また、使徒たちの間に、自分たちのうちでだれがいちばん偉いだろうか、という議論も起こった。 そこで、イエスは言われた。「異邦人の間では、王が民を支配し、民の上に権力を振るう者が守護者と呼ばれている。 しかし、あなたがたはそれではいけない。あなたがたの中でいちばん偉い人は、いちばん若い者のようになり、上に立つ人は、仕える者のようになりなさい。 食事の席に着く人と給仕する者とは、どちらが偉いか。食事の席に着く人ではないか。しかし、わたしはあなたがたの中で、いわば給仕する者である。 あなたがたは、わたしが種々の試練に遭ったとき、絶えずわたしと一緒に踏みとどまってくれた。 だから、わたしの父がわたしに支配権をゆだねてくださったように、わたしもあなたがたにそれをゆだねる。 あなたがたは、わたしの国でわたしの食事の席に着いて飲み食いを共にし、王座に座ってイスラエルの十二部族を治めること……
時刻になったので、イエスは食事の席に着かれたが、使徒たちも一緒だった。 イエスは言われた。「苦しみを受ける前に、あなたがたと共にこの過越の食事をしたいと、わたしは切に願っていた。 言っておくが、神の国で過越が成し遂げられるまで、わたしは決してこの過越の食事をとることはない。」 そして、イエスは杯を取り上げ、感謝の祈りを唱えてから言われた。「これを取り、互いに回して飲みなさい。 言っておくが、神の国が来るまで、わたしは今後ぶどうの実から作ったものを飲むことは決してあるまい。」 それから、イエスはパンを取り、感謝の祈りを唱えて、それを裂き、使徒たちに与えて言われた。「これは、あなたがたのために与えられるわたしの体である。わたしの記念としてこのように行いなさい。」 食事を終えてから、杯も同じようにして言われた。「この杯は、あなたがたのために流される、わたしの血による新しい契約で……
わたしたちの地上の住みかである幕屋が滅びても、神によって建物が備えられていることを、わたしたちは知っています。人の手で造られたものではない天にある永遠の住みかです。 わたしたちは、天から与えられる住みかを上に着たいと切に願って、この地上の幕屋にあって苦しみもだえています。 それを脱いでも、わたしたちは裸のままではおりません。 この幕屋に住むわたしたちは重荷を負ってうめいておりますが、それは、地上の住みかを脱ぎ捨てたいからではありません。死ぬはずのものが命に飲み込まれてしまうために、天から与えられる住みかを上に着たいからです。 わたしたちを、このようになるのにふさわしい者としてくださったのは、神です。神は、その保証として“霊”を与えてくださったのです。 それで、わたしたちはいつも心強いのですが、体を住みかとしているかぎり、主から離れていることも知っています。 目に見えるもの……
さて、過越祭と言われている除酵祭が近づいていた。 祭司長たちや律法学者たちは、イエスを殺すにはどうしたらよいかと考えていた。彼らは民衆を恐れていたのである。 しかし、十二人の中の一人で、イスカリオテと呼ばれるユダの中に、サタンが入った。 ユダは祭司長たちや神殿守衛長たちのもとに行き、どのようにしてイエスを引き渡そうかと相談をもちかけた。 彼らは喜び、ユダに金を与えることに決めた。 ユダは承諾して、群衆のいないときにイエスを引き渡そうと、良い機会をねらっていた。 過越の小羊を屠るべき除酵祭の日が来た。 イエスはペトロとヨハネとを使いに出そうとして、「行って過越の食事ができるように準備しなさい」と言われた。 二人が、「どこに用意いたしましょうか」と言うと、 イエスは言われた。「都に入ると、水がめを運んでいる男に出会う。その人が入る家までついて行き、 家の主人にはこう言いなさい……
イエスは彼らに言われた。「どうして人々は、『メシアはダビデの子だ』と言うのか。 ダビデ自身が詩編の中で言っている。『主は、わたしの主にお告げになった。「わたしの右の座に着きなさい。 わたしがあなたの敵を/あなたの足台とするときまで」と。』 このようにダビデがメシアを主と呼んでいるのに、どうしてメシアがダビデの子なのか。」 民衆が皆聞いているとき、イエスは弟子たちに言われた。 「律法学者に気をつけなさい。彼らは長い衣をまとって歩き回りたがり、また、広場で挨拶されること、会堂では上席、宴会では上座に座ることを好む。 そして、やもめの家を食い物にし、見せかけの長い祈りをする。このような者たちは、人一倍厳しい裁きを受けることになる。」 イエスは目を上げて、金持ちたちが賽銭箱に献金を入れるのを見ておられた。 そして、ある貧しいやもめがレプトン銅貨二枚を入れるのを見て、 言われた。「……
