誰もが利用できるセンターをめざして
コロナ感染が始まって3度目の山谷・越年越冬闘争は例年通り城北労働福祉センター前を拠点に、年末から年始の1週間、日雇い・野宿の仲間を中心に朝夕の食事と衣類分配、年越しそばなど、みんなで協力してやり切った。ボランティアの友人がキッチンカーでおいしいコーヒーを届けてくれ、鍼灸師の方が昨年同様、ワゴン車の荷台で仲間たちを診療してくださった。元日には路上で3年ぶりの餅つきをし、久しぶりの臼を囲んで交代で杵を振り下ろすのに合わせて「よいしょ、よいしょ」の掛け声が響き渡った。越年恒例の路上での焚火は、センター真向かいの新築高層マンションの住民から苦情が来るのではないかと懸念の声もあったが、煙が出ないよう工夫しながら貫徹した。
山谷労働者福祉会館の2階ホールでは、1月1日から3日まで『山谷 やられたらやりかえせ』『風間竜次(竜さん)の足跡』『狼をさがして』という3本の映画とDVDの上映が連続して行われた。『山谷〜』は1980年代初頭、地元に巣食っていた右翼暴力団との闘いの中で殺された佐藤満夫さん(映画監督)、山岡強一さん(日雇全協山谷争議団)が制作したもの、次は2年前に亡くなった日雇全協・竜さんの足跡をたどったもの、『狼〜』は韓国の金美禮監督による「東アジア反日武装戦線」のドキュメンタリー。この3本をつなげてみると、山谷・釜ヶ崎など寄せ場の闘いの歴史がより深く感じ取れる企画だった。1月14日には「佐藤さん(38年)・山岡さん(37年)虐殺糾弾集会・デモ」が玉姫公園で行われ、再開発を口実とした行政当局による野宿者排除と闘っている釜ヶ崎や渋谷をはじめ70名の仲間が結集した。
山谷現地は確かに高齢化が進み、かつての寄せ場の様相は影を潜めている。しかし年をとっても玉姫職安やセンターからの仕事で野宿しながら自活する人はたくさんいる。センターはその人たちを排除してはならない。越年後も、仲間たちとともに、誰もが利用できるセンターへの要求が続く。
(松井悠子報/山谷越年越冬闘争実行委員会、城西教会員)