日本基督教団と1984年に「協約」を結んでいる在日大韓基督教会(KCCJ)が、今年に宣教100周年を迎えた。宣教100周年の主題「感謝の100年、希望の100年」(Ⅰテサロニケ5:18)と副題「遣わされたこの地で宣教に参与する教会」(創世記45:5)のもとに、今年8月13~15日には宣教100周年記念合同修養会(於:東京プリンスホテル)を、また、10月13日には記念大会(於:大阪女学院ヘールチャペル)を開催する。
KCCJの歴史を概観すると、1908年に平壌から鄭 益魯(チョンインノ)長老が来日した際に、金 貞植(キム ジョンシク)東京朝鮮YMCA総務や留学生たちと教会を設立(東京教会)することで意見が一致し、朝鮮長老会へ牧師派遣を要請したことがその宣教の始まりとなっている。翌年10月に朝鮮イエス教長老会の韓 錫晋(ハンリッチン)牧師が来日し、教会組織を整え、1912年、朝鮮の長老会と監理会(メソジスト教会)による宣教合意がなされ、両教会より交代で牧師が派遣され東京教会に仕えた。1910年の韓国併合後、在日朝鮮人の人口は急増し、これに伴い在日朝鮮人への伝道も、留学生から労働者へ、東京から他の地域へと広がった。そして、1934年2月、在日本朝鮮基督教会大会が創立され、信条、憲法を制定し、組織教会となり、牧師・長老の按手が執行されるようになった。しかし、宗教団体法の公布の動きにともない、1940年1月、日本基督教会から示された条件による「合同」を決議し、一教派としての解体を余儀なくされる。さらに1941年6月の日本基督教団成立時には、第一部に統合された。
1945年8月15日の解放後、日本に残った教職者・信徒たちは、同年11月15日に「在日本朝鮮基督教連合会」を創立し、日本基督教団からの脱退を決議した。1968年、宣教60周年を迎え標語「キリストに従ってこの世へ」を掲げ、記念事業の一環として、1970年在日韓国人が最も多く在住する大阪市生野区に在日韓国基督教会館(KCC)を、1974年在日韓国人問題研究所(RAIK)、1983年西南KCCを設立した。また、マイノリティ問題と宣教戦略をテーマとした国際会議や、朝鮮キリスト教連盟(KCF)を招いての「祖国の平和統一宣教に関する東京会議」を開催してきた。
KCCJは、日本キリスト教協議会をはじめ、世界改革教会連盟(WARC)、世界教会協議会(WCC)、アジア基督教協議会(CCA)に加盟している他、本国7教団や日本基督教団、日本キリスト教会、北米諸教会などと宣教協約を締結し、宣教活動を協力して担っている。
KCCJは、宣教100周年を迎えて、「宣教100周年宣教理念」を発表し、「海外韓人ディアスポラ教育と牧会協議会」を主管した他、記念行事として、記念大会や合同修養会を開催する。また、記念事業として、『宣教100周年史』の発行を予定している他、10ヵ年計画事業として、KCCJ立の総会神学校の充実や人材育成、宣教研究所およびマイノリティ国際人権研究所の設置を計画・推進している。宣教研究所は、多様化する在日コリアンや高齢化の現状に合った伝道方策の研究や、多重言語による礼拝の研究、牧師の継続研修などを目的とし、マイノリティ国際人権研究所は、在日コリアンを超えた移住者・移住労働者などのマイノリティの人権を宣教課題として担うことを目的とした機関である。この二つの研究所は、同じく10ヵ年計画事業の一環として建設予定の「宣教100周年会館」に設置されることとなっている。
KCCJでは、宣教100周年の諸行事・事業を通して、世界・アジア・日本に住む人びと共に、主にある平和と和解の働きを担っていきたいと考えている。なお、KCCJでは現在、宣教100周年の諸事業を遂行するための募金活動を行っている。
(KCCJ総会事務局報)