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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4589号】牧師のパートナー

2005年10月22日

コップ1杯の飲み物なら
髙多ひとみ
(南紀の台伝道所会員)

日曜日の朝、父が礼拝堂の扉を開けようとした途端、「産まれたそうですよ」と牧師夫人から伝えられ、父は私が産まれたことを知ったそうです。五人兄妹の末っ子の甘えん坊で、母からこよなく愛情を注がれて育ちました。
幼い頃、大人の礼拝について行き、ドサッと絵本の詰まった箱を足元に置いてもらえるのが楽しみだったことを覚えています。小学生になると、イエス様のお話を聞くのが大好きで一人で日曜学校に行くようになりました。そして、神様に捕らえられて高校三年生のクリスマスに受洗しました。
私は、学校の先生になるという夢を持っていました。浪人をし、大学に通わせてもらい、卒業後は講師として働きながら採用試験合格を目指して走っていました。
ところが、人間関係に躓き、一人暮らしにも疲れ、憧れだった先生という職業を断念することになりました。生きる目的と意味を失い、実家に帰ってきました。礼拝にも行けない生活が続いていました。
そんな時に出会ったのが、髙多新という人でした。私の兄二人と和歌山連合長老会の青年会を通して兄弟のように仲良かったこともあり、何度か話す機会がありました。そして、結婚という言葉を耳にしました。正直、困ったなと思いました。相手が牧師だったからです。変わった人だなと思いました。当時の私は、ほとんど丸坊主のような髪型で、虚しさゆえに笑うことができなかったからです。兄や姉、両親は驚いたものの、心から賛成し喜んでくれました。私はもう、これは自分では判断できないと思い、「この結婚がダメな時は、私にわかるようにはっきり『アカン』ということを示してください」と祈りました。
けれども、婚約の日から結婚の日に到るまで私は祝福の言葉ばかりを聞くことになりました。
結婚をして七年が過ぎました。二人の男の子にも恵まれ、四人での慌ただしい毎日が続いています。夫は三〇代でまだ若く、気力体力に満ちて働いています。時には「そんなに仕事を抱え込んで大丈夫?」と横でヤキモキすることもあります。そんな時は、私の尊敬する人が言ってくれた言葉を思い起こすようにしています。「神様のために働く時は必ず力が与えられるって。どんなに大変でも不思議と力が与えられるのよ。そして全てが終わったあと休むなり倒れるなりさせてくださるわよ。神様そんなに悪いようになさらないって。信頼よ」この言葉の通り、夫は今まで健康を守られて神様に仕えることがゆるされています。
神様が、私に何を望んでおられるのかわかりません。ただ、一生を神様に捧げ、御言葉に仕えようとしている夫のそばにいるだけです。
父が私に言いました。「牧師の妻だからと肩肘はらなくてもいいと思うよ。礼拝前、コップ一杯の水を運ぶだけでも、ものすごく助かると思うよ」コップ一杯の水なら、それだけなら私でも運べる、運ぼうと思いました。
また日曜日が近づいてきます。夫が御言葉を伝える前に、私は二階の仕事部屋にコップ一杯の飲み物を運びます。

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