課題・当日とも準備の差が明らかに
9月16日から18日にかけて、大阪クリスチャンセンターを会場に、秋季教師検定試験が行われた。
今回の検定試験の受験者数は、補教師試験22名、正教師試験63名、転入試験2名、計88名であり、この数年で最も多い受験者数となった。広い会場が手狭に思えるほど、多くの受験者(献身者)が与えられ、神に感謝せずにはおられなかった。
試験全体の印象は次の通りであった。
まず、提出試験の釈義と説教であるが、全体的に誠実に取り組んだものが多く見られた。釈義も説教も丁寧なものが多く、丹念に準備された努力のあとを見て取ることができた。しかし、「もう一歩踏み込んで、聖書を読んでほしい」と思えるものも多く、聖書を自分のこととして、また教会のこととして、もっと読み取ってほしかったという印象が残った。また、釈義に課題を持つ受験者もいた。中には、釈義と黙想の区別がついていない者や、テキストが置かれている流れをほとんど無視したものもあり、残念であった。釈義がしっかりできている受験者は、その説教にも深みがあり、釈義がいかに重要であるかが分かる。
筆記試験の印象は次の通りであった。全体として、補教師はよくできていた。しかし正教師は、よく準備して臨んだ者と、そうでない者との差が大きく出た結果となった。「教憲教規および諸規則・宗教法人法」の試験は、補教師、正教師ともにおおむねよくできていたが、宗教法人法への理解が足りない者もいた。旧約聖書神学、新約聖書神学は、今回、特定の聖書箇所だけではなく、全体を問う設問も出題された。その設問の正解率は低く、全体を把握する力が不足している者が目立った。教会史は、各自が準備してきた結果がそのまま反映された結果となった。
現在、試験の結果、判定が保留となった者たちの再レポート課題の提出、そして採点が行われている。試験の最終結果はそれを経てからとなり、10月28日~30日開催の教団総会において報告・承認される。
最近の教師検定試験の傾向として、補教師も正教師も、数回に分けて受験する者が多くなってきている。その場合、受験科目を最初から絞り、数回かけて合格する計画のようである。一つは、受験者の高年齢化が進み(今回の最高年齢は80歳を越えていた)、すべてを一度に受験することに困難を覚える者が増えている。確かに、提出試験の量の多さや、筆記試験の科目数の多さは、特に高齢の受験者には大きな負担であろう。このことへの対処は、今後委員会としても議論していかなければならないと感じている。
また今回から、Cコース認定面接が行われることになった。しかし今回は、希望者がなく、行われなかった。次回は2015年2月26日に行う予定にしている(2面公告参照)。希望する者は、早めに事務局まで問い合わせていただきたい。(鷹澤 匠報)
講 評
秋季の検定試験では正教師となろうとする方々が多く受験されます。すでに一定の期間、御言葉を取り次ぐために働いてきた中で、教会に委ねられている聖礼典を執行する立場に着くことの意味を思い巡らしてこられたことと思います。
このたびの試験で提出を求めた説教のテキストは、表面上とっつきにくいところがあるかもしれませんが、実はまさに教会においてこそ深い喜びをもって語ることができ、また聴くことが出来る典型的なところです。わたしたちに行使することを求められている事柄を、救いの恵みに照らして素直に感謝しながら語ればよいからです。
註解書や研究書に振り回されるのではなく、それらを主体的に読みこなし、祈りつつ謙虚に福音を聴き取る。それを明確に語り続けて教会を建てていく。そこに教師の大切な役割があります。祝福を祈ります。
38総会期教師検定委員長 渡部和使
2014年秋季・正教師検定試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
次の2題に答えてください。
1.教会・伝道所が教師を招聘する場合に必要な手続きについて、「教憲教規および諸規則」の該当箇所を挙げて述べてください。
2.「宗教法人法」の規定に基づく法人教会として、個人から土地、建物等の財産の贈与または遺贈を受ける場合の取り扱いについて、述べてください。
旧約聖書神学(60分)
1.次の問題に答えてください。
旧約聖書における「神顕現」の諸形態とその変遷について
2.次の3題のうちから2題を選んで答えてください。
①ヨシヤの宗教改革と特にその影響について
②詩編における「王の歌(詩)」について
③旧約聖書の黙示文学または黙示思想について
新約聖書神学(60分)
次の問題にテキストを挙げて答えてください。
新約聖書における「神の子」告白について、述べてください。
次の2題の内から1題を選んで、答えてください。
1.パウロ書簡の「自由」の理解について、述べてください。
2.エフェソの信徒への手紙における教会論について、述べてください。
教会史(60分)
次の5題のうちから3題を選んで述べてください。
1.ニカイア信条における「アナテマ」について
2.十字軍について
3.「二王国説」について
4.モラヴィア派について
5.日本基督教団における会派問題について