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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4583号】人ひととき 平野節子さん

2005年7月23日

人間を発見し、真ん中に礼拝を発見して歩む

思い立って、夫と相談して二人で「ピースボート」に乗り込んだ。フィリピンから始まり、東南アジア諸国、アフリカ、アメリカ、南アメリカ、…。南半球一周一〇二日間の船旅は、太平洋戦争の激戦地ラバウルに行き着く。
「じつは、まったくの観光目的でした」と平野さんは正直に語る。船上ではたしかに多くの学びの機会が与えられ、とくに環境問題の学習については、国内各地に行っては感じていた問題意識を持って臨んだ。しかし、もとは観光目的の旅で三ヶ月半はきつい。「ものすごく、空しくなりました」。
そこで平野さんは思いきって呼びかけた。「クリスチャンの方、集まりましょう」。四方は見渡す限りの海原、自ずと心は上を向くのか。九〇〇人の乗客の中から、一八人のクリスチャンが集まった。日本におけるキリスト者の割合の二倍だ。
礼拝が始まった。ある牧師の娘さんがお父上の説教集を持っていたので、それを読んだ。「何をやっていても、真ん中に礼拝がないとだめだと思いました」。海の上で、礼拝という「真ん中」ができた。今でも当時の仲間が言う。「教会を作っていましたよね」。
高校二年生の時、横浜指路教会で洗礼を受けた。ひとことで言えば「文学少女」。トルストイやドストエフスキーを通して、人間の心理的なものに興味を引かれていた。「いろいろな人間がいるんだ」。信仰と文学との出会いは、将来歩む道を備えていた。神奈川県の職員として知的障害児の施設や児童相談所で働き、子育ての目処がついてからは、地域作業所で奉職。所長を務めて定年退職。かねてから計画していたとおりCMCC(キリスト教メンタル・ケア・センター)へ。「人間は弱くなってきていると感じます」。「病に弱い人間」の発見を強く意識しながら、電話相談を受けている。あの「真ん中」が与えられることを祈る。

教団新報
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