3月22日、第26回神学校等人権教育懇談会が、日本基督教団いずみ教会(大阪府和泉市)にて開催された。神学校教員、部落解放センタースタッフなど12名が参加した。
まず全体の開会に先立って全員で水平社宣言を読み上げた。開会礼拝ではコロサイ書1・9〜20が読まれ、関西学院大学神学部の岩野祐介が、学問として神学を教える学校であることと、社会において行動する主体であることとは不可分であるが、それを本当に実行するのは困難であり、ともに祈りあう必要があるのではないか、とメッセージを述べた。
続いて参加者自己紹介の後、部落解放センターの運営委員長であり、いずみ教会教会員でもある講師の東谷誠さんから、和泉市の被差別部落とその歴史についてお聞きし、フィールドワークへと向かった。
フィールドワークでは、葛葉稲荷神社、聖神社、聖神社から排除された部落の人々が自分たちの神社として建てた八坂神社、水平社の支部が結成された場所である浄土真宗西教寺、かつて部落の境界線であった常夜灯跡、和泉市立人権文化センターを回った。街中の場所のそれぞれに、関わる人々の苦難の物語があることを聞くことができた。今度は我々がそれをさらに伝える番である。
その後いずみ教会に戻って、各自が感じたことや考えたことを述べ、意見を交換した。神学校のカリキュラムの中で現実の問題を学生に体験してもらうことの難しさと重要さ、学生のおかれた社会的状況の変化により、余裕のない学生が増えてきていて、社会的な問題を共有することが難しくなっているように思われること、しかしそうであるからこそ、学校が、学生の余裕のなさを、差別を生み出す構造の一部として捉え、学生にそれを伝え、共に問題と向き合う存在でなければならないこと、等が話し合われた。また東谷さんから、差別に苦しめられている人々と寄り添い、ともにあるものとしての牧師を育成してほしい、との要望があった。
このような貴重な機会を得られたことを感謝すると同時に、自らが所属する場でこの体験を活かしていきたいと考えている。
(岩野祐介報/関西学院大学神学部准教授)
第38総会期第1回教師検定委員会が、3月25日~26日、教団会議室において、委員7名全員の出席によって行われた。
冒頭において長崎哲夫総幹事からの挨拶を受け、改めて教師検定委員会の任務の確認が、「教憲教規および諸規則」に基づいてなされた。そして試験時における委員のなすべき事項が確認され、おのおの主に託されたその使命の重さを受け止めなおした。
今総会期から新しく加わった2名の委員をはじめとして各委員の自己紹介を行い、その後、委員長、書記の選出が行われた。その結果、前総会期の書記であった渡部和使(名古屋北)が委員長として選出され、書記は鷹澤匠(信州)に決まった。
議事日程が確認されたあと、委員長から、前総会期の報告および前総会期からの申し送り事項が説明された。特に重要な事項については丁寧な議論が交わされた。それらを踏まえた上で、今総会期の委員会方針が議論された。
結果、「第32総会期第5回常議員会の議決をふまえ、和解の福音に根ざしつつ、合同教会としての日本基督教団の形成を担う教師を立てることをめざす」という一文が入った前総会期同様の方針が可決された。
その後、この委員会の責任のもとで行う4回(2年分)の教師検定試験の日程が検討された。事務局案に対して、多少の変更が加えられたが、ほぼ例年通りの日程となった。
そして早速、9月17日から行われる2013年秋季教師検定試験についての検討に入った。提出試験となる説教、釈義の聖書箇所が祈りつつ検討された。多くの候補の中から、正教師にはエレミヤ書とヨハネ福音書、補教師にはイザヤ書とコロサイ書の箇所が、それぞれ課せられることになった(詳細は、4月6日付の新報の公示にて)。続けて組織神学論文、神学論文、牧会学のテーマが議論され、それぞれ決められていった。さらに公示と要綱の文章が検討され、作成された。
最後の議事として、『教師検定受験の手引き』の見直しについての議論が行われた。これについては、各担当者を決め、次回委員会において検討されることが確認された。
二日にわたる委員会は、左近深恵子委員の祈祷をもって閉会した。
(鷹澤匠報)
