ギレアド人バルジライはヨルダン川で王を見送るためにロゲリムから下り、王と共にヨルダン川まで来ていた。 バルジライは高齢で八十歳になっていた。彼は大層裕福で、マハナイム滞在中の王の生活を支えていた。 王はバルジライに言った。「わたしと共に来てくれないか。エルサレムのわたしのもとであなたの面倒を見よう。」
バルジライは王に答えた。「王のお供をしてエルサレムに上りましても、わたしはあと何年生きられましょう。 わたしはもう八十歳になります。善悪の区別も知りません。この僕は何を食べ何を飲んでも味がなく、男女の歌い手の声も聞こえないのです。どうしてこの上主君、王の重荷になれましょう。 わたしにはお供をしてヨルダン川を渡ることさえほとんどできません。王はそれほどにお報いくださることはございません。 どうか僕が帰って行くのをお許しください。父や母の墓のあるわたしの町で死にたいのです。ここにあなたの僕キムハムがおります。これに主君、王のお供をさせますから、どうかあなたの目に良いと映るままにお使いください。」 王は言った。「キムハムにわたしと共に来てもらおう。キムハムには、お前の目に良いと映るとおりにしよう。お前にはお前の選ぶとおりにしよう。」
兵士全体がヨルダン川を渡り、王も渡った。王はバルジライに口づけして彼を祝福した。バルジライは自分の町に帰って行った。
王はギルガルへ進んだ。キムハムも共に行き、ユダの全兵士もイスラエルの兵士の半分も王と共に進んだ。 イスラエルの人々は皆、王のもとに来て、王に言った。「なぜ我々の兄弟のユダの人々があなたを奪い取り、王と御家族が直属の兵と共にヨルダン川を渡るのを助けたのですか。」 ユダの人々はイスラエルの人々に答えた。「王はわたしたちの近親だからだ。なぜこの事で腹を立てるのだ。我々が王の食物を食べ、贈り物をもらっているとでも言うのか。」 イスラエルの人々はユダの人々に言い返した。「王のことに関して、わたしたちには十の持ち分がある。ダビデ王に対してもお前たちより多くの分がある。なぜわたしたちをないがしろにするのだ。わたしたちの王を呼び戻そうと言ったのはわたしたちが先ではないか。」しかし、ユダの人々の言葉はイスラエルの人々の言葉よりも激しかった。