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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4716号】荒野の声

2011年2月5日

▼やや混雑したホームで目撃した。30歳くらいの女性が、階段を駆け上がってきた。掲示板を見るためだろうか、突然立ち止まり、振り返った。その女性の肩には、大きめのバック。意図せずも、バッグを振り回した格好になって、ホームの最前列にいた老人の背中をたたいた。老人は少しよろけ、半歩前に出たが、それ以上のことは避けられた。▼老人は何事かと振り向いたが、周囲に何の反応もない。その女性は、おそらく、自分のしたことに全く気づきもせず、人混みに紛れてしまった。電車が通過していったのは、何十秒も後のことではない。大惨劇と紙一重の出来事だった。このことを人に話したら、似たような目撃例を持つ者が少なくなかった。紙一重の出来事が日常的に繰り返されているのではと思うと、恐ろしい。▼人は背中に荷物を背負って生きている。しかも、それを自覚しないことが多い。車内アナウンスにあるように、荷物は胸に抱える方が、その自覚を持ち、対応が効くのではないかと思うがどうだろう。網棚に上げるのが一番良いかも知れない。▼教会はしばしば舟に準えられる。電車では時間も距離も短すぎてぴったり来ない。しかし、事柄によっては、電車の方が教会に酷似している。それぞれが心に荷物を持ち、乗り組み、そして、降りて行く点では。

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