再審への道が開かれることを求めて
キリスト者による狭山要請行動が、9月3日に行われた。
午前中に日比谷図書文化館で、河村健夫弁護士から、「正念場を迎えて~狭山第三次再審の現状」との講演を聞いた。河村弁護士は、事件の経過を振り返り、当時、威信が失墜することを恐れていた警察の捜査手法が、別件逮捕、手錠をかけた状態での取り調べ、分室での留置等、今では考えられないものが多々あったこと、更には、否認を続けていた石川一雄さんが、弁護士がほぼ面会できない状況で、「自白をしないと家族が困窮する」と思い込むようにされた中で自白に至ったこと等を語った。また、複数の証拠にこじつけられた疑いがあり、特に、第三次再審請求で出て来た証拠に関わる資料に、偽造、変造が見られること等を説明した。更に、再審請求については、再審に関する刑事訴訟法の条文は少なく、裁判所の裁量によって決まること、再審請求への扉を開くためには、「事実調べ」の実施が重要であること等を語った。
午後には、東京高等裁判所、東京検察庁を訪れ、吉高叶議長(日本キリスト教協議会)、中村倫明委員長(日本カトリック部落差別委員会)をはじめ13の団体・代表者が名前を連ねる要請文を朗読して渡すと共に、教団から出席した網中彰子総幹事をはじめとして、参加者がそれぞれの思いを述べつつ訴えた。東京高等裁判所第四刑事部、家令和典裁判長に宛てた要請文は、「第三次再審請求で弁護団が請求する11人の鑑定人尋問と万年筆インクに関わる鑑定を速やかに実施する」よう求め、東京高等検察庁に宛てた要請文は、「鑑定を認め、事実調べ、再審への道を開く」ことを求めている。
(新報編集部報)