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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【5025号】続き 第43回日本基督教団総会 キリストの体なる教会の形成(2、3面)

2024年11月23日

財務関連、教区提案の2議案を否決

 財務関連の諸議案は一日目から三日目にかけて、選挙や報告会による中断を挟みながら多くの時間をかけて審議された。

 まず教団歳入歳出の2022年度決算、2023年度決算、2024年度実行予算、2025年度原予算が一括して上程された。また2024年度実行予算と2025年度原予算それぞれに関連する議案が同時上程された。

 22年度決算では当期収支差額が諸委員会のオンライン併用開催を主な要因として717万円余りの差益となったこと、株式会社SEELSによる会館室料未払いが収益事業会計に大きな影響を及ぼしていること等が報告された。

 23年度決算では当期収支差額に337万円余りの差損が発生したこと、出版局に2200万円を遺贈会計から資金移動して貸付をしたこと、SEELSの未収金に対して訴訟を検討していること等が報告された。

 24年度実行予算の審議の前に、同時上程された関連議案「日本基督教団『沖縄宣教連帯金』の減額分760万円を支出する件」(提案者第69回大阪教区定期総会)が先議された。本議案は、教団が2010年度から2019年度まで沖縄宣教連帯金を減額したが、その減額分を2024年度分と併せて支出することを主旨とする。提案理由は「2020年度に宣教連帯金を40万円から合同議定書に基づく120万円に戻したことを教団の方向転換ととらえ、それに倣って減額分も支出するべきである」と説明された。賛否の意見が交わされたほか、雲然俊美総会議長に対して減額から回復へのプロセスを問う声が上がった。 

 本議案は365名中158名の賛成で少数否決となり、原案どおりの実行予算案が審議された。 

 次に25年度原予算の関連として「伝道資金規則改定に関する件」(提案者第74回九州教区総会)が先議された。改定を提案する理由として「現行の伝道資金制度は全教区が同一条件で申請できるなど公平性が十分に確保されていない点が最大の問題であり、その解決を図って伝道資金制度がより有効なものとなることを願う」と説明された。主な改定点は「各個教会に伝道活動や小規模教会援助として交付される伝道交付金と教区に伝道方策のために交付される伝道方策交付金の別を無くすこと」、「教区からの申請を伝道資金小委員会が審査した上で常議員会が交付を決定する現行の方式から、教区内教会の収入や伝道圏の面積および教区の運営費を反映する計算式に基づいて同委員会が交付額の原案を作成し、常議員会が決定する方式に改めること」等である。

 これに対して「審査を行うから公平性がある」等の反対意見、「教区間の互助こそキリストの体なる教会にふさわしい」等の賛成意見が交わされた。採決は議場からの動議によって無記名投票で行われ、360名中賛成174名で否決された。

 続いて部落解放センターの2022年度、2023年度決算および2024年度実行予算、出版局の2022年度、2023年度決算、年金局の2022年度、2023年度決算および2024年度、2025年度財務計画案が上程され審議された。

 出版局決算については22年度決算では讃美歌の価格改定等により850万円余りの純利益があったが、23年度純利益は前年度比で2800万円以上減少し、2000万円余りの差損が生じた。定期刊行物の売上減少の傾向が続いていること、キリスト教学校における讃美歌の個人購入が減少していること、新刊刊行点数は増えたものの既刊書の不振が続いたこと等が要因だと説明された。

(米山恭平報)


「全体教会としての一体性を確認する件」を可決

 教団総会三日目、議案第30号「日本基督教団の全体教会としての一体性を確認する件」が議された。前総会において「機構改定の目的と課題を確認する件」が可決されたが、そこで確認されたのが、教団機構改定の課題として、日本基督教団の全体教会としての一体性の確立であり、そのことの具体化としての議案である。議案の提案者は常議員会である。

 議場から、「機構改定のための議案であるというが、今回機構改定のための議案は提案されていないがどういうことなのか」との質問があったが、「議案化できなかったが、機構改定については今後常議員会において議論を進めることになっている」と書記が応じた。

