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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【2024年8月】今月のメッセージ「慰めの約束」

2024年8月1日

「慰めの約束」

聖書箇所:「 悲しむ人々は、幸いである、 その人たちは慰められる。
マタイによる福音書5章4節


芦屋西教会
若林一義 牧師

 日本基督教団のYouTubeチャンネルをご覧の皆さん、こんにちは。わたしは、兵庫県芦屋市にある芦屋西教会の牧師、若林一義です。
 皆さん暑い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか?
 7月から日本各地で10年に一度と言われるほどの猛暑が続いています。8月もこの猛暑は続きそうですね。
 またこの猛暑の中、日本各地で水害が発生しています。その中に今生活をしておられる一人一人の苦しみの中に神さまが共にいてくださることを覚えます。
 私たちの生きている日本、世界は様々に困難な課題をもって歩んでいます。またそれは、国だけでなく、私たち一人一人もそれぞれに困難さを覚えるものをもって歩んでいます。
 自分自身のこと、家族のこと、会社のこと、友だちのことなどなど・・・先行きの不安や心配が私たちを常に揺さぶり、不安や恐れに取り囲まれそうになります。いや、いままさに恐れに取り囲まれている人もいるでしょう。しかし、いまも生きて働いておられる神さまは「恐れることはない、わたしはあなたと共にいる神」とわたしたちに確かな言葉で力強く、愛に溢れ、慰めに満ちた祝福の言葉を語ってくださっています。

 聖書をお読みします。
 新約聖書マタイによる福音書5章4節「悲しむ人々は、幸いである。その人たちは慰められる」

 イエスさまが山の上で弟子たちに、そして群衆たちに語られた幸いの言葉を一緒に聞きたいと思います。二つめの言葉であるこの4節の「悲しむ人々は、幸いである。その人たちは慰められる」。この言葉は3節の「心の貧しい人々は、幸いである」と並んで、非常に印象的で、そして逆説的な言葉です。時には躓きを与えかねない言葉でもあるでしょう。特に今悲しみのただ中にある人からすれば「どうして悲しむ人が幸いなんて言えるのか」と反発を覚えるでしょう。実際、わたし自身も反発を覚えたことも何度もあります。
 私たちは今までの歩みの中で、どうしようもないほどの悲しみの中に身を置く経験や涙も枯れるほどの経験、生きる気力も失せてしまい、いっそ自分の存在を消してしまいたいとさえ思う、そんな悲嘆の経験してきました、いや、いまもそのただ中に立っています。イエスさまはそのような悲しみ、涙、悲嘆を経験していく、している私たちに、「あなたは幸いだ」、「あなたは祝福されている」と言われます。それはイエスさまが私たちのこのような悲しみ、涙、悲嘆と無関係ではないことを示しています。
 イエスさまがくださる悲しむ者への祝福とはなんでしょうか。それは悲しむ者に慰めが与えられるという祝福です。いま泣いている人がやがて笑うこと、喜ぶことができるという祝福です。それはまさに私たちのもとにイエスさまによる救いがやって来る、という祝福なのです。
 旧約聖書イザヤ書3510節に「主に贖われた人々は帰って来る。とこしえの喜びを先頭に立てて/喜び歌いつつシオンに帰り着く。喜びと楽しみが彼らを迎え/嘆きと悲しみは逃げ去る。」と語られています。
 救いイエスさまが来られたということは、楽しみと喜びがやって来たということであり、もはや悲しみは逃げ去っていくのだと預言者は語ります。
 「悲しみ」の代わりに「喜び」が、人間の手による一時的な喜び、形だけの慰めや励ましのようなものでなく、イエスさまが十字架で勝ち取ってくださったいのちの輝きからあふれ出す喜びが与えられると約束されているのです。
 このことは他の福音書でも言葉を変えて語られていました。「あなたがたは悲しむが、その悲しみは喜びに変わる。・・・その喜びをあなたがたから奪い去る者はいない」と。新約聖書の最後に記されているヨハネの黙示録にも「もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである」と語られています。
 その慰めの中に生きる者とされていることこそが、悲しむ者にイエスさまがくださる祝福の中身そのものです。今、悲しみの中にあり、涙し、悲嘆に暮れている私たちに、イエスさまは来てくださり、ご自身の死と復活をもって私たちに本当の慰め、本当の励まし、本当の力を与えてくださいます。私たちが味わうどんな苦しみ、痛みも、イエスさまは決して知らないということはありません。
 悲しむ者を慰めてくださるイエスさまの慰めは、ただ私たちの傷を上からなでるだけの、一時的にその痛みや涙を忘れさせるだけのものや、その痛みから目を逸らせるためだけのものでは決してありません。そうではなく、イエスさまの慰めは私たちを癒し、悲しみ苦しみからの解放へと導き、イエスさまと一緒に生きる者・歩む者へと変えてくださるのです。そこに悲しむ者への約束と祝福があります。この悲しみ、涙、悲嘆に暮れる経験を通して私たちはイエスさまに結び合わされていきます。そのような私たちに向かってイエスさまは今も約束してくださるのです。
 「悲しむ人、泣いている人、あなたは祝福されていますよ」と。この慰め・祝福をいただいた者として、やがて笑うとき喜ぶときが来るという約束をいますでに現実のものとさせていただいて、悲しみのただ中にあってもなお神さまの祝福を諦めずに信じる、疑わずに信じる、そこにもたらされる本当の慰めの中に歩んでいきましょう。

 お祈りします。
 いま私たちと共に生きて歩んでくださる神さま
 あなたの大きな恵みに感謝します。わたしたちはそれぞれに言葉にできない悲しみを持って苦しみながら歩んでいます。そのわたしたちに慰めを与えてくださる約束をわたしたちが受け止めることができますように。下を向いて歩みを止めてしまう時にもあなたがわたしと一緒に歩んでくださることを思い起こさせてください。あなたの愛と慰めと共に新しくあなたと歩むことができますように。
 この祈りを主イエス・キリストの御名を通してお献げいたします。
 アーメン

 

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