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東北教区・関東教区 10被災教会の声 (オンライン訪問)
2021年東北地方地震 被災教会会堂等再建支援委員会
名取教会に伺って
11月9日午後、宮城県名取市にある名取教会の方々に、オンラインでお話を伺った。名取教会は、JR名取駅から徒歩12分ほどの所にあり、近くを通る国道の高架からも空港アクセス線の車窓からも屋根の上の十字架が見える教会である。この印象的な十字架が、今回の地震によって基底部が破損する被害を受けたのだった。
名取教会からは、荒井偉作牧師と教会員の高橋嘉男兄、菊地誠兄が出席され、2021年東北地方地震被災教会会堂等再建支援委員会より、篠浦千史委員長、黒沼宏一委員、河田直子委員、オブザーバーとして保科隆東北教区総会議長、道家紀一担当幹事、星山京子職員が参加した。
地震発生時の2月の状況を荒井牧師に伺うと、数秒前から大きな地震が来るという予感があり、それは幸か不幸か東北に住まいしていることによる地震への感じ方だそうだが、やはり直後に大きな揺れがあった。すぐに会堂の1、2階を巡回すると、当時は壁が剥がれている程度だったそうで、10年前の大震災の方が揺れは大きかったとのことである。しかし、一週間たった礼拝後、教会員の方が礼拝堂天井の一部が変色していると気づかれ、3階部分になる十字架が立つ尖塔に登ってみると、十字架の付け根である基底部から雨漏りが見つかり、応急処置をして雨に対応したという。教会員の菊地兄は、建設業に携わっておられ、大震災の時も、様々な工事の手配をしてこられた方である。今回も雨漏りのしている箇所に錆止めとなるような処置や、大量の雨が降っても溜まらずに流れ落ちるような補修を行い、礼拝堂の壁や天井の穴、剥がれの補修、大きな木製の玄関ドアの破損箇所修復など、写真を見せていただきながら、菊地兄より説明を受けた。3ヶ月ほどかけて10月25日に、これらの被害箇所の修復工事を全て完了できた。資金は前年に加入したばかりの教団会堂共済組合からの見舞金、教団からの支援金と、教会の積立金で賄うことができ、多くの支援があったことに感謝されていた。教会員の中で唯一被災した菊地兄宅は、福島県内でも一番被害の大きかった新地町にあり、宅地内の地面が割れて住めなくなっている状況で、菊地兄には教区から見舞金が支給されたとのことだ。今後、また大きな地震に見舞われるやもしれず、温暖化の影響で台風の被害も予想され、いつどこであっても、災害に遭う可能性がある。そんなときに教団内に常時設置されたグループがあれば、人的手配や支援が迅速にできるのではないか、と荒井牧師は提案された。
現在の教会の様子を伺うと、地震やコロナ禍による影響はそれほど無いが、礼拝出席者数が6割ほどに減少しているのが、なかなか戻れないという。しかし、昨年、今年と2名の求道者が与えられ、大正期のリードオルガンを修復して記念コンサートを行ったところ、45名もの来会者が与えられた。クリスマスイブにも、地域に開かれたコンサートを開きたいと展望を語られた。コロナ禍による対面の礼拝ができないという困難もある中で、映像をうまく編集して子ども向けのページェントを行うなど、これまでにない方法による伝道へのビジョンも開かれている。対面の礼拝が何より一番だとされつつも、今後の伝道への新たな一歩を歩み出せている名取教会のお話を伺うことができ、感謝のうちにヒアリングを終えた。
(河田直子報)
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