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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4645号】宣教師からの声

2008年3月1日

主我を愛す。主は強ければ、
我弱くとも、恐れはあらじ。
浅井 重郎 (タイキリスト教会<CCT>宣教師)

一月、タイ王国はチェンマイも、今が冬です。高さ30メートルもあるカポックの樹に大きな赤い花が沢山咲いて、巨大な花束のように青い晴天に映えています。この季節は、三月、四月の一年中で一番暑い季節になる前の、樹木の落ち葉が、沢山出来る時季です。
信徒で宣教師、農業教師として私は、タイキリスト教会(CCT)の事業の一つ、マケーン・リハビリテーション・センターの付属農場で助言者として働いています。敷地60haの森に出来る落ち葉を焼き捨てずに、活用して有機農業をやろうとセンターの人々に呼びかけて、24年が経ちました。神様が下さる落ち葉が、足首の深さにまで積もる幸いを感謝して、これを集めて完熟堆肥を作り、有機農業の基にしようという企画です。また、農場内を測量して、果樹園の灌がい排水の改良や、低い土地を水田に改造することを提案しました。農場の人達の理解と協力を得て、整備を進めてきました。
しかし、あなたが唱える有機農業で米や野菜を作っても、儲からないではないか、手伝う職員の決められた額の給与を賄うことが出来ないではないかとセンター本部から批判されてきました。これに応えて、堆肥で大きな野菜を作ること、省力的な堆肥作りや除草を工夫することで、本部の会計帳簿上で同労者の労賃を上まわる利益を生むことが、難しい課題です。農作業をしながら私は、讃美歌を唄います。「主(しゅ)われを愛(あい)す 主はつよければ われよわくとも おそれはあらじ わが主イエス わが主イエス わが主イエス われを愛す」(『こどもさんびか』35番1節、日本キリスト教団出版局刊)
今、この付属農場で大きな異変が起きています。それは、果樹をはじめ、食糧生産のための農場を止めて、林業に切り替える企画が始まったのです。毎日、何台ものチェーンソーの音が響いて、果樹(龍眼(りゅうがん))成木が、次々と切り倒されています。龍眼の果実の市価が落ちて、赤字が続いてきたからです。その跡地に、水田や野菜畑に、24、000本のチーク苗木が、新植される予定です。
龍眼が、ココナツの樹が、この地方特産の巨木チャムチャーの樹が、地響きをたてて伐り倒され、薪として運び出されるのを目のあたりにして、私を含めて農場職員の今までの努力は、一体何だったのだろうかと思います。「ここで止まると、振出しに戻る」です。
「樹木を伐ると、このセンターが、暑い、住み難い場所になるのではないか」という不安の声や、「本部が決めたことだから、一般職員は眺めているしかない」という沈黙の声が聞かれます。一方的な本部の決定に、「企画の立ち上げ段階から職員と話し合うと、反対意見が次々出て、まとまらないからなぁ」という諦めの声もあります。100年の歴史をもつこの働き場所が、本部指導者達が外部からの専門家だけでなく、内部の、普通の職員や住人の意見をよく聴いて、粘り強く説明と対話を続けながら企画を決めていけるセンターになることを私は、祈って期待したいです。
不安や怖れ、がっかりに直面しても、そんな時にこそ、主イエス様が共にいて下さり、道を備えて下さることを支えに私は、神様が下さる資材を大切にする有機農業の不思議の探求、食糧生産と、その成果をタイの人々と分かち合う夢を追い続けたいです。
神様が、その日その日の知恵と体力を私に与えて下さることを祈り、「わがきみイエスよ われをきよめて、よきはたらきを なさしめたまえ わが主イエス わが主イエス わが主イエス われを愛す」(同上の4節)を唄いながら…。

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