3月19日、教団会議室にて、38総会期教団救援対策本部第2回(通算第20回)会議を開催した。
先ず、3月19日現在の国内募金総額が5億1188万1427円、海外からの献金が2億3377万1283円との報告がなされ、国内募金が5億円を超えたことを委員一同感謝した。
続いて救援対策室から、メモリアルマンス関連(各教区での震災2周年記念礼拝・集会実施など)、台湾基督長老教会関連(同議長来日報告、石橋秀雄議長訪問計画など)、救援対策本部会計等の報告がなされた。
被災教区からの報告として奥羽教区からは、千厩教会の会堂建築工事の状況(4月に完成引渡しの予定)、被災教会の再建に向けての検討状況、大震災2年を覚えての礼拝の実施(教区内6カ所、計337名出席)等が報告された。
東北教区からは、被災者支援センター関係(ボランティア登録状況、活動記録『エマオへの道』発行など)、建物復興計画の進捗状況、東北教区放射能問題支援対策室設置に向けての検討状況等の報告がなされた。
関東教区からは、被災支援委員会関連(ボランティア派遣、会堂再建支援、3・11記念礼拝開催、支援ニュース発行など)、及び被災教会の再建復興に向けての動き等の報告がなされた。
東京教区からは、安食教会が3月20日に献堂式を行う予定であることが報告された。
また、東日本大震災国際会議開催(2014年3月。仙台にて)に向けての準備状況の報告等もなされた。
審議事項においては、東北大学実践宗教学寄附講座の活動状況、課題と取り組み(同講座に関わる「臨床宗教師研修」における活動についての取材への対応など)に関して、川上直哉同講座運営委員長から詳細に報告がなされ、これを承認した。
続いて、救援対策本部の2013年度活動計画・予算案(継続事業分として総額1億2900万円)を承認したほか、常盤教会への支援・貸付と桐生東部教会への貸付を決定した。
その他、救援対策本部および救援対策室の構成員、救援対策担当職員の任用についての確認等を扱った。
次回会議は、4月1日、教団会議室にて開催する。
(雲然俊美報)
第1回委員会が3月20日教団B会議室で開催された。招集者である佐々木美知夫(静岡)の他、飯田敏勝(大曲)、熊江秀一(新津)、小泉健(東京神学大学)、寺田信一(横須賀小川町)、林牧人(西新井)、松井睦(聖徒)そして担当幹事の道家紀一が出席、自己紹介をした。その後、長崎哲夫総幹事の挨拶を受けた。
議事ではまず、現行「宣教研究所規定」を確認し、今期委員会の任務について協議した。その結果、今期は「改訂宣教基礎理論」の案文を確定するための作業を最優先することを申し合わせるに至った。
また、第37総会期宣教研究所委員会からの申し送り事項に関して、道家幹事から資料「『改訂宣教基礎理論』作成の経過」ならびに「第37総会期 第9回宣教研究所委員会議事録」に基づいて説明を受けた。
しかしこの際、前期委員会が常議員会において配付した第1次草案を一部削除訂正して各教区へ送るはずであったものが、事務上の誤りでそのまま送付されていたことが分かり、訂正版を改めて送付することとした。
宣教基礎理論の改訂にあたっては、第1次草案の骨子や形式を抜本的に変更する必要は無いことを確認したが、文末記載の「注」の取り扱いや、諸委員会並びに各教区から寄せられる改善提案、指摘事項をすべて確認の上、内容をこれから深めて行くことを申し合わせた。また現時点では、各教区総会に於いてこの件についての質問や意見があった場合は、問安使が答えるのではなく、委員会に報告してもらうことを要望することとした。
また、東京神学大学(教団立神学校)教授会に「万博・東神大・教師検定問題年表改訂」に関する研究員を推薦してもらい、委嘱することとした。
なお、委員長に招集者佐々木美知夫を、書記には寺田信一を選出した。
(寺田信一報)
伝道を推し進めるために
3月31日、復活日夕刻、伝道推進室発足記念大会が銀座教会にて開催された。第1部記念礼拝は銀座教会の主日夕礼拝に合流して守られ、第2部に記念講演が行われた。
記念礼拝には、説教者として小島誠志氏(久万 教会牧師)が御言葉を取り次いだ。「夜明けの岸辺」と題し、ヨハネ福音書21章1〜14節をテキストとした。
