▼過去に赴任した4教会中3教会で、計5回泥棒に遭った。その内1回は空き巣ではない。学校から帰った娘が、玄関で見知らぬ男に、「こんにちは」と挨拶して、階上の牧師館に入った。その男こそが、泥棒だった。事務室から、現金数万円と数百万円の通帳が盗まれた。通帳分は直ぐに停止し、被害はなかったが。▼教会に出入りを始めた男(求道者?)が、CS生徒の女子高校生に、最高で一日30回電話し、とうとうその子の母親が、娘が教会に通うことを禁じたという出来事もあった。そも、その人は所謂ナンパを主目的として礼拝に出ていた。開かれた教会であるために払わなければならない犠牲は、多大だ。▼お寺、それ以上に神社は、伝統的に地域社会に開かれている。特に境内地のことだ。賽銭泥棒があっても。しかし、一方では、一般は絶対に入ることの出来ない聖域をも持っている。100年に一回しかご開帳にならないご本尊もあるし、誰も一度も見たことのない本尊も存在する。▼絶対のもの、不可侵のものがなければ、寛容も融通もない。確信、信念がなければ、軽視され、利用され、捨てられるだけだ。▼牧師が教会に住まなくなってきた。それでは、開かれた教会とは開放された公園の意味でしかない。開かれるべきなのは教会の門に立つ人の心だ。
富士・山中湖畔に福島の子どもたちが 東京YMCAの協力のもとに
放射能から子どもの「命」を守るプロジェクト、短期保養プログラム第1回「こひつじキャンプ」が、東京YMCA山中湖センターで、1月13日(金)から15日(日)まで行われました。岡本知之救援対策本部副本部長が企画したもので、福島県内の親子を対象としています。
このキャンプでは主催を日本基督教団救援対策本部とし、共催として会津放射能情報センター、東京YMCAの協力のもと実施されました。7組24名が申し込み、当日は5組17名(キャンセル2組)の参加者が与えられました。
キャンプリーダーには、東京YMCA南コミュニティーセンターの館長松本竹弘氏が中心となって、3名の経験豊富な方々がつき、教団からは、救援対策本部より前北未央が参加致しました。3日目には東京から東京YMCA副総主事・本部事務局長の本田真也氏も駆けつけてくださいました。
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第1回目は、就学に支障のないプログラム作りを心がけ、金曜日の16時会津放射能情報センターを出発し、途中郡山教会にて残りの参加者と合流。郡山教会では丹羽利夫牧師のお祈りで、参加者たちは心を一つにし、これから始まるキャンプの無事を、主にお祈りすることから始めました。
会津から郡山までは荒天で道路事情も悪く、予定の到着時間より少し遅れましたが、参加者たちは、待っている間も郡山教会の礼拝堂でYMCAのリーダーたちとキャンプソングを歌ったり、楽しいひとときを過ごすことができました。
今回初めて教会の中に入った参加者の方も多くあり、近隣の教会を訪れていただく良き機会になったことは喜ばしいことでした。
さて、バスが山中湖センターに到着したのは夜半過ぎ、翌日は、幼少のお子さんたちに無理がないよう、前日の移動の疲れを十分にとる時間を持つ配慮がなされ、朝の集いなどはYMCAの現場の判断により、取りやめました。
今回の「こひつじキャンプ」では、同様の趣旨の他の保養キャンプに参加できない幼少のお子さんや、重度のアレルギーをお持ちのお子さんなども、YMCAの豊富な経験と実績から、きめ細かい対応をしていただき、安心して参加していただけたことも大きな特徴の一つです。
2日目のこの日は、キャンプの目玉でもあるチョイスプログラムが各種用意され、午前中はワカサギ釣りに行く家族、スケートに行く親子、山中湖畔をのんびり散歩する家族があり、また宿題をするお子さんたちもいました。
それぞれが思い思いに好きなことをすることによって、日常性も大切にしながら、気兼ねなく保養地で過ごしていただくことが狙いです。
ワカサギ釣りに参加してくださったのは郡山市から参加のご家族。湖畔より小さなテンダーボート(足舟)に乗って釣り舟に向かいます。子どもたちは湖上からは見上げる雄大な富士山のその迫力に圧倒されていました。
釣り船でワカサギを釣り始めて約3時間…、生き餌に少々戸惑っていたのも束の間…一匹釣れると勢いがつき、全員夢中です。
一方、スケートをチョイスした家族は伊達市から参加くださった親子で、お二人とも初めてのスケート…。靴を履くところから苦戦しましたが、あこがれのスケート選手を思い浮かべて一生懸命練習しました。まだ幼少のお子さんでしたが、楽しかったとなんどもお話しされていたのが印象的でした。
午後のチョイスプログラムはクラフト制作(コマ作り)やカードゲームをする子、外で遊ぶ子もありハイキングに行くもよしという自由参加のプログラム。3時には暖炉で焼いた熱々のマシュマロや焼きリンゴのおやつも頂きました。保護者の方と子どもたちが別々のプログラムに参加したご家族も多く、子どもを安心して預けた後は、保護者の皆さんのささやかなリフレッシュ時間にもなったようです。