 また「この議案は教憲をなぞるような内容になっており、教憲に対する解釈が含まれている。それは教団の多様性を否定するようなことになり、議案にそぐわないのではないか」という意見があった。同じく反対意見として「信仰告白を、異なる考え方を排除するために用いるのは違う。信仰告白は多様であるべきで、この議案はその多様性を否定している」という意見があった。一方賛成意見として、「常議員会では、この議案の内容は当たり前だとの意見もあったが、教団内では未受洗者陪餐等、不信感を生じさせるような事象もある。ここで一体性を改めて確認するのは有益である」という意見があった。採決の結果、212名の賛成で議案は可決された。

 その後、九州教区が提案者である議案第36号「教憲9条を改正し、伴って関連教規条項を改正する件」が上程された。この議案は、二種教職制を解消し、現在の正教師、補教師の区別を無くすことを求める議案である。

 議場から、「キリスト教主義学校の理事等、教師としての経験を積んだ者を学校が選任するという現状があるが、神学校を卒業した者がすぐにそのような務めを与えられてしまうことを学校等にどう説明するのか、また、神学校等の教師養成機関に対して、綿密な打ち合わせ等が必要になってくると思うが、それらの点についてどう思うか」という質問があり、「まず正教師、補教師という区別を廃止し、教師一本にすることが目的であり、その後のことは常議員会等で議論するという流れになると考えている」と九州教区議長が答えた。「補教師はインターンではない。牧会の現場では正と補の働きの違いはない。また、主任、担任の関係性があるかもしれないが、共同牧会者として痛みを知っていただきたい故に、この議案には賛成する」という意見もあった。その後、今議案を次回総会に継続するという動議が出され、修正案となったが否決され、更にこの議案を常議員会付託とするという動議が出され、修正案となったが否決された。その後、今議案の取り下げを求める意見が出たが、すでに採決に入っているとして原案が採決され、否決された。

(小林信人報)


秋田集中豪雨、能登半島地震の報告を聞く

 2日目午後、前総会期に発生した、秋田集中豪雨、能登半島地震の報告会が行われた。

 秋田豪雨について、小林よう子奥羽教区議長が、多くの支援に対する感謝と共に、経緯を述べた。秋田地区を中心に対応することを決め、災害支援委員会を立ち上げたこと、初動の方針を考えておくことが課題になっていること等を報告した。

 続いて、中西絵津子救援委員長が具体的なことを報告。秋田県は災害が少なく経験も乏しい中、野田沢SCF主事、東日本大震災の際に被災教会だった宮古教会の森分和基牧師が駆けつけてくれたことを報告。「秋田市の中心地が水没したことにショックを受けたが、災害に対する当事者意識を持ち、自分事として捉えることを学んだ。教会には力があり、信仰共同体として神の国の希望、喜びを発信できたら、暗い世の光となることを感じた」と述べた。

 能登半島地震について、加藤幹夫中部教区議長が、祈りと支援に対する感謝と共に、教区としての対応を報告した。教区が作成していた災害マニュアルに沿って、初期、中期の対応を行ったこと、現在は、新たに被害が報告された魚津教会を含めた4教会、関連施設の支援、再建を目指して取り組んでいること等を報告した。

 続いて、松島保真現地委員長が報告。輪島教会をはじめ被災教会は、震災直後から礼拝を続け、礼拝が被災者を支えて来たこと、「半島」への陸路が断たれ、復旧、復興が進まず、9月の時点で解体が済んだのは全体の1割程である上、9月21日に豪雨災害が起こり、先が見えない状況の中で不安といら立ちを抱えている人も少なくないこと等を報告。また、能登半島は、東京都とほぼ同じ面積の中に3つの教団の教会が立てられ、それぞれが100年を超える歴史を持ち、祈り、支え合いながら伝道していることを告げ、各教会の被災状況を報告。「それぞれの教会の礼拝出席は10名前後、教会が無くなれば、毎週礼拝し福音を届ける砦が失われる。能登から福音の灯を消さないために、忘れないで、祈り続け、支え続け、献げ続けてほしい」と述べた。

