料をつくっていた。召される直前まで忠実に喜んで教会に奉仕をしていた。

 義夫さんは心筋梗塞で突然召されてしまった。しかし、到底越えられない壁、この夫婦の間の壁にも主が宿り、この壁において「神の栄光を見た」と言える信仰者の姿を知り、教会員たちは感動し励まされている。

 新しい年の教会の歩み、信徒の前に大きな壁が立ちはだかるかもしれない。しかし、そこで「神の栄光を見た」と告白しえる教会の歩み、信仰者の歩みをなすことができるのだ。
(第39総会期教団総会議長・越谷教会牧師)

  • 日本伝道の推進を祈る日

    「2021 日本基督教団教会・伝道所一覧」発行

    10

    新型コロナウイルス対策資料

    共に仕えるためにPDF

    牧会者とその家族のための相談電話

    International Youth Conference in Kyoto

    日本基督教団2019年度宣教方策会議

    公募・公告

    エキメニュカル協力奨学金 申込書類一式

    日本基督教団年鑑2020年版

    よろこび

    日本基督教団 伝道推進室

    東日本大震災救援対策本部ニュース

    にじのいえ信愛荘

    教団新報 archive

    教日本基督教団 文書・資料集 申請書等ダウンロードコーナー

    月間 こころの友