「第十一回日本基督教団と台湾基督長老教会との教会協議会」が、十一月八日から十日にかけて台湾南部の壽山中会に属する鳳山教会を会場に行われた。出席者は日本基督教団(以下教団)から十七名、台湾基督長老教会(以下PCT)からは二四名。
初日(八日)夜に行われた開会礼拝では、PCT総会議長の潘慶彰牧師が今協議会のテーマである「Liv-ing Shalom and Love
my neighbor(平和に生き、隣人を愛せよ)」と題した説教で、隣人としての台湾と日本の両教会がこれからも手を携えて協力関係を築いていきたいこと、また特にPCTとしては台湾が独立国家としての地位確立をめざす動きに大きく関わり、国連において認められることを願っていること、そしてPCTとしては地方教会への支援が課題となっていることなどが語られた。
二日目(九日)と三日目(十日)は、いずれも午前八時三〇分の聖書研究から始められた。九日は教団の高柳竜二牧師(神奈川教区議長・本牧めぐみ教会)がイザヤ書11章1~11節をテキストに担当。十日はPCTの胡宏志牧師(世界宣教委員・台北中会聖望教会)がマタイによる福音書5章9節をテキストに、現在の世界情勢を踏まえて「戦争は平和を求める人類にとって、最も恐るべきことである」と語り、「真の平和の基礎は神の義と平和にあり、錯覚した平和を示す偶像を明らかにし、取り去らなければならない」と力強く締め括った。
聖書研究に続いて二日目の午前中には、PCTと教団それぞれの代表者が約一時間の主題講演を行った。
PCTからは張徳謙総幹事が、「神から管理を委ねられているものを所有物として理解するところに誤りが生じる」とし、「平安とは受けると同時に分かち合うことである」と語った。具体的には、総幹事として各教会に対して毎年度末の繰越金を他の教会のために献げる提案をしていることを挙げた。また、経済偏重主義や貧富の格差という現実の中で、全世代に対する生命の教育を通し信仰共同体・生活共同体を築く営みを始めていることなど、社会的な課題を担う中に宣教の場がある、と語った。
教団からは小林眞副議長が「日本国憲法…特に第九条を巡って」と題して講演した。個人的に地域での護憲運動に関わっていることから語り始め、日本国憲法の成立・特徴、憲法をめぐる現状、憲法と教育基本法の関係などを述べ、憲法改定に反対し護憲を推し進めると締め括った。このテーマは、中国の軍事的脅威下にある台湾の現状をふまえて事前にPCTからの要請で取り上げたが、憲法改定反対が全教団的な取り組みとはなり得ていない実状があり、自衛隊は容認すべきとの発言もあり、また反対に教団側の出席者の一人から自衛隊容認はできないとの発言がでるなどの一幕もあった。
これらの主題講演の後、二日目の午後と三日目の午前に三回にわたって全体協議を行い、講演を踏まえて前回の共同声明に基づいての意見交換が行われた。
宣教師の相互派遣についてはすでに実施されているが、特にPCT派遣のディヴァン・スクルマン宣教師を通して北海教区がPCTの活動に大きく学ぶところがあったとの山本光一北海教区幹事の発言があり、さらに任期延長要請を準備していることも伝えられた。
神学生の交流では、玉山神学院と農村伝道神学校の相互研修について、PCTとしては総会として行っているのに対し、教団は一神学校のプログラムとしての受け止めであるとの認識の違いが明らかになり、PCTからは公式に教団として進めて欲しいとの要望が出された。
また、教団兵庫教区とPCT高雄中会で「宣教協力と交流合意書」が結ばれていることが紹介され、継続されている青年交流を含めて、今後さらなる宣教協力が深められることが期待された。
この協議会がさまざまな交流の基本となることを踏まえた上で、双方に共通する高齢化・少子化、経済格差、環境保護、移民・外国人労働者などの諸課題に対しても、次回の協議会の中で取り上げる、あるいは個別協議を設定してほしいなど意欲的な要望が出され、それらを受け止めた「共同声明」が出された。
(高橋真人報)