落ち穂を残す社会に
代々木上原教会員
田村綾子さん
横浜で生まれ育ち、明治学院大学で社会福祉を専攻、精神科病院での実習が、進路を決める契機となった。病院で出会った患者さんは飾り気がなく、本音だけで対話がなされていた。その空間に居心地の良さを覚えると共に、この人々が入院生活を続けざるを得ない現実と、受け入れる場がない社会に疑問を抱いた。
大学卒業後は、精神科病院で17年勤務し、患者の権利擁護や地域生活支援を担った。当時は「精神保健福祉士」の国家資格は無く、働きながら仕事を身に付けて行った。病院でベテランとなった頃に大学院に進学、現場経験を学問的に深める機会を与えられた。
病院を辞めた後、現在、会長を務める精神保健福祉士の職能団体に勤務。研修制度を整えると共に、国に対して政策提言を行う。この働きの中で、聖学院大学で講義を任され、専任となり、昨年の7月に理事長に就任した。
田村さんが教会に繋がったのは、病院を辞めた後だった。大学院で知り合った交際相手が、結婚直前に病が見つかり、結婚して2年後に召されてしまう。夫の高校(明治学院)時代の恩師に結婚式と葬儀の司式をしてもらった。夫を看取った後、教会に導かれ受洗。聖書を学ぶ中で、社会福祉の原理である人権や個の尊重に通じるものがあると受け止めている。
旧約聖書の中の落ち穂を貧しい者のために残しておく話から、実りの全てを自分の物とせず、拾う人もできる範囲で働き、自尊心を損なうことなく糧を得て行くところに共生の仕組みがあることを知らされた。「弱い立場の人々が生きづらさを覚えることなく、誰もが肯定されていることを知らされるところに生まれる寛容さを土台とした未来の社会を創る働きを担えれば」と語る。






