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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【5021号】教憲変更議案:「教憲9条を改正し、伴って関連教規条項を改正する件」掲載について(4・5面)

2024年7月27日

教憲変更議案:「教憲9条を改正し、伴って関連教規条項を改正する件」掲載について

第42総会期 日本基督教団総会議長 雲然俊美 2024年7月27日

 第74回九州教区定期総会にて、第43回教団総会への提出議案として可決されました。本議案は、「教憲変更議案」となります。教憲12条に則り、教団新報にて「公表する」こととなりました。


教憲9条を改正し、伴って関連教規条項を改正する件

提案者 第70回九州教区総会

議案

 現行の教憲第9条の規定「教師はこれをわけて,正教師および補教師とする」は、先の大戦下に宗教団体法(1940年施行)及び同施行令の命じるところに従って合同前各教派が不可抗力的に採るに至った「二種教職制」を踏襲して定められた旧日本基督教団規則第207条「教師ハ之ヲ分チテ正教師及補教師ノ二種トス」を、戦後の混乱期に充分な検討なくそのままに引き継いだ(1946年6月制定)ものであって、教会の信仰に基く内的希求ないし信仰的決断に発した定めではない。

 従って、第42回日本基督教団総会は、先の戦時下に犯した“神の主権よりも国権を上位に置いた過ち”を深く悔改め、神が与え給うた信仰の自由なる決断において、教憲第9条を次の通り、改正し、伴って関連教規条項を改正する。


教 憲

第9条

本教団の教師は、神に召され正規の手続きを経て献身した者とする。

教師はこれをわけて、正教師および補教師とする。

正教師は按手礼を領した者、補教師は伝道の准允を受けた者とする。

第9条

本教団の教師は、神に召され正規の手続きを経て献身し、按手礼を領した者とする。

 

なし

付則(12条の後に追加

上記の変更は、決議の日から3年を超えない範囲内において、常議員会の定める日から施行する。

教 規

7条① 略

② 議長、副議長および書記は、正教師の議員の中から定期教団総会において選挙する。

② 議長、副議長および書記は、教師の議員の中から定期教団総会において選挙する。

12条① 略

② 仮議長は、正教師の議員の中から選ぶ。 

 

61条① 教区総会は、次に掲げる議員をもって組織する。ただし、沖縄教区の場合は、第1号ないし第4号の議員を教区規則の定めるところによって変更することができる。

  • 教区内における正教師たる巡回教師

および正教師たる教務教師の互選による者、総数の3分の1

  • 教区内における正教師たる神学教師

各神学校の専任者、総数の2分の1

4)-(5) 略

 

② 仮議長は、教師の議員の中から選ぶ。

 

61条① 教区総会は、次に掲げる議員をもって組織する。ただし、沖縄教区の場合は、第1号ないし第4号の議員を教区規則の定めるところによって変更することができる。

1  

2   教区内における巡回教師

および教務教師の互選による者、総数の3分の1

3   教区内における神学教師各神学校の専任者、総数の2分の1

4)-(5) 略

 

62条① 次に掲げる者は、准議員として教区総会に出席し発言することができる。ただし、表決に加わることができない。

  • 正教師で議員でない者
  • 補教師で議員でない者

(3)教区総会において推薦する者

(4)キリスト教教育主事

62条① 次に掲げる者は、准議員として教区総会に出席し発言することができる。ただし、表決に加わることができない。

(1)  教師で議員でない者

(2)  教区総会において推薦する者

(3) キリスト教教育主事

63条① 略

② 議長および副議長は、正教師たる議員の中から、書記は議員の中から、定期教区総会において選挙する。

③-④ 略

63条① 略

② 議長および副議長は、教師たる議員の中から、書記は議員の中から、定期教区総会において選挙する。

66条 教区総会において処理すべき事項は次のとおりである。

 (1)-(2) 略

3)教師の按手礼および准允に関する事項

4牧師、伝道師の就任、退任その他教師の移動に関する事項

5)以下 略

66条 教区総会において処理すべき事項は次のとおりである。

 (1)-(2) 略

3)教師の按手礼に関する事項

4牧師の就任、退任その他教師の移動に関する事項

5)以下 略

103条 教会担任教師が正教師であるときは牧師、補教師であるときは伝道師という。

 

(参考)

 「日本基督教団  教会」規則(準則)

103条 教会担任教師を牧師という。

 

 

