オラフ・トヴェイトWCC総幹事一行7名は、2014年8月1日から約一週間の予定で日本各地を公式訪問する予定であったが、トヴェイト総幹事の緊急入院により、首相官邸訪問を除きすべての訪日スケジュールが延期となった。首相官邸訪問の目的は、今年7月にWCC中央委員会で採択された「核から解放された世界に向けて」、「日本国憲法第9条再解釈について」の2声明を菅義偉官房長官に直接手渡し、WCCに連なる140ヶ国の教会、5億人のキリスト者を代表して、2声明の語るところを伝えることにあった。ジュネーブの本部は、このタイミングで声明を伝えることの重要性を考慮し、チャン・サン・アジア地区議長とキム・ドンソン幹事の訪日を決定した。
首相官邸を8月4日訪問したのは、チャン・サンWCCアジア地区議長、西原廉太WCC中央委員、加藤誠教団世界宣教幹事、上田博子前NCC総幹事代行事務取扱、野口陽一・庭野平和財団専務理事の5名であった。
名刺交換後、チャン・サン議長は約15分、通訳を介しつつWCCからのメッセージを菅官房長官に伝えた。「核から解放された世界」の声明については、核兵器は真の平和とは全く相容れないものであること、原子力発電所は段階的に廃止するべきであることを伝えた。「日本国憲法第9条再解釈について」では憲法第9条について、東アジア諸国のみならず全世界で、平和を愛する国としての日本の外交的資産であり、第9条に基づく非軍事的貢献が高く評価されていることを伝えた。
更にチャン・サン議長は日本の教会は、少数者であっても、日本に光と希望を灯す灯台の役割を果たす存在であり、WCCはこれからも日本の教会と諸課題を共有しつつ、密接にサポートするつもりであることを語った。
菅官房長官の応答は、これまでの政府見解と変わるものではなかったが、会見の時間は予定の倍の20分であった。
日本のキリスト者の声が、世界のキリスト者の声と共に官房長官に直接届けられ、世界のキリスト者の目が日本政府に向けられていることを伝えられたことは、極めて有意義であった。(加藤 誠報)