【4616号】牧師のパートナー

「私」を探し続けて
寺島 順子
(野方町教会員)

その昔、真面目な顔をして夫が言ったことがあります。「生まれ変わってもまた君と結婚したいと思うけど、どう?」。私、「う~ん、牧師じゃなければねえ、返事は保留!」。祖母も母も牧師夫人だった私は、「牧師とだけは結婚したくない」と心に誓っていながら、神さまの悪戯の罠にはまってしまいました。その故か、「牧師夫人」という呼称には少なからず抵抗し自分らしい在り方を模索し続けて今日に到っています。しかし神さまはそのような反抗的な私を、忍耐と寛容をもって見守り続けてくださったばかりか、遣わされた各々の教会に於いて、さまざまな出来事と人々との出会いを用意して、私の小さな信仰を育て、鍛えてくださっています。
阿佐ヶ谷、下関丸山、甲府、野方町と、各々の教会での貴重な体験が今の私を形作っていることは紛れもない事実です。特に下関にいた三〇代の頃、在日大韓下関教会と山口西分区の諸教会が年一回合同礼拝をするようになった時のことは、忘れられません。第一回の礼拝で宣教をされた李仁夏先生の言葉は、私の信仰を激しくゆさぶり、その後の歩みを大きく変えるものでした。甲府に移ってからは不思議な導きで、韓国春川東部教会と姉妹教会となり、さまざまな出会いを通して更に、私の信仰と生活に豊かな恵みが与えられました。今もそれは、形を変えて生きています。
私にとって牧師の妻の醍醐味のひとつは、説教を聴いてその日の内に質問出来ること。日曜日、講壇に立った夫はもう夫ではなく、(たまに日頃の言動を思い出して、格好つけないでよ!と叫びたくなる時も)、すべての思いわずらいから解放されて、無心に耳を傾けることが出来る礼拝は、本当に幸いなひとときです。
しかし夜ホッとする間もなく、「あれはどういう意味?」と聞かれる夫は、少し気の毒。説教することがどんなに大変なことか、よく分かっているはずなのに、聞かずにはおれない私の心の中には、魔物が住みついているのかと思うこともあります。そして、「神さま、ごめんなさい。あなたの言葉を切り刻んで…」と懺悔するのです。でもこうして私は神さまと格闘し、み言葉への信頼を与えられているのです。
また問安に同行するのも、楽しいことのひとつ。教会員の方がどんな環境から来られているかよく分かりまた、そのご家族とも親しくなる、またとない機会です。このことは、高齢化社会となって礼拝に来れない方が増えている今、より大切な働きとして捉えています。
子どもたちからは、「いつも私たちより教会のことを優先する!」など言われてドキッとし、失敗や過ちは数限りなく、教会の方がたの優しさと許しがなければ、到底続けられなかったでしょう。私は牧師のパートナーかもしれないけれど、教会の皆さんは私のパートナー、喜びも悲しみも分かち合う主にある大切な仲間です。私たちの人生のすべてが、神さまの壮大なご計画の内に組み込まれていることを、信じます。
人生の最終ラウンドを目前にして、一緒に歩き続けてくれた夫に、保留していた返事を伝えるのも、もうまもなくです。

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