インターネット会議開催
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、多くの教会はイースターやペンテコステを含む3〜5月の礼拝や集会に、集うことを制限せざるを得ない状況になった。このような状況下で、教会はどのように過ごし、キリストの体にふさわしい交わりを保ってきたか、教区の情報を交換し合い、また当面の課題を明確にし合うために、インターネット会議が6月12日に開かれた。
参加者は教団三役、沖縄教区を除く全国16教区の議長(2教区は副議長)、予算決算委員長、総幹事、幹事。教団会議室では石橋秀雄議長と秋山徹総幹事、その他の幹事が、参加者の顔が映し出されたスクリーンを前にし、各参加者はそれぞれのパソコンから参加した。
中心的な議題は、⑴各教区の教会がコロナ危機の下でどのように対応しているか、また教区総会についての報告と、そこから生じる意見や要望、⑵今年秋の教団総会の開催をどうするかについての意見の交換で、これらについて各教区議長から聞いた。沖縄教区からも文書で教区の状況は知らされた。
各教区の対応
各教区では、この時期、常置委員会の開催はままならず、教区事務所も閉鎖や限られた日時の出勤といった中で、各教会が礼拝や集会をどのように守っているか、インターネットなどを使っての礼拝メッセージの配信の状況など、アンケートをして情報収集に努め、その情報を各教会に伝える努力をしたことが報告された。地区や分区などのネットワークが活用され、教区が地域的な宣教共同体として機能していたことが窺われた。
その中で教会財政の悪化から負担金の減免や、インターネット機材の整備の援助や助言を求める声も受け止めて、教区として対応を考えると共に教団としても検討するようにとの要望が多く出された。西東京教区や神奈川教区では、小規模の教会や施設にマスクや消毒剤を贈る働き、差別を受けやすい少数者への援助も考えていることが報告された。
ほとんどの教区が総会を書面決議、議決権行使によって法定議案だけの賛否を問う形にしたことが報告された。延期して8月に(東海・神奈川)、9月に(関東)行う教区、後日臨時の開催を考えている教区もある。教区総会が行われないことで准允式や按手礼式を常置委員会の際に行ったり、就任式を兼ねて教会で教区役員が行ったりと様々な工夫がなされた。書面決議や議決権行使の経験は、どの教区にとっても初めての経験で、「教団的に、この行為の規則上の位置づけや手続きの仕方、議事録の記録の仕方など、相談窓口を設けてほしい」、「信仰職制委員会の見解を求めたい」との要望も出された。
すべての教区で、この時期の教会財政が緊迫し、牧師謝儀等に支障が生じている教会があるのではないかとの配慮から、教区負担金の減免処置を検討していることが報告された。一律に1割減を決定している教区もあり、教会からの申し出によって貸出制度枠を広くして利用するようにしたり、それぞれに具体的な支援策を検討し実施している教区もあった。いずれにしても、それらの財源を確保するために各教区が工夫をしている中で、教団負担金の減免に対する要望が強く出された。また、伝道資金の申請についても、各教区負担分についても、この非常事態に対応した処置が必要との指摘があった。
教区や教会を支援する教団の具体的な方策は、石橋議長から「コロナ対策として災害対策基金やその他の資金によって1億円規模の緊急援助を考えている」との発言があり、それに沿って常議員会で審議し、具体化していくことになる。
教団総会開催について
続いて、教団総会の開催に関して意見を聞いた。最初に雲然俊美書記より、「教団総会で機構改定について取り上げるように準備してきたが、各教区総会で議論できない状況で取り上げることができるのか。また、どのような形で教団総会を持つべきか」との課題があることが話された。
ほとんどの教区から、「教区総会で機構改定について議論する予定だったが、できなかったので、教団総会で議題とすることは難しい」、「新型コロナウイルス感染の影響が見通せない状況で、東京で10月に教団総会を開催するのは無理」との判断が述べられた。しかし、「何らかの形での会議を開催する準備は進めるべき」、「書面決議の形でできないか」、「ズーム会議の形でできないか」との意見もあった。
また「教団総会を延期して、余裕が生じた資金を各教区・教会援助に使うべき」との意見もあった。会場予定の池袋のホテルメトロポリタンのキャンセル料が問われ、道家紀一総務幹事より、7月下旬までに申し出れば約300万円、7月を過ぎれば700万円余りの見込みとの報告があった。
この会議で出された意見は、7月6〜7日に開かれる常議員会に報告され、話し合われたことに基づいてこの危機に対する教団的な対応の具体的な実施の方向が決められることになる。
(秋山 徹報)