内閣総理大臣小泉純一郎殿
法務大臣 南野知恵子殿
この度、北川晋さんに対する死刑が執行されたことは誠に遺憾であり、強く抗議致します。
9月16日の死刑執行については、衆議院選挙後の国会閉会中を選んで、本人や家族にも予告無しに突然行われたと聞いています。
人命を損なう非人道的行為は、犯罪によるのはもちろん、たとい法の執行によるといえども、許されるべきものではありません。犯罪による被害者やそのご家族のやり場のない深い悲しみや怒りまた恐怖に、心から同情し、共感いたします。それ故にこそ、加害者の命を死刑によって奪うことでは、真の解決にはならず、真の慰めを得ることにはならないことを、この度の死刑執行に際し、改めて訴えます。
私たち日本基督教団は、1982年第22回総会において、日本国家による死刑執行の中止を求める声明を採択し、死刑制度の廃止を求める運動を続けてまいりました。死刑が執行される都度、抗議声明を出し、また、死刑が執行されないように要請してまいりました。
現在、死刑廃止国は年々増加し、事実上行っていない国を含め120ヵ国に及び、死刑存置国76を遙かに上回っています。日本はこの60年間人命を何より尊んできた国であったはずでありますが、今やその少数の国の一つになっています。
どのような人でも、その人命が尊重され、一人一人の人権が守られる社会を作ることが、明日の日本を形成する希望となります。そのような社会を作ることこそ、政府のなすべき急務であると考えます。死刑を停止し、誰もが互いの存在を心から尊重しあえる社会の実現に、より一層の努力を傾注されますよう、政府に期待してやみません。
2005年9月20日
日本基督教団社会委員会
委員長 小出 望