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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4589号】秋季教師検定試験 受験者総数110名も、結果は厳しく

2005年10月22日

日常の中で基本的な学びを

二〇〇五年秋季教師検定試験が九月二七日(火)~二九日(木)、東京・京都の両会場で行われました。受験者総数は一一〇名。試験直後に行われた委員会での学科試験判定によると、正教師試験は七三名が受験(教師検定規則第十条適用者二名を含む)し、うち合格者が二九名、保留者が二六名、不合格者が一八名となりました。補教師試験は三七名が受験し、うち合格者が一〇名、保留者が二名、不合格者が三名であり、Cコース受験者の二二名が継続となりました。他に一名の他教派からの教師転入のための審査が行われ、承認されました。保留者というのは、学科試験の結果が合格点にわずかに及ばなかった場合に、受験者にレポートが課せられ、後日そのレポートによる再判定を受ける者のことです。
秋季の教師検定試験は、正教師試験の受験者が多いのですが、前述のように結果は厳しいものとなりました。正教師試験を受験する者は、既にそれぞれの遣わされた場において、日々宣教の業に励む中で試験に臨むことになります。そういう中で、試験の準備のための時間が無かったという感想を何人かの受験者から聞きました。正直な思いでしょう。しかし、委員会は今までも提出物の課題・学科試験問題のいずれにおいても基本的なものをと考えてきましたし、今回もそうしました。つまり、教師として宣教に当たるとき、どうしてもわきまえておかなければならない事柄が、試験という形で問われているのだということです。どうかこの結果を真摯に受け止めていただき、春季の試験に向けて備えをなしていただきたいと思います。
今回の試験において目立ったのは、提出物の課題における新・旧聖書釈義の中に安易なものが少なくなかったということです。残念なことですが、釈義の体をなしていないもの、略解や注解書をそのまま写しているものなどです。聖書釈義から説教へという、基本的な教師の日常的な営みが軽んじられるならば、教会にとって大変な問題です。また、「黙想」が付いていなくて採点前に再提出していただいたものも多数ありました。
教会の主任担任教師となれば特に、様々な実務をこなすことが求められます。その場合、どうしても宗教法人法および教憲教規・諸規則についての知識が必要となります。牧師が最も苦手なことが事務処理とも言われますが、それも主に仕える大切な業です。軽んじないでいただきたい。
聖書についての知識はもちろんのこと、組織神学による神学的思考や、教会史・教理史の知識も教師として宣教の業に仕えるためには不可欠なものです。その学びの上に、実際の説教と牧会が行われていくのですし、主の教会が形成されていくことになるからです。
この試験で問われていることの多くは、日常的な学びの中で身に付けていくものでしょう。そのためには、教師個人の学びに加え、それぞれの地域における先輩の牧師達による交わりと学びの時を継続的に持っていただければと思います。
学科試験後の個人面接に先立ち、両会場で全体会が行われました。最初に各委員の紹介、次いで菅原力委員長が挨拶し、今回の試験全般について説明しました。その中で、委員長は現教師検定委員会の検定方針を説明し、特に教憲第九条の「神に召されて正規の手続きを経て献身した者」について丁寧に説明しました。なお、二種教職制については、それについて検討する委員会の議論を見守っている旨が告げられました。また、現在は二会場で試験を実施しているが、一会場で実施する方向での検討がなされていることが報告されました。その後、質疑応答、意見交換がなされましたが、受験者からの質問の多くは、学科試験に関するものでした。
教会と教団全体にとって、教師を立てるということは重要な課題です。そのために当委員会が負う責任の重さを自覚しつつ、主の召しに応えて教師となる人々が更に起こされていくように祈るものです。
(小堀康彦報)

*講 評

教師検定委員長
菅原 力

第34総会期秋季教師検定試験が実施されました。今回の試験では一一〇名という多くの受験生が与えられました。このことをまず、神に感謝するものです。
教師検定試験は教団の教師として立つ者が、御言葉の奉仕者として、基礎的で、基本的な学びがなされているかどうかを問う試験として行われています。
受験した一人一人が今後教師として存分に用いられていくために、試験の結果にかかわらずさらに豊かな学びをこれからも続けていって頂きたいと願っています。
受験生の願書の中には多くの方が二種教職制の問題点に触れておられましたが、我々もこの声を伝えながら、教憲第九条の検討を見守りたいと思っています。
また今回の試験は台風による影響はありませんでしたが、昨年のケースもふまえ、今後試験会場の一本化についてはさらに踏み込んで具体的に検討していきたいと考えています。

*2005年秋季・正教師検定試験問題

教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
次の2題に答えてください。
1. 教憲教規から、日本基督教団の教会観を該当箇所を挙げて述べてください。
2. 宗教法人法第23条に関わる行為を手掛けようとしています。
「宗教法人法第23条に関わる行為」の具体例を一つ挙げ、宗教法人格を持つ教会が行わなければならない手続きの全てを時間順に列記してください。
旧約聖書神学(60分)
次の3題のうちから2題を選んで答えてください。
1. 捕囚前の預言者の使信の特徴について述べてください。
2. 旧約聖書における知恵について述べてください。
3. 旧約聖書における死の理解について述べてください。
新約聖書神学(60分)
次の2題に答えてください。
1. 四福音書のそれぞれの独自性と共通点について述べてください。
2. パウロにおける「神の義」について述べてください。
教会史(60分)
以下の5題から2題を選んで答えてください。
1. 教皇と公会議について述べてください。
2. フランシスコ修道会とドミニコ修道会について述べてください。
3. ルターのいわゆる「宗教改革の三大文書」について述べてください。
4. ジュネーブにおけるカルヴァンの教会改革について述べてください。
5. 「明治期」のプロテスタント教会について述べてください。

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