 野田沢SCF主事は教団が派遣しているボランティアについて報告した。火曜〜金曜の日程で、富来伝道所に宿泊しつつワークを行うこと、伝道所は快適で、食事も良く、温泉もあり、体力に自信の無い方も参加できること、12〜2月は積雪で派遣を控えるものの、3月以降に派遣を予定していることを告げ、参加を呼びかけた。

 尾島信之議員、守安久美子議員、雲然俊美議長被災地を覚えて祈りを捧げた。

(新報編集部報)


罪の赦しと復活の命を土台に
開会礼拝、逝去者記念礼拝、聖餐礼拝

 開会礼拝では、加藤幹夫牧師(阿漕教会)がコリントの信徒への手紙一12章27節〜13章3節から、「愛という賜物を受ける共同体」と題して説教した。

 冒頭、災害、戦争が起こり、教会では教勢の低下や高齢化が進んでいるとし、「私たちは崩壊期を歩んでいる。苦難の中で、人間の力で乗り越えようとする時、神が与えてくださった愛を失って行く」と告げた。

 また、総会の主題にある「キリストの体なる教会」とは、十字架による罪の赦しと復活による永遠の命を土台とする信仰告白共同体であり、私たちは「キリストにつながり一つになっている」ことを告げ、コリント教会が派閥に分断され福音の喜びを失っている中、パウロは、十字架による赦しと復活の命に生きる教会であってほしいという願いから、福音を語り、秩序を整えて行ったことを振り返った。また、13章から「愛の讃歌」が記されていることに触れ、「この愛は、キリストが与えてくださった賜物としての愛」であるとし、教会が、崩壊期にあっても希望を失わないのは、土台となるキリストの愛は決して滅びないからであると語った。

 二日目の朝に行われた逝去者記念礼拝では、杉岡ひとみ牧師(千歳栄光教会)がマルコによる福音書4章1〜9節から「いのちの種」と題して説教した。

 先ず、「種を蒔く人のたとえ」において、イエスの言葉を聞く聞き方が問われており、私たちは、イエスの言葉を聞き良い実を実らせる者となりたいと願うが、私たちの歩みは上手く行かないこともあることを告げた。

 その上で、子どもが記した神さまへの手紙の中に、6歳の子どもが、「道に落ちた種は鳥が食べたし、石地の種は虫が食べたと思うから種は無駄にならない」と記していたことを紹介、「どのように種が蒔かれ、実を結ぶかは皆違う。私たちの状況が良くても悪くても、御言葉の種には豊かな命の可能性がある」と語った。更には、御許に送った信仰の友も、蒔かれた種を大切にしながら歩んだことを告げると共に、「天上の友が蒔いた種は私たちにも引き継がれ、私たちの信仰を強くする。種を蒔く神が共におられることを覚え、それぞれの場所で豊かに実を結ぶよう歩みたい」と語った。

 逝去教師165名の名前を朗読し、祈りを捧げた。

 三日目の朝に行われた聖餐礼拝では、服部修牧師(蕃山町教会)がヨハネによる福音書20章19〜23節から、「赦しに生きる」と題して説教した。

 冒頭、初代教会の時代、聖餐式の際の言葉が漏れ伝わり、「クリスチャンが人の肉を食べているらしい」との噂が立ったことに触れ、知らない人々には不可解な聖餐を、クリスチャンが喜びを持って受け止めているのは、「十字架によって救われた事実があるから」と述べた。

 また、復活の日、扉に鍵をかけていた弟子たちに、イエスさまが現れ、「平和があるように」と告げ、十字架のしるしとして手と脇腹を見せたことに触れ、「弟子たちは、十字架の死が赦しであることを示され、そのしるしを喜んだ」と指摘した。更に、弟子たちに、イエスさまが「あなた方を遣わす」と告げたことに触れ、「赦された者が、赦しに生きるのは、イエスさまが遣わしてくださるから」と述べた。その上で、私たちが聖餐にあずかるのは、「私はイエスさまから逃げていた」と認め、「それなのに、十字架によって赦された」と確認し、「私も赦しに生きよう」と遣わされるためと語った。

(新報編集部報)

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