一晩中、全く収穫がなかった弟子の徒労、岸辺に立つ者からの命令に「結果はわかりきっているとの思いで、仕方なしに網を打った」弟子たちのあきらめから語りはじめられた。
夜が明けて、岸辺に立つ者によって、決定的な場面転換が起こっていることにまだ弟子たちは気付いていない。しかし、新しいときを既に迎え、「復活の主が弟子たちの働きに手を添え、弟子たちの働きの意味が決定的に変わっている」。弟子たちが主に気付くときは、「自分の不信仰を思い知らされ、伝道する者が経験する、祝福によって打ちのめされる経験でもある」。
夜明けの岸辺で網を打っているとき、何をしているのか、実りのないかのような徒労を覚える。「しかし、収穫を引き上げることができないのである。この収穫を主のもとで見せていただくときがある」。引き上げられないほどの大漁に網は破れない。「そうであるなら、労苦や祈りは決して無駄にはならない。網は破れず、労苦の実りは決して失われない。主の日に向けて気を落とさず、その日があるから弛まず網を打ち続けたい」。終わりの日、主の招きにより、わたしたちは大きな収穫の祝いの宴に与ることを忘れてはならない、と結んだ。
復活の主によってはじめて眺め透かすことのできる終わりの日の大きな収穫の希望を語る説教に、一同、伝道への志を新たに得、励ましを受けた。
記念講演では、この3月で東京神学大学学長の任期を終える近藤勝彦氏が「救われた命を伝道のために」と題して約一時間半の講演を行なった。
伝道推進室設置の意義、発足記念を復活日に行なう意義から語られた。復活の主の大伝道命令に従い「伝道することは、日本基督教団として必須のことであり、日本、世界伝道のため専念してして働く機関が必要である」。「伝道推進室が負うべき使命は、教団が伝道する教団として前進するために具体的かつ実践的に仕えること」とした。
諸教会が伝道を推進するための具体的、実践的支援は、「本来、『室』という一つの部屋の課題や責任ではなく、教団全体の根本的性格と行動を規定する統合的な部局」を必要とする。この実現まで伝道推進室の取組みに期待する、とした。
「伝道は、主イエス・キリストにおける決定的な神の救いの業を伝えること、キリストのまわりに神の民が集められ、世の終わりの神の国の到来に備える終末的行為」として、「伝道意識の向上と伝道的体質の強化」を教会に取り戻すことが喫緊の根本的課題である、とした。
伝道意識の向上、伝道的体質の強化のためには特別な工夫は必要とはせず、「教会、キリスト者として、ごく普通の教会生活によって生かされること、神の恵みに豊かに生かされること」が必要で、「ごく当然の礼拝を中心とする教会生活の中で、福音の前進と世の人々の救いのために、ごく当然の祈りを真実になすこと」とした。その中で、「他の人の信仰と救いのために用いられる喜びを経験する」。「『救われた命』と『伝道のため』は切り離すことができず、伝道は救いに至り、救いは伝道に至る。伝道に共に与りながら、救われた命の喜びをいっそう深く、確かにされる」とした。
「直接伝道してもよいし、直接伝道する人を助けて間接的に伝道してもよい。伝道のため祈っている人が一人いたら、神はその人の祈りを必ずお用いになる。一人の人が祈りつつ立つなら、いかなる世の無関心もその人を押し流すことはできない」。「伝道推進室が現在の伝道の難局を少しでも乗り越えて主の御名をほめたたえることができるよう祈る」と講演を結んだ。
近藤氏にとって学長として最後の講演となった。伝道推進室が為すべきこと、進むべき方向、先にある展望、伝道の意義を大胆に力強く語る講演であった。
大会では、石橋秀雄教団議長(推進室長)が挨拶を、山北宣久氏(青山学院院長)が祝辞を述べた。説教者、小島氏と共に、伝道決議、推進、実質化を押し進めてきた議長、前議長たちが会したことになる。また東京神学大学コーラス部による讃美歌奉唱が献げられた。参加者は約200名であった。
(教団新報編集部報)
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18-31
Copyright (c) 2007-2025
The United Church of Christ in Japan