この日の夜は、山中湖花の都公園で開催された「山中湖アートイルミネーション」を見に行くツアーもあり、全員が希望し参加しました。寒かったけれど広大な敷地がLED電飾できらめき、子どもたちは「夢の中みたい!」と時間も寒さも忘れて大興奮。親子みんなでこの幻想的な空間を味わいました。
3日目、この日は東京YMCAのリーダーたちが楽しい朝のエクササイズを指導してくださり、笑顔の絶えない「朝のつどい」(自由参加)から始められました。その後、富士山をバックに記念撮影。シャッターを切る合図は「山中湖!(パチッ)」。今回のキャンプで初めて富士山を見る子も少なくありませんでしたので素敵な記念撮影になりました。
最後の全体プログラムは東京YMCAのリーダーたちが本領を発揮!ゲーム大会を行いました。各家族お互いに仲良くなっていたのが幸いし、とても和やかで目一杯楽しみました。また、この日の昼食は前日のチョイスプログラムでつり上げた「ワカサギ」を天ぷらにしておいしく頂き、獲物を釣った子どもたちはつい得意顔…。
さて、いよいよ後はバスに乗るだけ、という出発前のわずかな時間も子どもたちにとっては大切な遊び時間。グラウンドで大縄跳び大会をしたり、女の子たちがサッカーを楽しんだり、最後の最後まで濃密なキャンプとなりました。
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広報面など多くの課題も残しましたが、参加してくださったお一人おひとりのお気持ちを大切に受け止めて、この3日間を無事に過ごさせていただけたことは感謝です。参加者の一人のお母さんからは「閉村式には思わず涙があふれてしまいました。本当に楽しい思い出を、ありがとうございました」というお言葉も頂きました。
今後も継続的に保養プログラムを続けることで、原発事故の被害に遭われた方々の痛みに寄り添い、子どもたちのかけがえのない「命」を守ることに、ほんの少しでもお手伝いできたら幸いです。
(前北未央報)
放射能被害からの心身の回復を
教団災害対策本部では1月13日~15日まで、東京YMCA山名湖センターにおいて、福島県内在住の家族を対象としたリフレッシュキャンプ(通称「こひつじキャンプ」)の第1回を実施した。
これは福島第一原発の事故により放射能被害が心配される地域の方々のために、心身の回復を目的として行うもので、第1回のキャンプには17名の参加があった。今後もセシウム137やストロンチウム90など、半減期の長い放射性物質の影響はなお続くと見られ、この長期低線量被爆の影響から、いくらかでも子どもたちの命を守りたいとの願いによって策定されたプログラムである。
国に対する除染や補償要求は強力に行わなければならないが、個々人のレベルにおいても放射性物質の解毒・排泄、ならびに放射線や活性酸素によって傷つけられた細胞や組織を修復する機能を高めることが求められている。
そのためにも、教団としてはこのプログラムを今後も継続的に実施していきたいと考えている
なおこのプログラムの実施に当たっては、受け入れを担当された東京YMCAならびに現地窓口となってくださった会津放射能情報センターの皆様にひとかたならずお世話になった。
また郡山教会には出発拠点を置かせていただくなど教会諸団体の協力なしには為し得なかったプログラムである。諸般のご協力に心より御礼申し上げたい。
(岡本知之・
救援対策本部副本部長)
8月末に銀座教会で行われました緊急シンポジウム「現代の危機とキリスト教」が本になって出版されました。私たちは何を聞き何を語るか、この本に、いっぱい詰まっています。
身近な方々へのご紹介を是非お勧めします。
《発売日》 12月19日
《価 格》 1,995円(内150円は救援募金)
《内 容》
教会は神からどのような問いかけを聞くのか、それに答えて何を語っていくのか、東日本大震災と原発事故を、信仰者としてどう受け止め、何を語るか。
教会、神学、キリスト教教育、キリスト教社会福祉の4つの視点から考える。
【はじめに】 石橋秀雄
開会礼拝説教
「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ」(北紀吉)
教団総会議長挨拶
「神の迫り」(石橋秀雄)
発題1 キリスト教学校の視点から
「何を学び、何を作りだしていくか」(中山昇)
発題2 神学者の視点から
「なぜ神は『悲しみの人』になられたのか」(芳賀力)
発題3 キリスト教社会福祉の視点から
「悲しみと苦しみに寄り添う」(稲松義人)
発題4 教会・教師の視点から
「教会は何を語っていくのか」(岡本知之)
特別講演
「土曜日のキリスト」(大木英夫)
閉会の祈り
