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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4583号】新任教師オリエンテーション

2005年7月23日

教団の諸課題を学び共有する

発題に触発され活発な議論

新任教師オリエンテーションが、六月二七日から二九日まで、伊豆市天城山荘を会場に開催された。主題を「教団の教師として宣教を共に担う」とし、新任教師と他教派からの転入教師ならびにキリスト教教育主事を合わせて七〇名、関係者を含め計九三名が参加した。主題を巡る各発題に触発されて活発な議論が展開されたが、新任教師の孤独と苦悩が慰められ、励まされる豊かな時となった。

新任教師オリエンテーションの主題「教団の教師として宣教を共に担う」は、昨年までと同様の主題であるが、主題の受け止め方が変化してきている。それは、主題全体のバランスが考えられ、それがプログラムに反映された点である。一日目は主題の中の「教団」についての学びを共有し、二日目午前は「教師」について課題を受け止め、その後は「宣教を共に担う」に焦点をあてた形でプログラムが展開された。
開会礼拝は、軽込昇教師委員長が詩編九二編をテキストに説教し、一四節の「主の家に植えられ わたしたちの神の庭に茂ります」を新任教師の姿に重ねて、自分という土地に植えられていた者が、各自の思いと生活を捨て、神によって遣わされた任地に移し替えられた者であることを見つめ直すようにと勧めた。この説教は、新任教師が自分自身の三ヶ月間の伝道者生活に思いを巡らせながら改めて自らの召命を再確認させる力ある説教となった。
その後、一日目の取り組みである「教団」について共有する学びに入り、山北宣久教団議長による「教団の昨日・今日・明日」と題した一時間の発題がなされた。議長は、一九四一年の教団誕生から説き起こし、教団の原点を教憲第四条にある「会議制(教会会議)」に据え、これをもって多様性を一致させる要であることを明らかにしたのちに、十年毎に時代を区切って教団の歴史を振り返った。そして、その中で現在の課題を浮彫りにさせ、その一つとして伝道衰退を指摘した。
「教団の現在」については、合同のとらえなおし、二種教職制の課題と教師不足、伝道の衰退、聖礼典の乱れ等を指摘し、明日への展望として、現在の状況の反転を課題として挙げた。そして、Unity in Varietyの標語を告白で一つ、証しで豊かさを表す教団形成の指標であるとまとめた。

互いの課題を担い合う思い

二日目午前のセッションでは最初に小林眞副議長による「教師と教師制度」と題した発題が行われた。
副議長は、自身が教師検定試験の実施されない時期に新任教師となったことと、後に教師検定委員会の責任を担うことになった二重性を踏まえて発題し、教師とは原則的に聖礼典を執行する者であることを基準として受け止めつつ、現在に至った二種教職制について歴史的経緯を説明した。そして、昨年常議員会から諮問された「教憲第九条検討作業委員会」の現在までの取り組みを紹介した。
引き続き、「教団の働き」と題して竹前昇総幹事が、これまでの総幹事としての自分の経験を踏まえて、事務の大切さ、経理における的確さを訴え、これは伝道者としても隣人との信頼関係を損なわない意味で、実務をおろそかにできないことと重なると味わい深く諭した。
ここで、質疑応答がなされた。その中で前日の教団総会議長の発題を含めて熱い論議が交わされた。
午後の「教団の取り組み~差別と人権~」では、部落差別問題とセクシュアル・ハラスメントについて東岡山冶部落解放センター運営委員長と久山庫平教師委員によって発題がなされた。
東岡氏は、自分史を紹介し、差別への戦いを信仰者の戦いとして「祈りつつ」取り組んでいくことの大切さを語った。このことは新任教師の多くの者の共感を呼び、最終日の感想の中で東岡氏に出会えたことの感謝があった。
続くセクシュアル・ハラスメントについては久山氏が担当し、セクハラを防止するために相手との関係に心を配り、相手のいやがることに注意深く気づくことを心がけて、いやがらせの構図を作らないことの大切さを訴えた。
さて、今回のオリエンテーションでは新任教師の心身のリフレッシュにも配慮するプログラムを作成したが、二日目の二時間は天城の自然を利用して参加者が体を動かした。近くの滝まで散策する者、温泉を満喫する者、卓球やドッジボールを楽しむ者など、それぞれ工夫して研修で萎縮した筋肉を伸ばしていた。
夜の分団は、これまでの発題の課題を受け止める四分団と「牧会に配慮した説教とは何か」「二一世紀のキリスト教ブームをつくる」「フリートーク(しゃべり場)」の三つの自主分団を加えた七つの分団に分かれて深め合いの時がもたれた。最後の「フリートーク」の分団が登場したことは、そこで何が話し合われるのかについて教師委員が肝を冷やしたが、終わってみるとそれぞれの現場での重荷が自由に語り合われた分団となり、胸をなでおろす一幕となった。また、教育委員会から委託を受けて参加しているキリスト教教育主事は、この時間に教育委員会岸憲秀委員長によるDCEのオリエンテーションの時間を持った。
三日目、牧会講話というプログラムを今年は取り入れた。小島誠志氏が自分自身の約四〇年の伝道者の歩みを振り返って語った。多くの失敗談を交えながら、自分を牧師として折り合いをつける自分史を紹介した一時間は、同じ苦悩と失敗に共感する参加者の癒しの笑いを誘う時であった。
最後に、「全体のまとめ」を行い、参加者全員に感想を語って貰った。四月から三ヶ月の教師としての働きの中で大半の者が教師としての孤独感に苦しみ、同労者の交わりの中で大きな励ましを受けたとの感想が最も多かった。その中で改めて教師としての自覚が促され、互いの課題を担い合う思いが与えられたとの感想が次に続いていた。
(宮本義弘報)

 

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