東中国教区にて初めての試み
10月28日、東中国教区宣教部社会委員会主催の部落解放劇が岡山教会に於いて行われた。これは東中国教区で初めての試みであった。
今回のテーマ「希望を生みだす」(ローマ5・3〜5)によって行われるのは4度目であった。
劇の内容はある教会で過去におこった部落差別が問われるものである。
5年間無牧の教会があった。そこに転任してきたばかりの、新牧師は部落差別問題などの研修に力を入れていく。ある日役員の南森に「もっと大事なことがあるのではないのですか」と言われ教会のあるべき姿が問われていく。そんな中で牧師は教会の女性谷田から牧師になりたいと相談をもちかけられ、また狭山事件に取り組む青年やまぐちの後押しもしていくことになる。やがて牧師は近隣の居酒屋のおかみから教会で5年前にあった部落差別について聞かされる。
やまぐちの活動が問題視されるも、一方で役員会では5年前の差別が糾弾される。「わたしたちは知っているのです。苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。希望はわたしたちを欺くことはありません」果たしてこのみことばはどのようにかたられるものなのか。
劇は結論を見ない。全ては聴衆に呼び掛けるものでここから人々が何を考えるかが問われるものだろう。
劇後、休憩をはさみ質疑応答が行われた。出演者の自己紹介の後、解放劇への取り組み方、脚本について昨年とどのように変わったかが説明された。福島第一原発事故を扱った箇所が狭山事件になったという。
聖餐に関する差別は実話をモデルにしており衝撃的であった。差別は教会でさえおこるという主張は聴衆全体に伝わっただろう。そしてこの主張は演じたとき、役者達にも刺激となったようだ。
解放劇の課題としては、より規模を大きくしていき教団・教区総会にも見合ったものにするべきということがあげられる。それを教団全体で支えていかなければならないだろう。(根津仁詩報)