【4814号】荒野の声

 かの先輩牧師から「荒野の声、苦労してるね」と、再度声を掛けてもらった。新報をよく読んでくれている証し、とありがたく助言を聞いた。苦言、批判、非難とあまり動揺の振幅が振れなくなった。鈍くなったのか、図太く、顔の皮が厚くなったのか。慢心でないことを祈るばかりだ。▼パウロは、神の武具を身に着け、帯を締め、胸当てを付け、しっかりと履物を履き、盾、兜、剣を取れ、と言った。実際の鎧ではない、実際の剣ではない。堅牢な鋼や皮で出来た武具を身に着けずとも立っていられるのは、キリストの臨在と聖霊の内住を得ている者たちの実感でなかろうか。空っぽの胸は吹きまくる風に右往左往するが、満たされた胸は風を耐えるしなやかさ、強さを持つ。強かな足は一歩でも前に福音を運ぶ。▼けれども、その強さは、世界を動揺させるような原理主義者たちの持つ破壊的、暴力的な力ではない。教会は十字架にあげられたキリストを仰いできた。人の貧しさにまで、神の御子が身を低くしてくださったことを信じてきた。人の力は、そこに全く無に帰したことを覚えてきた。人の誇りも絶望も、十字架は終わりを告げている。▼受難節を迎える。高ぶりを打ち砕かれて、落ち込んでゆく魂を高く引き上げていただいて、良き悔い改めの季節を過ごしたい、と願う。

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