10月7〜9日、奥羽教区(青森県、岩手県、秋田県)で初めて開催された部落解放全国会議に参加した。北東北の地における部落差別の歴史を掘り下げた、充実した内容であった。
会議の一日目の会場は、青森にあるハンセン病国立療養所松丘保養園であった。奥羽教区および近隣の教会は、長年、同保養園内にある単立キリスト教松丘聖生会と共に歩んでいる。
私は47年前、神学生時代に、同保養園で開催されたワークキャンプに参加した。内容は、園内整備作業と入所されている方々との交流であった。そこで衝撃的な出会いを与えられた。
私がお訪ねしたKさんは病気のために失明し、点字で聖書を読んでいたが、指先の感覚も麻痺してしまい、舌で点字を読んでいた。「舌読(ぜつどく)」であった。私が、「つばは出ないのですか?」と聞いたところ、Kさんは、「最初は点字の聖書がべとべとになったが、今は食事の時はつばが出るが、点字を読む時はつばが出なくなった」と答えた。私は、聖書のみ言葉を糧とし、み言葉により頼んで生きる信仰の神髄を目の当たりにした。
Kさんは、私が神学生であると知って、「この若者が伝道者として立つことができるように、神よ、守りたまえ」と、長いお祈りをしてくださった。Kさんとの出会いは、私の伝道者としての歩みの原点である。
(教団総会議長 雲然俊美)