【あとがき】 藤掛順一
日本基督教団救援対策本部・編
日本基督教団・刊
◎日時 2012年3月20日(火)
10時30分~15時40分
◎場所 仙台青葉荘教会とエマオ
入場無料(支援のための席上献金あり)
◎目的 震災から1年を覚え、主にある慰めといやしを祈る。それとともに神の御心に沿った真の復興とは何かとみんなで問い、語り合い、祈り合い、ここから主にあるところの希望ある将来への足がかり、また出発点とする。
◎内容 前半は真の復興とは何かをふまえ、向かうべき将来の教会および伝道の形についてシンポジウムを開き、全体で意見交換していく。後半は具体的に教区各委員会と教団救援委員からのメッセージ。その後、東日本大震災のこと、また何よりこの時がレントの期間中であることを覚え「灰の礼拝」と題する礼拝と祈祷の時をもつ。
◎問合せ 東北教区宣教部中村英之(0233-22-5733 新庄新生教会)
地域の人々の救いに仕える教会再建を
総幹事 内藤留幸
東日本大震災発生から、間もなく1年が経とうとしている。初動の緊急支援から、教団も教区・教会においても、精一杯の救援活動を行うことができたことを改めて、主に感謝したい。
教団の支援体制は今、瓦礫撤去に象徴される初動支援から、『会堂再建』を中核とした『教会再建』という長期支援に移行しようとしている。
『教会再建』は単に教会のみの事柄ではなく、被災した地域社会の復興に仕えるための土台となることなのである。
そこで今までの教団の救援活動をふりかえり、今後の救援活動を推進するために役立てたい。
Ⅰ.大震災翌日の3月12日(土)、内藤留幸総幹事のもとに『救援対策委員会』を設置し、救援活動を開始した。
この委員会設置は、第37総会期第1回常議委員会で可決された『救援対策基金に関する運用規定』に基づいている。
直ちに実行したことは、
①広範囲に亘る被災地の状況把握のための調査隊派遣(石橋議長を隊長とした4名)。
②国内募金開始(社会委員長名で)。
③広報活動開始(新報・HP、その他を活用して)。
④被災3教区に初動活動資金として各1千万円と見舞金50万円を送金。
⑤各教区との連絡を密にしながら、少し遅れて設置された救援対策本部の活動に協力する形で支援活動を仙台、石巻、遠野の3箇所に拠点を定めていくことになった。
救援対策委員会は6月末でその働きを終え、対策本部活動の下に入った。
Ⅱ.東日本大震災救援対策本部設置が、3月22日の常任常議員会の議を経て決まり、4月18日の常議員会で正式に承認された。
本部の構成員は10名(三役、常議員5名、それにキリスト教社会事業同盟、キリスト教学校関係者各1名づつ)。
基本方針は「地域の人々の救いに仕える教会の再建をめざして」。
本部長には教団議長が当たり、被災教区議長の常時陪席も決まり、教団全体として責任を果たしていくことになった。
すでに8回にわたる会議を重ねてきている。募金大綱を定め、2015年3月末までに国内10億円(海外12億円)を目標にして各教会に呼びかけ、現時点では両方とも2億円を越えている。
全本部委員も被災地域を視察し、被災状況が判明するにつれて対策方法も少しづつ変化し、多岐にわたっていく。特に放射能被災者への支援対策は教会幼稚園・保育園への空調設備支援のほか難しい課題をかかえているのが実状である。
対策本部の救援活動で、すでに決定したキリスト教社会事業の2施設への支援や長期にわたる被災した学生の奨学金援助なども忘れてはならない事柄である。
被災地を抱えた教区への、今日までの援助状況を調べてみると、直接教区へ支援金を送ったケースもかなりあり、そこには各教区・教会の独自性がみられる。
それらの支援は、被災地の人々がそれによって立ち上がる勇気を与えられてきたのであるから、とても意味のある支援であったと思う。しかし、これからは会堂再建という長期にわたる高額な支援対策をしていくわけであるから、教団に属する全教会も関係諸団体も、できるだけ救援対策本部が担う教団ルート一本に絞って、救援募金活動を進めていってほしい。
本部としても、できる限り公平性を保ち、しかも積極的に会堂再建支援を推進していきたいと考えている。それには国内募金の目標10億円を達成していくことが必須条件なのである。皆様今後も祈りをこめて募金に協力してほしい。
なお、東日本大震災救援対策本部主催で、8月29日~30日に実施された緊急シンポジウム『現代日本の危機とキリスト教』も意味ある集いであった。
東日本大震災でわれわれキリスト教会が問われたことは何かを、教会牧師、神学者、キリスト教学校教育者、社会事業者たちが、それぞれの立場から掘り下げた示唆に富んだ発題をされた。すでに教団出版局から同名の本として刊行されているので是非購入して読んでいただきたい。
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