さて、復活があることを否定するサドカイ派の人々が何人か近寄って来て、イエスに尋ねた。 「先生、モーセはわたしたちのために書いています。『ある人の兄が妻をめとり、子がなくて死んだ場合、その弟は兄嫁と結婚して、兄の跡継ぎをもうけねばならない』と。 ところで、七人の兄弟がいました。長男が妻を迎えましたが、子がないまま死にました。 次男、 三男と次々にこの女を妻にしましたが、七人とも同じように子供を残さないで死にました。 最後にその女も死にました。 すると復活の時、その女はだれの妻になるのでしょうか。七人ともその女を妻にしたのです。」 イエスは言われた。「この世の子らはめとったり嫁いだりするが、 次の世に入って死者の中から復活するのにふさわしいとされた人々は、めとることも嫁ぐこともない。 この人たちは、もはや死ぬことがない。天使に等しい者であり、復活にあずかる者として、神の子だか……
イエスは民衆にこのたとえを話し始められた。「ある人がぶどう園を作り、これを農夫たちに貸して長い旅に出た。 収穫の時になったので、ぶどう園の収穫を納めさせるために、僕を農夫たちのところへ送った。ところが、農夫たちはこの僕を袋だたきにして、何も持たせないで追い返した。 そこでまた、ほかの僕を送ったが、農夫たちはこの僕をも袋だたきにし、侮辱して何も持たせないで追い返した。 更に三人目の僕を送ったが、これにも傷を負わせてほうり出した。 そこで、ぶどう園の主人は言った。『どうしようか。わたしの愛する息子を送ってみよう。この子ならたぶん敬ってくれるだろう。』 農夫たちは息子を見て、互いに論じ合った。『これは跡取りだ。殺してしまおう。そうすれば、相続財産は我々のものになる。』 そして、息子をぶどう園の外にほうり出して、殺してしまった。さて、ぶどう園の主人は農夫たちをどうするだろうか。 ……
ある日、イエスが神殿の境内で民衆に教え、福音を告げ知らせておられると、祭司長や律法学者たちが、長老たちと一緒に近づいて来て、 言った。「我々に言いなさい。何の権威でこのようなことをしているのか。その権威を与えたのはだれか。」 イエスはお答えになった。「では、わたしも一つ尋ねるから、それに答えなさい。 ヨハネの洗礼は、天からのものだったか、それとも、人からのものだったか。」 彼らは相談した。「『天からのものだ』と言えば、『では、なぜヨハネを信じなかったのか』と言うだろう。 『人からのものだ』と言えば、民衆はこぞって我々を石で殺すだろう。ヨハネを預言者だと信じ込んでいるのだから。」 そこで彼らは、「どこからか、分からない」と答えた。 すると、イエスは言われた。「それなら、何の権威でこのようなことをするのか、わたしも言うまい。」
……
エルサレムに近づき、都が見えたとき、イエスはその都のために泣いて、 言われた。「もしこの日に、お前も平和への道をわきまえていたなら……。しかし今は、それがお前には見えない。 やがて時が来て、敵が周りに堡塁を築き、お前を取り巻いて四方から攻め寄せ、 お前とそこにいるお前の子らを地にたたきつけ、お前の中の石を残らず崩してしまうだろう。それは、神の訪れてくださる時をわきまえなかったからである。」 それから、イエスは神殿の境内に入り、そこで商売をしていた人々を追い出し始めて、 彼らに言われた。「こう書いてある。『わたしの家は、祈りの家でなければならない。』ところが、あなたたちはそれを強盗の巣にした。」 毎日、イエスは境内で教えておられた。祭司長、律法学者、民の指導者たちは、イエスを殺そうと謀ったが、 どうすることもできなかった。民衆が皆、夢中になってイエスの話に聞き入っていたからである。
……
ああ、神の富と知恵と知識のなんと深いことか。だれが、神の定めを究め尽くし、神の道を理解し尽くせよう。 「いったいだれが主の心を知っていたであろうか。だれが主の相談相手であっただろうか。 だれがまず主に与えて、その報いを受けるであろうか。」 すべてのものは、神から出て、神によって保たれ、神に向かっているのです。栄光が神に永遠にありますように、アーメン。