日本基督教団は、1975年7月14~15日に開催された常議員会で部落差別問題特別委員会の設置を決め、教団として部落解放の働きを始めた。この原点を記念し教団部落解放センターは、7月第二主日を「部落解放祈りの日」として、全国の教会・伝道所に部落解放を課題とする礼拝を呼びかけている。部落解放が祈りの課題とされ、部落差別の問題に切り込む説教・聖書研究がなされ、部落差別に立ち向かう教会生活への奨励を願っている。
教団部落解放センターは、「部落解放祈りの日」パンフレットを作成し配布している。ホームページからダウンロードすることもできる。祈りの言葉や聖書箇所、讃美歌の例を紹介している。
今年は7月14日が「部落解放祈りの日」であった。この日に先んじる7月12日に教団部落解放センター主催の「部落解放祈りの日」直前礼拝が大阪の東梅田教会でささげられた。説教者である向井希夫牧師(大阪聖和教会)は、マタイによる福音書6章の「空の鳥、野の花」の箇所をとり、差別との関連において説教をした。集った参加者は30人弱で、決して多い数ではなかった。しかし、自分が主日に集う教会ではなかなか「部落解放祈りの日」礼拝がもたれないので、この教団部落解放センター主催の礼拝が参加することのできる唯一の機会、という参加者もいる。
自分の教会の中で「部落解放祈りの日」礼拝の実施への同意と協力がなかなか得られないという悩みを、信徒からも牧師からも聞く。教会生活の中心である主日礼拝の中で、部落差別の問題を取り上げることの難しさを感じる。これまでの「部落解放祈りの日」運動は、自分の教会で部落解放の祈りがささげられない悩みを抱えている信徒や牧師の声を十分に受けとめてはこなかったのではないかという反省がなされている。自分が枝として連なる教会の中で、悩み苦闘しながら部落解放の祈りを捧げようとしているキリスト者と一緒に歩んでいくことが、この祈りの運動の使命の一つである。
(樋口洋一報)