(参考)

  日本基督教団  教会」規則(準則)

14条① 担任教師が正教師であるときは牧師、補教師であるときは伝道師という。

② 略

15条 牧師または伝道師が就任したとき、教会は教区と合議の上、就任式をおこなう。

 

104条 教会担任教師は、次の教務を執行する。ただし、伝道師は第2号の教務を執行できない。

以下 略。

14条① 担任教師を牧師という。

② 略

 

15条 牧師が就任したとき、教会は教区と合議の上、就任式をおこなう。

 

104条 教会担任教師は、次の教務を執行する。

以下 略。

123① 教師は分けて正教師および補教師とする

② 教師は教区および教団の名簿に登録しなければならない。

 

124条① 正教師とは、正教師試験に合格し、教区総会の議決を経て、按手礼を領したものとする。

② 略

123条 ① 削除

教師は教区および教団の名簿に登録しなければならない。

 

 

124条①教師とは、教師試験に合格し、教区総会の議決を経て、按手礼を領したものとする。

② 略

125① 補教師とは補教師検定試験に合格し、教区総会の議決を経て、伝道の准允を受けたものとする。

② 准允は、教区総会議長がつかさどる。

 

 

(参考)

宣教師に関する規定

 

 

第5条(職制)

 受入れ宣教師で、本教団の教師と同等の准允もしくは按手礼を受領した者は、教規123条の本教団の教師とみなす。  

 

125条 削除

 

(参考)

宣教師に関する規定

第5条(職制)

 受入れ宣教師で、本教団の教師と同等の按手礼を受領した者は、教規123条の本教団の教師とみなす。  

※下線部改正箇所  (参考)は、諸規定等で、関連して改正が必要となるものの例を示す。

※教規改正以外に、「教師検定規則」の改正も必要となる。


提案理由

 日本基督教団は、敗戦前の国家統制の厳しい時代に採ることを余儀なくされた二種教職制度を、教会に相応しい制度であると捉えてきた訳ではありません。1954年の教団信仰告白制定後の1956年の教憲改正、それに続く再度の教憲改正作業(1958年)がなされた頃、“教師とは按手礼を領した者ではないか”との意見が盛んに主張され、その正当性を認める形で“准允を受けた者を「教師補」とする”内容の教憲第9条改正案がまとめられたのでしたが、第12回教団総会(1962年)では二種教職制の解消に至らないままの教憲改正となりました。

 しかし、議論は止むことなく更に続き、第15総会期信仰職制委員会(1968年−)は“教師を二種とせず、一種のみとすべき”と結論し、同時に教師に至るまでの「教師補」的制度を置くことが望ましいという方向性を打ち出しました。これをうけた第16総会期常議員会(1969年−)は教憲第9条改正の必要を認める決議をなしました。その後、常任常議員会の下に設置された作業委員会が提出した報告を基に常議員会は、1970年7月、第17回教団総会に二種教職制廃止を目的とする教憲第9条改正を正式に提案することを決定したのでした。その内容は、教憲第9条の条文を「本教団の教師は,神に召され正規の手続きを経て献身し,按手礼を領した者とする」というものであり、これに伴う教規、関連規則の変更を第18回教団総会に提案できるように常議員会に準備させるというものでした。

 この改正案は、いわゆる「教団紛争」の激化に伴う第17回教団総会延期などの事情の中で、以後の教団総会で毎回継続審議扱いとされざるを得ず、第25回教団総会(1988年)において、全教区の議員が揃う教団総会開催まで審議を凍結するとの決議がなされ、教団総会議案からは消えることとなりました。しかし私たちが忘れてならないのは、この間30余年の長きにわたって信仰の先達が日本基督教団にとっての、あるべき教職制度を形にしようと真剣な努力を続けて下さったという事実であり、教団全体にも、まことの教会となるために二種教職制度の問題を等閑視することはできないとの認識が保持し続けられていたということです。

 1982年からは「三委員会連絡会」(教師委員会・信仰職制委員会・教師検定委員会)が、教師制度や教師検定制度のあり方について検討を重ねるという努力があり、第27回教団総会(1992年)は全教区の議員が出揃う総会となりましたが、残念ながら、以後の教団総会で二種教職制廃止をめぐる本格的な議論がなされる機会は多くはありませんでした。本質議論は出尽くしているであろうとの認識と共に、膨大な議論の集積という事実が、その時点での議員たちをして積極的発言をためらわせたものでしょう。そしてまた、時の経過の中で事実上、継続されてきた二種教職制度ですから、これに無頓着な世代が現れてきたことも要因であったと思われます。

