【4620号】伝道のともしび

福音の音色

七飯(ななえ)教会牧師 藤崎 裕之

二〇〇七年零時三八秒、自宅の窓を開けると、新年を告げる汽笛が聞こえて来ました。北海道の寒い夜空に響く汽笛は新しい希望を抱かせてくれます。
北海道の道南の中心は函館です。その函館港に停泊している船が新年と同時に一斉に汽笛を上げるのです。そして三八秒後に七飯の地にその凛とした音色が届くというわけです。
しかし、福音の実りは三八秒では届きません。道南に最初の教会が出来たのが一二〇年程前、函館の港のそばに建てられました。そして七飯の地に教団の教会が創立されたのは十一年前です。福音が実を結ぶのに百十年の歳月が費やされました。何と福音の伝達には時を要するのか、でもそれゆえにこの七飯の町に教会があることの責任の重さを感じています。
さて七飯町は道南の中域に位置する人口三万人の町です。主要産業は農業と牧畜です。町の面積は広く、また近隣の町村には教会がないので、大変広い地域を伝道圏としております。「函館まで礼拝に行くのは難しいけれど、ここに教会があるから礼拝に出席できる」といって下る方も多いのです。
私は北海道に来て十六年目になります。十三年前に結婚しましたが、相手は小児科医師です。結婚当初は帯広教会にいました。妻はほとんど休みのない生活を送っておりました。三六時間連続勤務はしばしばで、また夜間に呼び出しを受けて小児病棟に駆けつける事は日常当たり前の生活でした。やがて妻は、義父が院長を勤める七飯町の診療所に転任することとなりました。私は色々と悩みましたが帯広教会を辞任し、妻に帯同しました。函館千歳教会で副牧師をしながら、しばらく診療所の理事として働く事となりました。七年前に義父の希望で、医院に来る高齢者のために介護病棟を開設しました。ちょうど、高齢者虐待とか介護地獄とか、そういう言葉を耳にし始めた頃でした。地域に住む高齢者たちが医療と介護を安心して受けられる場所を提供したいという理念に基づいています。義父は無教会派の信徒でした。クリスマス、収穫感謝などには医院で礼拝を行っています。
ところが私たちが七飯に来て二年足らずで、義父はすい臓癌で天に召されました。妻は急遽院長となり、私は病棟の責任者となりました。医院の運営や経営は全くの素人であり、お金の事や、人事のことなどうんざりするくらい苦労しました。
苦労が重なり私はうつ病になり、何か人生が崩れ落ちるような気持ちになりました。そのような時に、二年間無牧となっていた七飯教会から招聘を受けたのです。創立わずか五年で無牧となった教会、色々と混乱もあったようです。でも私は自分の人生の原点は何であったのかを思いおこし、神様に身を委ねる思いで招聘を受けました。
赴任最初の礼拝に集ったのは五名の信徒でした。数は少ない、でもこの教会を守ってきた尊い五名です。五名の方々は涙を浮かべて私を迎えてくれました。以来五年、医院の仕事と平行して教会の仕事を続けています。この五年で医院の職員の中から受洗者が生まれました。医院の患者さんで礼拝に集っている人もいます。隣の町や移住して来られた方もいます。今は十八名程で礼拝を守れるようになりました。それぞれがここ七飯に教会があるから礼拝に出席できる方々です。
汽笛は三八秒で届きますが、百十年かけて届いた福音の実りは豊かに響いてわたしたちの礼拝を潤してくれます。感謝しています。

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