【4632・33号】キリスト教入門書の出版問題に議論集中 出版局事業報告並びに決算承認

小島誠志出版局理事長はまず、この一〇年間の一般書籍の売上額が十九%減なのに対し、キリスト教書は二七・五%の減という厳しい状況に置かれていると述べ、決算概況を説明した。出版局の売り上げは、五億円超の期待に対して、前年度を下回る四億六千万円に留まった。その理由として、『信徒の友』と『讃美歌21』のいずれの売り上げもやや減となったことがあげられた。
また、『信じる気持ち』に関して、山北宣久教団議長から意見が出ていることなどについては、秋山徹出版局長が、多方面からの意見が寄せられていることと、出版に至る経過について次のように説明した。
「〇五年四月、出版局の企画委員会第二分科会に職員から立案されたもので、青少年にキリスト教を知ってもらうためにできるだけ平易な入門書を刊行したいという趣旨で、すでに聖書科の教科書として用いられている書物の著者であり中高科教師でもある富田正樹氏が執筆者として提案された。企画委員会ではそれを可として出発し発行に至った。その後、教団三役をはじめ、各方面からこの本の教理的内容について抗議や要望が出された。こういう書物を教団出版局の名で出版されることは問題で、出版停止や回収に値する問題だとするものもあったという。出版局理事会でこの問題が取り上げられたが、出版局としては出版停止や回収といった措置に出ることは、出版、表現の自由の観点からして危険なことであると判断したが、広告・宣伝の方法については考慮することにした」。
小島理事長は、「入門書として出されたものとしては問題ではないかということが理事会の概ねの同意であり、スタンダードな入門書であると誤解されかねない宣伝文句の入った本の帯については、取ることにした」ことなど、理事会での対応について述べた。
この問題を巡って議論となり、とくに山北議長から出版局長宛に出された抗議の書簡について、向井希夫常議員から、「これは明らかに圧力である」とする意見と、三役の名で出された文書を公表、配布するよう要望が出された。
また、各方面からの賛否両サイドの反響や抗議の内容などについて出版局長からの説明があったが、山北議長からの文書の扱いについては、午後改めて協議することになった。
午後、山北議長から出版局長にあてられた文書の扱いについて議論を経て、文書のコピーが配布された。その文書は、『信じる気持ち』において、イエス・キリストの神性や復活の信仰、聖礼典の相対化が見られることなどから、回収、出版停止、廃刊に値するという意見と、それについての説明、対策を求める要望が主な内容となっている。
こうした抗議について、議論が交わされた。出版の自由、表現の自由を侵害することになってはならない、教団の機関紙と出版局の役割が違うという意見、また、教団には様々な立場があることを重んじるべきであり、教団議長名で出版局に抗議することはいかがなものかといった意見も出された。これに対し、教団信仰告白に立ったときにこの書物は問題だと山北議長は判断したのではないかと、議長名で抗議文を出したことを理解する意見もあった。
この後、決算に関する質疑を経て、出版局事業報告並びに決算承認の件は承認された。  (藤盛勇紀報)

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