インスタグラムアイコンツイッターアイコンyoutubeアイコンメールアイコン
日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【5036号】 荒野の声(1面)

2025年8月23日

 一昔前、「一神教は不寛容」という言説を度々耳にした。背後には「多神教である日本は寛容」という主張が込められていた。当時、世界で頻発していた原理主義に基づくテロとは無縁であった日本社会において、一定の説得力を持って受け止められていたように思う。▼しかし、寛容の精神が、欧州での近代化の中で、幾多の争いを経てもたらされた宗教和議や寛容令によって醸成されて来たと受け止めている者にとっては、少々乱暴な主張のように感じられた。また、多神教であっても、等しく不寛容に陥る可能性があるにも関わらず、自らの問題として受け止めようとしない姿勢に危うさも感じた。▼昨今、日本においても自国ファーストを掲げる政党が支持を集め、ネット上には排外主義的な言説が溢れている。もともと無自覚であったが故に、むき出しの不寛容が蔓延しかねないのではないかと危惧せざるを得ない。▼「寛容」(tolerance)という言葉は「忍耐」をも意味する。「寛容」を、ただ自己評価として主張するのではなく、事実、異なる者と認め合う時に必要な忍耐に生きる愛の業として受け止めることが求められているように思う。

教団新報
PageTOP
日本基督教団 
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18-31
Copyright (c) 2007-2025
The United Church of Christ in Japan