 直近、最後の教団的取り組みは、第30総会期第5回常議員会(1998年7月)が提案し、第32回総会(2000年)で可決された「教憲9条を検討する件」でした。これは実に3総会期をかけての検討でしたが、教憲第9条検討作業委員会は2006年2月の第34総会期第4回常議員会に、これ以上の検討作業継続は困難であるとの最終報告を提出、常議員会がこれを承認したことによって、二種教職制度は教団の議題とされることなく今日に至ることとなったのでした。この時点で課題克服を阻んだ要因のひとつは、温存された二種教職制度と共存するうちに、補教師という制度の中に訓練期間としての「有用性」を見出す層が現れてきたことであったと考えられます。

 以上のように、教憲第9条に定められた二種教職制度に対する問題意識が、時の経過と共に退行してきたことは否めません。しかし、そうであるからと云って、教会の根幹に関わるこの問題を捨て置くことはできません。先の敗戦後にいち早くこの問題を指摘した先輩方やその後に改正努力を積み上げて下さった方々は、“正教師・補教師の別によって御言の宣教と聖礼典執行が分離されることはプロテスタントの神学から承認されないこと”であり、“二種教職制度とは国の圧力の下に採ってしまった便法”であり、“神の主権よりも国権を上位に置いた過ち” の痕(しるし)であることを明確に見抜いておられたのです。この認識は正当です。便法の上に主の教会が建て上げられるはずはなく、“神の主権よりも国権を上位に置いた過ち”の痕を帯びたまま、まことの教会となり得る道理もないことです。補教師制度に訓練期間としての「有用性」を見出すことも本末顛倒というほかありません。

 長い年月にわたる議論の膨大な集積に怖れを抱いているとしても、これより生起するであろう法規相互の整合作業や制度整備にたじろぐ思いに囚われているとしても、私たちは「教憲9条を改正し、伴って関連教規条項を改正する」ことを決断すべきです。私たちは主にのみ従う教会であらねばならず、従ってそれを体現せねばならないからです。

 尚、本議案は、第41回日本基督教団総会に提出された議案と内容を同じくする議案です。第66回九州教区定期総会(2016年)において決議され、その後、同年開催の第40回日本基督教団総会に提出された議案は、提案者の責めに帰せられるべき理由なく、教憲12条所定の期間内議案公表手続きに瑕疵が生じたため、上程されることがありませんでした。また、この議案に修正を加え、第68回九州教区定期総会(2018年)において決議され、その後、同年開催の第41回日本基督教団総会に提出された議案は、総会に残された審議時間がわずかであったので、短時間でこの議案を判ずることを避けるため、提案者である九州教区総会を代表する総会議長自ら取り下げました。

 この過程で、九州教区総会が願ってきたことは、教団の歩み、ひいては「国家と教会」という、信仰の本質にも関わる重要な主題を内包する本議案がこのまま捨て置かれ、二種教職制度の課題が風化していかないこと、また、かつての教団が真剣に向き合おうとした二種教職制度への検討・協議の場が、いま一度回復されることでした。

 教団は、第40総会期教師養成制度検討委員会に二種教職制度の取り扱いを委託しました。同委員会は、①「教憲第9条検討作業委員会(2004年〜2006年)」の検討作業と報告を踏まえる、として同委員会委員長と書記を、②「教憲9条改正」議案の提案者である九州教区から提案の概要と趣旨について聴く、として九州教区総会議長を、③二種教職制の問題について神学的な課題について検討する、として東京神学大学学長を、それぞれ招き、聴取を行っています。しかし、第41回日本基督教団総会において九州教区が議案を取り下げたことを理由として、教師養成制度検討委員会は、同委員会として検討を終了させてしまいました。この判断への疑義は拭えません。けれども、より重要であるのは、同委員会自身が、今後、取り扱いを議長と常議員会に委ねる、としている点です。教憲9条の課題は未だ終了していません。一つの委員会に担わせて終わりとするのではなく、議長や常議員会が検討・協議の場を形作り、積極的に課題の解決に向かって取り組みを進めることが必要です。

 以上、わたしたち九州教区総会は、教団における二種教職制度の克服を願い、本議案を提出いたします。

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